活性型ビタミンD3誘導体の作用機序と臨床的位置づけ
エルデカルシトールは3~6カ月の定期検査をしないと1.5%で高カルシウム血症が起こります。
活性型ビタミンD3誘導体の基本的な作用機序
活性型ビタミンD3誘導体は、体内で産生される活性型ビタミンD3(カルシトリオール)とほぼ同様の作用を示す薬剤群です。通常、食事やサプリメントから摂取されるビタミンD3は、肝臓で25位水酸化を受けた後、腎臓で1α位水酸化を受けることで、最終的に活性型ビタミンD3(1,25-ジヒドロキシビタミンD3)となります。
この活性化プロセスが基本です。
活性型ビタミンD3誘導体は、このプロセスを経ずに直接的に作用します。小腸上皮細胞においてビタミンD受容体(VDR)に結合し、カルシウム結合タンパク質の発現を促進することで、腸管からのカルシウムとリンの吸収を増加させます。吸収されたカルシウムの約70~80%は骨の石灰化に利用され、残りは血中カルシウム濃度の維持に使われます。
骨組織に対しては、破骨細胞の活性化を抑制しながら骨芽細胞を適度に刺激することで、骨代謝回転を改善します。従来は骨吸収抑制作用が主体と考えられていましたが、近年の研究では骨形成促進作用も確認されています。副甲状腺ホルモン(PTH)の合成と分泌を抑制することで、間接的にも骨吸収を抑える働きがあります。
腎臓でのカルシウム再吸収も促進されます。これにより、尿中へのカルシウム排泄が減少し、体内のカルシウムバランスが維持されます。ただし、この作用が過剰になると尿路結石のリスクが高まる可能性があるため、尿中カルシウム排泄量のモニタリングが推奨されています。
活性型ビタミンD3誘導体の詳細な薬理作用メカニズムについて、日本ビタミン学会誌の総説が参考になります
活性型ビタミンD3誘導体エルデカルシトールの骨粗鬆症治療における特徴
エルデカルシトールは、中外製薬が開発した新規の活性型ビタミンD3誘導体であり、2011年に骨粗鬆症治療薬として承認されました。この薬剤の最大の特徴は、2β位に3-ヒドロキシプロポキシ基が導入された化学構造を持つことです。この構造により、従来のアルファカルシドールと比較して、骨芽細胞におけるビタミンD受容体への結合親和性が約3倍高くなっています。
結論は骨への選択性が高いです。
第III相臨床試験では、3年間の投与により椎体骨折リスクを26%低減させる効果が実証されました。具体的には、エルデカルシトール群では骨折発生率が約8.5%だったのに対し、アルファカルシドール群では約11.6%でした。つまり、100人の患者を治療すると、約3人の骨折を追加で予防できる計算になります。これは、サッカーコート1面(約7,000平方メートル)を100とすると、約200平方メートル分の差に相当するイメージです。
骨密度増加効果も優れており、腰椎骨密度は3年間で平均5.0%増加しました。従来のアルファカルシドールでは約2.5%の増加だったため、約2倍の効果といえます。大腿骨近位部でも同様の傾向が認められ、特に大腿骨頸部では4.2%の増加が確認されています。
ただし、エルデカルシトールは血清カルシウム上昇作用も強いという特性があります。承認時までの臨床試験では、補正血清カルシウム値が11.0mg/dLを超える高カルシウム血症の発生率は1.5%、10.4~11.0mg/dLの血中カルシウム増加は15.0%でした。
頻度は低いですが重要です。
カルシウム代謝改善効果については、アルファカルシドールとほぼ同等の用量で発揮されます。つまり、カルシウム吸収促進という基本的な作用は同程度でありながら、骨に対する直接作用が強化されているのがエルデカルシトールの特徴です。
活性型ビタミンD3誘導体アルファカルシドールと他の製剤との違い
アルファカルシドールは、1983年に骨粗鬆症への適応が承認されて以来、40年以上にわたり広く使用されてきた活性型ビタミンD3製剤です。商品名としてはワンアルファ、アルファロールなどがあり、錠剤、カプセル、散剤、内用液など剤形が豊富なことが特徴です。この薬剤は1α位に水酸基を持つため、腎臓での活性化を必要とせず、肝臓で25位水酸化を受けるだけで活性型となります。
これは腎機能低下例でも使いやすいです。
カルシトリオールは、活性型ビタミンD3そのものであり、肝臓・腎臓での代謝を全く必要としません。そのため作用発現が速く、半減期も短いという特徴があります。商品名はロカルトロールで、副甲状腺機能低下症や慢性腎不全における低カルシウム血症の治療にも使用されます。骨粗鬆症治療では、用量調整の幅が狭く高カルシウム血症のリスクがやや高いため、アルファカルシドールほど広く使われていません。
