血漿交換補助:アルブミン製剤の置換液と適正使用

血漿交換補助:アルブミン製剤

血漿交換補助:アルブミン製剤の要点
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置換液の基本設計

凝固因子補充が不要な治療的PEでは、FFPより希釈調整アルブミン置換液が推奨される。交換量は循環血漿量の1~1.5倍が目安。

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安全管理(合併症の芽)

過剰な血管内容量増加による肺水腫、低血圧、電解質異常(特にカルシウム関連)などを想定して、速度・濃度・観察項目を先回りで決める。

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評価と継続判断

「低アルブミン血症だから投与」ではなく、目的(膠質浸透圧・循環血漿量)と臨床所見で効果判定し、漫然使用を避ける。

血漿交換補助:アルブミン製剤の置換液と循環血漿量

治療的血漿交換療法(PE)は、血球と血漿を分離し、病因物質を含む血漿を置換液で置き換えることで病因物質を除去する治療です。特に「凝固因子の補充を必要としない」病態(自己免疫性神経疾患など)では、感染症予防の観点からFFPよりも希釈調整したアルブミン置換液が推奨され、単純PEや二重膜濾過血漿交換(DFPP)が行われます。

置換液を考えるときは、まず「何を守りたいか」を言語化します。アルブミン製剤を置換液として使う中心目的は、血漿膠質浸透圧を保って循環血漿量(=血管内容量)を維持することにあります。yuketsu.jstmct+1​

交換量の目安は、循環血漿量の等量~1.5倍量が基準とされます。これは「除去効率」と「循環動態の安全域」の折衷で、過量交換で劇的に効く治療はむしろ少ない一方、合併症リスクは増えやすい、という臨床の実感と整合します。yuketsu.jstmct+1​

ここで実務上ありがちな落とし穴は、「血漿交換補助=アルブミンを入れれば安定」という短絡です。アルブミンは確かに膠質浸透圧に寄与しますが、投与したアルブミンは最終的に血管外へも移行し、ショック・敗血症・大手術などでは血管外漏出が増大して期待通り上がらないことも多い、とガイドラインにも明記されています。

参考)https://yuketsu.jstmct.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/070030406.pdf

そのため、置換液設計は「濃度(等張・高張・希釈調整)」と「速度」と「患者側の透過性(炎症・侵襲・肝腎機能)」をセットで見る必要があります。特にPEの現場では、ルート確保や抗凝固、除水と輸液の綱引きが同時進行になるため、補助(support)としてのアルブミンの位置づけをチーム内で揃えるだけでも安全性が上がります。yuketsu.jstmct+1​

血漿交換補助:アルブミン製剤とFFPの適応

置換液選択の原則はシンプルで、「凝固因子を補いたいならFFP」「凝固因子が不要ならアルブミン(希釈調整含む)」です。厚労省の「血液製剤の使用指針」でも、ギラン・バレー症候群や急性重症筋無力症など、凝固因子の補充を必要としない症例では置換液として等張アルブミン製剤を使用するとされています。

アルブミン置換が支持される理由の一つは、安全性プロファイルです。使用指針では、アルブミン製剤は肝炎発症などの輸血副作用の危険がほとんどなく、FFPと比較してより安全である旨が書かれています。

参考)https://yuketsu.jstmct.or.jp/wp-content/uploads/2024/07/070030406.pdf

一方で、FFPが悪いわけではありません。凝固因子の補充が必要な状況(出血傾向の是正、特定の治療計画)ではFFPが臨床的に合理的ですし、アルブミンだけで置換して凝固因子が薄まることは当然起こり得ます(※ここは「PEだから凝固が落ちる」ではなく、どの成分を捨てているかの理解が要点です)。yuketsu.jstmct+1​

また、ガイドライン側のメッセージとして見逃しやすいのが、「その他の疾患に対する治療的PEは、根本治療と比較して有効性が低く効果は限定的」という一文です。置換液の議論以前に、PE自体の適応妥当性・治療ゴール(短期の病勢抑制か、ブリッジか)を見直すことで、不要なアルブミン使用も減らせます。

血漿交換補助:アルブミン製剤の濃度と希釈調整

アルブミン製剤には、5%の等張アルブミン製剤と20~25%の高張アルブミン製剤があり、加熱人血漿蛋白(PPF)も等しい浸透圧を持つ製剤として位置づけられています。

PEの置換液として重要なのは、「そのまま使う」より「希釈調整して使う」発想です。厚労省指針では、膠質浸透圧を保つために、等張アルブミンもしくは高張アルブミンを電解質液に希釈して置換液として用いる、と明記されています。

