痙性散瞳と交感神経
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痙性散瞳の散大筋痙攣と対光反射(-)
痙性散瞳は、瞳孔散大筋(虹彩の放射状筋)が「痙攣」して瞳孔が大きい状態を指し、臨床のメモ的整理では「散大筋痙攣」「対光・輻湊反射(-)」「交感神経の遠心路の刺激」がセットで語られます。
この「反射(-)」という表現は、患者の瞳孔が大きい(散瞳)だけでなく、光を当てても縮瞳しにくい=副交感神経系が優位に働けない状況を示唆するため、病態の切り分けに役立ちます。
ただし救急現場では、反射が弱い・取れない理由が「測定条件(強い外光、患者の不穏、開眼困難)」であることもあるため、片眼遮光→再計測、左右差の再確認、近見反応(輻湊)も併せて確認すると情報の精度が上がります。
痙性散瞳と交感神経遠心路刺激の原因
痙性散瞳の「交感神経の遠心路刺激」という言い方は、結果としてノルアドレナリン系の作用が優位になり、散大筋の収縮(=瞳孔拡大)が前面に出る状況をまとめたものとして理解すると実務的です。
代表例として、交感神経刺激薬(アドレナリン作動性)や抗コリン作用(副交感神経遮断)が関与する薬剤では散瞳が起こり得る、と公的資料でも整理されています。
さらに、薬剤性散瞳が引き金となり「急性原発閉塞隅角緑内障」を誘発することがあり、散瞳そのものよりも“眼圧急上昇”のほうが視機能に直結する点が重要です。
参考:散瞳薬・抗コリン作用/アドレナリン作用による散瞳、急性原発閉塞隅角緑内障の初発症状と早期対応(救急での観察ポイント)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1o07.pdf
痙性散瞳と薬剤・散瞳薬・抗コリン作用
散瞳(瞳孔が大きい状態)は、抗コリン作用(副交感神経遮断)による瞳孔括約筋の麻痺、またはアドレナリン作用(交感神経刺激)による瞳孔散大筋の収縮で起こり得る、と厚労省資料に明記されています。
薬剤性散瞳を臨床で怖いものにしているのは、散瞳が「急性原発閉塞隅角緑内障」の発作を誘発しうる点で、眼痛・頭痛・吐き気/嘔吐・充血・視力低下、毛様充血、角膜混濁、中等度散瞳、対光反射の消失などが“まとめて”出ることがある、とされています。
意外に見落とされやすいのは、患者が「頭痛や消化器症状」を前面に訴えて他科受診となり、眼科的評価が遅れて重篤な視機能障害につながることがある、という注意喚起です。
現場の実務では、痙性散瞳を疑う局面でも「眼痛の有無」「虹視(光源の周りに輪)」「角膜混濁」「毛様充血」を同時に拾うと、神経イベントだけに思考が偏るリスクを下げられます。
チェックのコツを箇条書きにすると次の通りです。
- 散瞳+眼痛+霧視/虹視:眼圧上昇(緑内障発作)をまず想起する。
- 充血が“びまん性”か“毛様充血”か:角膜周囲の所見に注意する。
- 対光反射が弱い/消える:薬剤性・神経性どちらもあり得る前提で、全身状態とセットで評価する。
痙性散瞳と救急の鑑別(中毒・外傷・緑内障)
救急で散瞳を見たとき、最初に“中枢神経”を連想するのは自然ですが、薬剤による散瞳が「相対的瞳孔ブロック」や「プラトー虹彩機序」を介して眼圧上昇発作を起こしうる、という機序が整理されています。
つまり「痙性散瞳らしい」所見があっても、眼痛・角膜混濁・毛様充血・嘔吐/徐脈/発汗などが伴う場合、眼科緊急(眼圧急上昇)としての優先度が上がります。
また、外傷でも虹彩や散大筋/括約筋が傷害され散瞳が固定化することがあり得るため、「いつから」「片眼か両眼か」「外傷歴」「点眼薬/貼付薬の使用」を時系列で確認すると、鑑別の精度が上がります。
独自視点として、医療者ほど「散瞳=重症脳疾患」と短絡しやすい一方で、薬剤性・眼科性の“時間軸”が診断を助けることがあります。
厚労省資料では、散瞳薬関連の発症は「原因薬使用後数時間」から「数ヶ月後〜1年以上」など幅がある、とされ、時間経過だけで否定できない点が示されています。
そのため、ERや病棟での初期対応では、次のような“並列思考”が実務的です。