ケイツーN静注の効果と使用法完全ガイド

ケイツーN静注の基本情報と適応症

ケイツーN静注の概要
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有効成分

メナテトレノン10mg(ビタミンK2)を含有する注射剤

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主な効果

ビタミンK欠乏による出血傾向の改善と凝固能正常化

作用発現

投与後約3時間で効果を発現する遅効性の製剤

ケイツーN静注の成分と作用機序

ケイツーN静注10mgは、有効成分としてメナテトレノン10mgを含有する淡黄色半透明の注射液です。メナテトレノンビタミンK2の一種で、肝臓においてビタミンK依存性凝固因子(プロトロンビン、第VII因子、第IX因子、第X因子)の合成を促進します。

本製剤の組成には、有効成分のほかにゴマ油4mg、精製ダイズレシチン16mg、D-ソルビトール100mg、タウリン6mg、濃グリセリン100mg、水酸化ナトリウム適量が添加剤として含まれています。これらの添加剤は製剤の安定性と注射時の安全性を確保する役割を果たしています。

製剤のpHは6.0~8.0に調整されており、浸透圧比は生理食塩液に対して約3倍となっています。この特性により、適切な希釈や投与速度の調整が重要となります。

ケイツーN静注の適応症と効能効果

ケイツーN静注は、ビタミンKの欠乏による以下の疾患および症状に適応されます。

  • 胆道閉塞・胆汁分泌不全による低プロトロンビン血症

    胆汁の分泌不全により脂溶性ビタミンであるビタミンKの吸収が阻害される場合

  • 新生児低プロトロンビン血症

    新生児期におけるビタミンK欠乏による出血性疾患の予防・治療

  • 分娩時出血

    分娩に伴う出血でビタミンK欠乏が関与する場合

  • クマリン系抗凝血薬投与中に起こる低プロトロンビン血症

    ワルファリンなどの抗凝固薬の作用が過度に強くなった場合の拮抗処置

  • クマリン系殺鼠剤中毒時に起こる低プロトロンビン血症

    殺鼠剤による中毒で凝固能が低下した場合の治療

ケイツーN静注の用法用量と投与方法

ケイツーN静注の用法用量は適応症により異なります。

成人の場合(胆道閉塞、分娩時出血、クマリン系抗凝血薬関連):

  • 通常、1日1回メナテトレノンとして10~20mgを静注
  • 投与は緩徐に行い、点滴静注が推奨される

新生児低プロトロンビン血症の場合:

  • 生後直ちに1回メナテトレノンとして1~2mgを静注
  • 症状に応じて2~3回反復静注可能

クマリン系殺鼠剤中毒の場合:

  • メナテトレノンとして1回20mgを静注
  • 症状と血液凝固能検査結果に応じて1日量40mgまで増量可能

投与時の重要な注意点として、急速投与によりショック症状が現れる可能性があるため、点滴静注が望ましく、静注する場合は緩徐に注射することが必要です。

ケイツーN静注の副作用と注意事項

ケイツーN静注の使用において最も注意すべき副作用はショック症状です。頻度は不明とされていますが、重大な副作用として位置づけられています。

重大な副作用:

  • ショック(頻度不明)

    アレルギー体質の患者や薬物過敏症の既往がある患者で特に注意が必要

その他の副作用:

  • 過敏症:発疹(0.5~1%未満)

投与前の確認事項:

  • 本人または家族の気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー体質の有無
  • 薬物過敏症の既往歴
  • 肝硬変等の肝細胞障害の有無(効果が期待できない場合がある)

禁忌:

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

投与後約3時間を経て効果を発現するため、速効性は期待できません。重篤な出血が見られる場合には、本剤の投与と共に新鮮凍結血漿の輸注等の適切な処置を併用することが重要です。

ケイツーN静注の臨床現場での活用法

臨床現場においてケイツーN静注を効果的に活用するためには、以下のポイントを理解することが重要です。

薬効の特徴を活かした使用法:

ケイツーN静注は遅効性であるため、緊急性の高い出血に対しては他の止血処置と併用することが一般的です。効果発現まで約3時間を要するという特性を踏まえ、計画的な投与スケジュールを立てることが重要となります。

患者モニタリングのポイント:

  • 血液凝固能検査(PT、APTT等)による効果判定
  • アレルギー反応の早期発見のための観察
  • 投与後の出血症状の変化の確認

他薬剤との相互作用:

クマリン系抗凝血薬との併用時は、相互に作用を減弱させる可能性があるため、凝固能検査結果に基づいた用量調整が必要です。

投与器具の選択:

ポリ塩化ビニル製の輸液セットを使用した場合、可塑剤であるDEHPが製剤中に溶出する可能性があるため、DEHPを含まない輸液セットの使用が推奨されています。

保存と管理:

室温保存で有効期間は3年です。光や温度変化による品質劣化を防ぐため、適切な保管環境の維持が必要です。

エーザイ医療関係者向けサイトでは、ケイツーN静注に関する詳細な情報が提供されています。

エーザイ医療関係者向けFAQ – ケイツーN静注の用法用量について

臨床検査技師や薬剤師との連携により、患者の凝固能状態を適切に評価し、最適な治療効果を得ることが可能となります。また、患者や家族への説明においては、効果発現の時間的特性や副作用の可能性について、理解しやすい言葉で伝えることが重要です。