さらに踏み込むと、同指針は「血中アルブミン濃度が低い場合、等張アルブミンによる置換は肺水腫等を生じる可能性があるので、置換液のアルブミン濃度を調節する等の注意が必要」と書いています。つまり“低アルブミンだから等張で足す”が常に安全とは限らず、患者の体液分布と心機能・腎機能次第で、むしろ危険が増える場面がある、という警告です。

加えて、アルブミンの「血管内回収率」も臨床のズレの原因になります。ガイドラインでは、投与されたアルブミンは血管内に均一に拡散した後、最終的に約60%が血管外へ移動する、と説明されています。

現場で使える小さな工夫としては、置換液の濃度設計とあわせて、観察指標(肺水腫所見、酸素化、体液バランス、血圧、尿量)を“手技開始前に”セットしておくことです。結果として、血漿交換補助が「置換液を回す作業」から「循環と呼吸を守りながら除去効率を稼ぐ行為」へ変わり、チームの優先順位が揃いやすくなります。yuketsu.jstmct+1​

血漿交換補助:アルブミン製剤の副作用と肺水腫

アルブミン製剤は比較的安全とされますが、循環血漿量を増やす薬理作用そのものが副作用の起点になります。使用指針では、高張アルブミン製剤の使用時は急激に循環血漿量が増加するため、輸注速度を調節し、肺水腫や心不全の発生に注意するとされています。

また、同指針には「20%アルブミン製剤50mL(アルブミン10g)の輸注は約200mLの循環血漿量増加に相当する」という具体的な目安が示されています。PE中は見かけ上の入出量が複雑になりやすいので、このような“容量換算の目安”は、急変時の説明やチーム内共有に役立ちます。

血圧低下については、加熱人血漿たん白(PPF)の急速輸注(10mL/分以上)で急激な血圧低下を招くことがあるため注意、とされています。PEの置換液としてPPFを安易に選ばない(原則使用しない)根拠として押さえておくと、手技中の選択がブレにくくなります。yuketsu.jstmct+1​

さらに“意外に忘れられがち”なのが、アルブミン測定法の話です。ガイドラインではBCG法はグロブリンと交差反応し高値になり得ること、国内ではBCP改良法の採用率が高いこと、換算が容易でないことが整理されています。

つまり、「Alb 2.9だから補正すべき」という判断が、測定法の違いで見かけ上強化されてしまう可能性がある、ということです。血漿交換補助の議論では、数値の正確さよりも“臨床症状と循環動態”が優先である点を、測定法の背景込みで上司・多職種に説明できると説得力が上がります。yuketsu.jstmct+1​

血漿交換補助:アルブミン製剤の独自視点(検査値と適正使用)

検索上位の解説は「適応」「投与量」「FFP vs アルブミン」に収束しがちですが、臨床で差が出るのは“適正使用の運用”です。ガイドラインは繰り返し、低アルブミン血症のみでは適応ではなく、まず原疾患の治療が優先で、アルブミン投与は病態を一時的に改善する目的だと述べています。

また厚労省指針でも、「単なる血清アルブミン濃度の維持や検査値の是正のみを目的とした投与は行うべきではない」と明確です。血漿交換補助でアルブミンを使う場合も、同じ姿勢で「何の症状を改善させるのか」「どの合併症を避けるのか」を明文化しておくと、監査・チェックにも耐えやすくなります。

さらに重要なのは“継続判断”です。使用指針は、投与前に必要性と必要量を把握し、投与後は投与前後の血清アルブミン濃度と臨床所見の改善で効果判定し、診療録に記載し、3日間を目途に継続を判断して漫然投与を避ける、としています。

この「3日」という具体性は、血漿交換の周辺管理にも応用できます。たとえば、PEコースの途中で循環が不安定になったとき、アルブミン“追加”を反射的に重ねるより、①置換液の濃度再設定、②除水・補液バランス、③原因(感染・出血・薬剤・心機能)を同時に見直す、というプロトコル化が現場の安全に直結します。yuketsu.jstmct+1​

参考:治療的PEでのアルブミン置換液の推奨、濃度設計、測定法(BCG/BCP)などが整理されている

科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン(改訂第3版)

参考:血液製剤としてのアルブミン適正使用、PEでの置換液と交換量、肺水腫・血圧低下など注意点がまとまっている

厚生労働省「血液製剤の使用指針」(アルブミン製剤の適正使用 抜粋)