エルデカルシトールとアルファカルシドールの使い分けについて、日本骨代謝学会は2021年に重要な声明を発表しました。その内容は、(1)エルデカルシトールをアルファカルシドールに変更することは避ける、(2)新規に骨粗鬆症治療を開始する場合は、エルデカルシトールやアルファカルシドールは避ける、というものです。これは供給不足への対応として示されたガイダンスですが、薬剤特性の違いを理解する上でも重要です。
禁忌事項にも違いがあります。エルデカルシトールは妊婦、妊娠している可能性のある女性、授乳婦に対して投与禁忌ですが、アルファカルシドールは「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」という表現になっています。つまり、妊娠可能年齢の女性に対してはアルファカルシドールの方が選択肢として残る場合があります。
用量についても差があり、アルファカルシドールは通常0.5~1.0μg/日ですが、エルデカルシトールは0.75μg/日が標準用量です。重度骨粗鬆症例や高齢者では、エルデカルシトールの方が骨折予防効果が高いというエビデンスがあるため、リスク・ベネフィットを考慮した選択が求められます。
埼玉県による活性型ビタミンD3製剤の適正使用に関するガイダンスが参考になります
活性型ビタミンD3誘導体使用時の高カルシウム血症リスクと対策
高カルシウム血症は、活性型ビタミンD3誘導体の最も重要な副作用です。この状態は、血清カルシウム値が正常上限(通常10.4mg/dL)を超えて上昇することで発生し、補正血清カルシウム値が11.0mg/dLを超えると臨床的に重大な高カルシウム血症と判断されます。エルデカルシトールでは1.5%、血中カルシウム増加(10.4~11.0mg/dL)まで含めると16.5%の患者で認められます。
つまり約6人に1人です。
高カルシウム血症の初期症状としては、口渇、多飲、多尿、便秘、食欲不振、吐き気などの消化器症状が現れます。さらに進行すると、倦怠感、脱力感、筋力低下、イライラ感、注意力散漫などの神経症状が出現します。重症例では意識レベルの低下、不整脈、急性腎障害などの生命に関わる合併症が発生する可能性があります。一部の報告では、高カルシウム血症から緊急血液透析が必要になった症例も存在します。
発症リスクが高い患者群としては、腎機能低下例(eGFR 60mL/min未満)、悪性腫瘍患者、原発性副甲状腺機能亢進症の患者、サルコイドーシス患者などが挙げられます。また、高齢者や長期臥床患者もリスクが高まります。高齢者では腎機能が生理的に低下していることが多く、また体内水分量が少ないため、同じ用量でも血中濃度が上昇しやすくなります。
カルシウム製剤との併用は特に注意が必要です。活性型ビタミンD3誘導体とカルシウム製剤(乳酸カルシウム、炭酸カルシウムなど)を併用すると、相加作用により高カルシウム血症が発現するおそれがあります。骨粗鬆症治療では両者の併用が必要な場合もありますが、その際は血清カルシウム値の測定頻度を増やす(1~2カ月ごと)などの対策が推奨されます。
定期的なモニタリングが不可欠です。添付文書では、血清カルシウム値を3~6カ月に1回程度測定することが推奨されています。最近の研究では、エルデカルシトール内服開始後6カ月時点での初回血液検査で十分である可能性も示されていますが、リスク因子を持つ患者では初回1~3カ月での測定が望ましいとされています。尿中カルシウム排泄量(正常値300mg/日以下)の測定も、長期投与時には重要です。
高カルシウム血症が発見された場合の対応として、まず直ちに活性型ビタミンD3誘導体を休薬します。軽度の場合は、水分摂取を増やし、カルシウム摂取を制限することで改善することがあります。中等度以上では、生理食塩水の点滴投与、ループ利尿薬の使用、ビスホスホネート製剤の投与などが検討されます。血清カルシウム値が正常域に戻れば、減量して投与を再開できる場合もあります。
活性型ビタミンD3誘導体の皮膚疾患への外用適応
活性型ビタミンD3誘導体は、内服薬としての骨粗鬆症治療だけでなく、外用薬として尋常性乾癬などの皮膚疾患の治療にも使用されています。この外用製剤は、1990年代から開発が進められ、現在では乾癬治療の第一選択薬の一つとして確立されています。代表的な成分としては、タカルシトール、カルシポトリオール、マキサカルシトールなどがあります。
乾癬では角化が10倍速くなります。
尋常性乾癬は、皮膚の角化スピードが通常の約10倍に加速することで、表皮が異常に厚くなり、銀白色の鱗屑が付着した紅斑が形成される慢性炎症性疾患です。活性型ビタミンD3外用剤は、表皮角化細胞の異常増殖を抑制し、正常な分化を促進することで、これらの症状を改善します。また、インターロイキン-6などの炎症性サイトカインの産生を抑制する作用もあります。
タカルシトール軟膏(商品名:ボンアルファなど)は、1日1回塗布する製剤で、1日の使用量は10gまでとされています。10gというのは、約500円玉10枚分の重さに相当します。カルシポトリオール軟膏(商品名:ドボネックスなど)は、欧米で広く使用されている製剤で、日本でも2014年から使用可能になりました。
