血管ループと識別と保持
血管ループの使用目的と外科用テープの位置づけ
血管ループは、医療用シリコーンで作られた紐(外科用テープ)として、手術中に血管および臓器の保持または識別に用いられる単回使用の医療機器です。
この「保持・識別」という公式な使用目的を先に押さえると、牽引(tract)に偏りすぎた使い方から一歩引いて、術野設計(どの構造をどこに“退避”させるか)まで含めた運用として考えやすくなります。
添付文書上の使用方法としては、血管周囲に巻いて創外へ出しておく、あるいは識別のために血管・臓器の周りに輪を取り付ける、という非常にシンプルな記載になっています。
ここで臨床的に重要なのは、「シンプル=自由度が高い」反面、チームでの共通言語(色の意味、ループを出す方向、テンションのかけ方、固定のしかた)がないと、意図しない牽引力・取り違え・術野の混雑につながる点です。
参考)https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/200225/200225_14B1X00004000046_A_01_01.pdf
例えば、術野外へ出したループが増えるほど、牽引方向は安定しやすい一方で、器械出し・助手の手元動線に絡む危険も増えます(どこを“出すか”は安全設計の一部)。
そのため、血管ループは「便利な紐」ではなく、「識別と保持を標準化するためのデバイス」として、術式ごとに使い方を定義しておくのが現場の事故予防に直結します。
血管ループの寸法とシリコーンとカラーコード
製品カタログでは、血管ループ(例:ヴェッセループ)が動脈・静脈・尿管・神経・腱などを一時的に保持・牽引する帯状のシリコーンゴム製テープで、表面が滑らかで伸縮し、ラテックスフリーでX線不透過性と説明されています。
同カタログでは、カラ―コードにより動脈・静脈・神経・腱などを明確に識別できる点、滅菌済みのピールパックである点、さらにプレート巻きで「よじれ・絡まり」を減らす工夫がある点も示されています。
つまり色は“見た目”だけでなく、「手術進行中に脳内メモリを節約するための情報設計」であり、器械出し・外回り・麻酔側も含めた共有が効くところです。
寸法に関しては、添付文書の例(ベッセル ループ)で、幅×長さが 1mm×406mm(マイクロミニ)、2mm×406mm(ミニ)、3mm×406mm(マックス)、5mm×559mm(スーパーマックス)など複数展開が記載されています。
また、別カタログ例(ヴェッセループ)では幅1.5mm/2.5mm/4.8mm、厚さ0.8mm(細)/1.0mm(太)/1.3mm(極太)など、厚み違いの提示もあり、同じ「血管ループ」でも触感とテンションの乗り方が変わることが分かります。
参考)https://www.ohwa-tsusho.com/product_pdf/vesseloops.pdf
現場の意外な落とし穴は「太い方が安全」と単純化してしまうことで、細い構造(脆弱な静脈枝、細い神経、尿管周囲の繊細な剥離面など)では、接触面積と滑りやすさのバランスが逆に扱いづらくなるケースがあり得ます。ohwa-tsusho+1
運用上は、色・幅・厚みの“規格”を術式ごとに揃え、さらに「どの色を何に割り当てるか」を施設内で固定すると、引き継ぎや応援でも認知負荷が下がります。
加えて、X線不透過性の記載がある製品では、術中透視や術後画像で異物評価を行う状況でも、見え方(可視性)を意識した管理がしやすい点が利点になり得ます。
血管ループの使用方法と輪と牽引
添付文書に記載された基本手技は、(A) 血管の周囲に巻いて創外へ出す、(B) 識別目的で血管・臓器の周りに輪を取り付ける、の2点に要約できます。
この「輪」は、牽引方向を“固定化”しやすい一方、テンションが強いと局所の圧迫やズレが起きやすくなるため、張力は「必要最小限」を原則にし、術中に適宜ゆるめる判断が重要になります。
牽引は視野確保に直結しますが、強い牽引が常態化すると、剥離層の破綻や微小出血の増加、結果として吸引・凝固の頻度が増えるなど、時間延長の遠因にもなり得ます。
一時保持として使う場合、ループを“創外へ出しておく”運用は、助手の手を減らす(=手持ち牽引を減らす)効果が期待できますが、その代わりループの取り回しが増えるため、絡まり・取り違え対策がセットになります。ohwa-tsusho+1
カタログに「プレート巻きでよじれ・絡まりがない」とあるように、包装形態そのものが操作性に影響するため、製品選定では「材質」だけでなく「包装から術野に出すまで」の流れも見ておくとミスが減ります。
また識別目的で“輪を付けるだけ”のときも、後工程(血管処理・吻合・縫合・閉創)でループがどのタイミングで不要になるかを先読みし、抜去順序をチームで共有しておくと置き忘れの予防につながります。
小技としては、複数ループが並走する場面では「色+出す方向(頭側/尾側、内側/外側)」をセットでルール化し、術者の“いつものクセ”をチーム全員が理解する形に整えると安全が上がります。ohwa-tsusho+1