マキサカルシトール軟膏(商品名:オキサロールなど)は、1日1回の塗布で効果が持続し、顔面への使用も可能という特徴があります。従来の活性型ビタミンD3外用剤は、顔面への使用で刺激感が強く出ることがありましたが、マキサカルシトールではその頻度が低いとされています。
ステロイド外用剤との配合剤も開発されています。ドボベット軟膏は、カルシポトリオールとベタメタゾンジプロピオン酸エステルを配合した製剤で、活性型ビタミンD3の角化抑制作用とステロイドの抗炎症作用を併せ持ちます。単剤使用よりも効果発現が早く、かつ長期使用時のステロイド副作用を軽減できる可能性があります。
外用剤でも全身性の副作用に注意が必要です。特に広範囲に使用した場合や、バリア機能が低下した皮膚に使用した場合、経皮吸収により高カルシウム血症を起こす可能性があります。報告例では、8歳児が顔面から体幹まで広範囲にタカルシトール軟膏を使用し、高カルシウム血症から緊急血液透析が必要になったケースもあります。
高齢者や小児では特に注意が必要です。
活性型ビタミンD3外用製剤の詳細な使用方法について、日経メディカル処方薬事典が参考になります
活性型ビタミンD3誘導体と天然型ビタミンDの使い分け基準
活性型ビタミンD3誘導体と天然型ビタミンDは、化学構造も作用機序も全く異なる薬剤です。天然型ビタミンD(コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール)は、食事やサプリメントとして摂取されるもので、体内で肝臓と腎臓の2段階の水酸化を経て初めて活性型となります。一方、活性型ビタミンD3誘導体は、この代謝プロセスを経ずに直接作用します。
天然型は材料で活性型は完成品です。
天然型ビタミンDの血中半減期は約3週間から30日と長いのに対し、活性型ビタミンD(カルシトリオール)の半減期は約1日と短いです。このため、天然型ビタミンDは長期的な体内ビタミンD状態を反映し、サプリメントとして継続摂取することで血中25(OH)ビタミンD濃度を安定的に維持できます。健康診断で測定するビタミンDは、この25(OH)ビタミンDです。
骨粗鬆症治療における使い分けとしては、日本では天然型ビタミンDが医療用医薬品として承認されていないため、活性型ビタミンD3製剤が主に使用されています。一方、欧米では天然型ビタミンDが処方薬として広く使われており、特にビタミンD欠乏症(血中25(OH)ビタミンD濃度が20ng/mL未満)の補正には天然型が第一選択とされています。
活性型ビタミンD3製剤の優位性は、骨密度改善効果と椎体骨折予防効果が臨床試験で実証されていることです。前述のように、エルデカルシトールは3年間で椎体骨折リスクを26%低減させました。一方、天然型ビタミンDのサプリメント単独では、骨折予防効果が明確に示されていない研究も多く存在します。ただし、天然型ビタミンDとカルシウムの併用では、骨折リスク低減効果が報告されています。
副作用リスクの観点では、天然型ビタミンDの方が安全性が高いです。天然型ビタミンDは体内で必要に応じて活性化されるため、過剰摂取しても高カルシウム血症のリスクは相対的に低くなります。ただし、1日10,000IU(250μg)を超えるような大量摂取を長期間続けると、天然型でも高カルシウム血症を起こす可能性があります。
換算については、活性型ビタミンD3誘導体は通常「μg」単位、天然型ビタミンDは「国際単位(IU)またはμg」単位で表示されます。WHOの規定では、結晶のビタミンD3の0.025μg=1IUです。つまり、天然型ビタミンD 1,000IU=25μgとなります。ただし、活性型と天然型は直接換算できない別物であることに注意が必要です。
併用に関しては、活性型ビタミンD3製剤と天然型ビタミンDサプリメントの併用は、相加作用により高カルシウム血症のリスクが高まるため注意が必要です。もし併用する場合は、天然型ビタミンDの用量を1日1,000IU程度に抑え、血清カルシウム値の測定頻度を増やすことが推奨されます。デノスマブ(ランマーク)などの骨吸収抑制薬使用時には、天然型ビタミンDとカルシウムの併用補充が推奨されており、この場合は活性型ビタミンD3製剤ではなく天然型が選択されます。
実臨床での使い分けの目安として、ビタミンD欠乏症の補正には天然型サプリメント、骨粗鬆症で骨折リスクが高い症例には活性型ビタミンD3製剤、腎機能正常でビタミンD不足が軽度の場合は天然型から開始、という方針が合理的です。患者の腎機能、骨折リスク、併用薬、血中ビタミンD濃度などを総合的に評価して選択することが重要です。

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