特に手術中のコミュニケーションは短文化しがちなので、「青を軽く」「黄を外へ」など、色を主語にした短い指示で通じるようにしておくと、聞き間違いのリスクを下げられます。
血管ループの禁忌と再使用禁止と滅菌
添付文書では、血管ループはディスポーザブルであり、再使用しないことが【警告】として明記されています。
さらに【禁忌・禁止】として、再使用禁止、使用目的以外に使用しないこと、包装が破損・汚損した場合は使用しないことが列挙されています。
この3点は当たり前に見えますが、実際には「識別に使っただけだから再使用できそう」「一瞬しか触れていない」などの心理的バイアスが介入しやすく、だからこそ文書で強く否定されています。
使用上の注意としても、1回限りの使用、包装破損・汚損時の不使用、開封は使用直前に行い無菌的に取り扱うことが示されています。
血管ループは“血管を直接触る/近接する”場面が多く、感染対策の基本が破綻すると患者側だけでなく医療者側(針刺し・汚染拡大)のリスクも増えるため、開封タイミングや受け渡し動線を含めた無菌管理が重要です。
また保管に関して、温湿度・日光・ほこり・塩分・イオウ分を含む空気などの影響を避けること、高温や直射日光を避けること、化学薬品やガス発生場所を避けることが記載されており、材料劣化や包装品質の低下を防ぐ観点が読み取れます。
現場で起きがちな“意外な事故”は、器械台に出した後の「一時置き」の管理不良で、鉗子や他のテープに絡んだ状態でテンションがかかり、意図せず牽引が強まるケースです(ループは伸縮するため、気づきにくい)。ohwa-tsusho+1
この種の事故は、滅菌や単回使用とは別軸の「取り回し設計」の問題なので、ループを置く位置、余長のまとめ方、色ごとの集約場所などを“器械出しの作法”として標準化するのが有効です。
安全文化としては、使い終わったループの廃棄を「いつ」「誰が」「どこに」行うかを決め、術野のイベント(吻合完了、遮断解除、止血確認など)に紐づけてチェックしやすくすると取り残し対策になります。
血管ループの識別と尿管と神経の独自視点
血管ループは血管だけでなく、尿管・神経・腱などの一時保持・牽引にも使う想定がカタログに明記されており、適応の幅は広いデバイスです。
また、別資料(製品資料)でも「血管等の識別」や「泌尿器科手術での尿管等の一時的保持や識別」に触れられており、識別用途が中心概念であることが再確認できます。
ここから導ける独自視点は、「血管ループは“識別のエラー”を減らすためのUI(ユーザーインターフェース)」として、構造物の取り違えが致命的になり得る領域(尿管・神経温存など)で、早期から積極的に介入させると有用という点です。
例えば尿管は周囲脂肪や炎症で同定が難しい状況があり、同定後に“輪”で識別を固定すると、その後の剥離・止血・縫合の局面で「見失う」確率を下げられます。gadelius+1
神経についても、術野の光や牽引角度で見え方が変わるため、色付きループで「そこに神経がある」という情報を術野外にも掲示できるのは、チーム医療としての安全性を上げる使い方です。gadelius+1
一方で、神経や尿管は血管以上に圧迫・牽引に弱い場面があるため、「識別のために付けたループが、いつの間にか牽引デバイスになっていた」という状態を避ける意識づけ(テンションゼロ運用、余長管理)が重要になります。
色運用の工夫として、施設内で「尿管は白」「神経は黄」「動脈は赤」「静脈は青」といった固定ルールを置くと、応援や教育の場面で“説明コスト”が下がります(ただし既存文化がある施設では無理に変えず、まずは統一を優先)。gadelius+1
またX線不透過性の記載がある製品では、万一の取り残し疑い時に画像での検討がしやすい可能性があり、これは“見えない安全策”として価値があります。
最後に、血管ループは「単回使用」「無菌」「保管」の基本が守られて初めて性能を発揮するデバイスなので、教育では手技だけでなく、開封から廃棄までを一連のプロセスとして指導するのが効果的です。
保管・単回使用・使用方法(公式記載)の根拠。
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/200225/200225_14B1X00004000046_A_01_01.pdf
材質(シリコーン、ラテックスフリー、X線不透過性)・カラーコード・幅/厚み例の根拠。
https://www.ohwa-tsusho.com/product_pdf/vesseloops.pdf
適応領域(心臓血管外科、泌尿器科、整形外科・形成外科など)と識別用途の根拠。
https://www.gadelius.com/download/Aspen_loop_seihin.pdf

AISFA フェイスタオル マイクロファイバー 大判 ホテル仕様 ホテルタイル タオル ループ付き 浴用 プール用 家庭用 業務用 吸水 速乾 抗菌 防臭 ふわふわ 柔らかい (グレー, 10枚組/フェイスタオル 75*35cm)