間質性視神経炎と診断と治療
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間質性視神経炎の症状と視力低下と眼痛
間質性視神経炎というラベルを臨床で意識する場面では、まず「視神経炎としての症状セット」を外さないことが最重要です。
視神経炎は、亜急性の視力低下に加えて、眼球運動時痛を伴うことが多く、片眼性で始まることが典型像として知られます。
一方で、両眼同時発症、視神経乳頭浮腫が目立つ、痛みが強い、回復が遅い/不十分といった“非典型”の雰囲気がある場合、NMOSD(AQP4抗体関連)やMOG抗体関連、あるいは視神経周囲炎などの別シナリオを早期に疑う発想が安全です。
現場では「中心暗点」が目立つケースが多い一方で、周辺視野障害が前景に出る場合は、視神経周囲炎(optic perineuritis)を鑑別に入れる価値があります。igakukotohajime+1
視神経周囲炎は“視神経そのものの脱髄”ではなく視神経鞘(sheath)主体の炎症として扱われ、視神経炎とは異なる概念として整理されています。neurology-jp+1
この違いは症状だけで完全に割り切れないものの、後述するMRI所見(視神経周囲の造影)と治療反応(ステロイドへの反応性や再燃パターン)が臨床の意思決定を左右します。webview.isho+1
間質性視神経炎の診断とMRIとSTIRと造影
視神経炎の診断は症状と所見の組み合わせで行い、補助検査としてMRIが重要になります。
日本語情報としても、視神経炎の病態把握にはMRI(STIR法など)が推奨される、という形で整理されている資料があります。
また、典型・非典型の分岐点を作る検査として、抗AQP4抗体・抗MOG抗体の評価は、NMOSDやMOGADを意識した視神経炎では外しにくい要素です。
視神経周囲炎を疑う場合、MRIで「視神経周囲」に強い造影効果(いわゆる周囲優位の所見)が示唆的で、視神経炎と鑑別に苦慮する疾患として国内でも整理されています。webview.isho+1
ステロイド治療が遅れることや、眼窩先端部の病変が絡むことが視力予後不良に関与し得る、という報告もあり、画像で病変部位を“言語化”して共有する価値があります。
参考)視力予後が不良であった視神経周囲炎の1例 (眼科 64巻9号…
このため、問診→眼科基本検査に加え、MRI(脂肪抑制や造影を含む)を早期に組み込む運用が、結果として治療開始の遅れを減らします。webview.isho+1
参考:視神経炎の症状・治療(メチルプレドニゾロン大量療法、反応不十分時の血漿交換など)の整理
参考)https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=32
間質性視神経炎のOCT所見とcpRNFLと黄斑部網膜内層
OCTは視神経疾患で、乳頭周囲網膜神経線維層(cpRNFL)厚や黄斑部網膜内層厚を定量し、経過観察や障害評価に役立つ、という整理が日本語文献でも明確です。
ただし視神経炎や虚血性視神経症では、急性期に乳頭腫脹があるとcpRNFL厚が“腫れでマスクされる”ため、黄斑部網膜内層厚測定の方が早期の軸索障害検出に有用になり得る点が落とし穴です。
この「急性期はcpRNFLが当てになりにくい」という発想は、視力や視野の回復/悪化とOCT値のズレを説明でき、上級者ほど重要視します。
さらに、視神経炎後には内層網膜が薄くなることがあり、OCTやOCT-Aを用いた視機能との関連評価が研究されていることからも、OCTは“診断補助”に留まらず“予後推定の材料”としての位置づけが強まっています。frontiersin+1
一方でOCTデータの解釈には主観が介入し得るため、視機能検査や眼底所見と合わせて総合評価が必要、という注意点も同じ日本語文献で述べられています。
参考)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001205741697792
実務的には「視力・視野・RAPDなどの臨床」と「OCTの構造」を同じ時間軸に並べ、矛盾が出たら再検・再評価(測定エラー、強い浮腫、別疾患)を考える運用が安全です。pmc.ncbi.nlm.nih+1
参考:視神経疾患におけるOCTの有用性(急性期cpRNFLの限界、黄斑部内層の有用性)
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001205741697792
間質性視神経炎の治療とステロイドパルスと血漿交換療法
視神経炎の治療では、メチルプレドニゾロン大量療法(いわゆるステロイドパルス)が基本に位置づけられ、反応が乏しい場合に血漿交換療法や免疫抑制薬、免疫グロブリン大量静注が応用される、という整理が日本眼科学会の一般向け解説にも明記されています。
また成人の視神経炎では、ステロイドパルスにより機能回復までの期間は短縮するが、最終的な視機能回復程度は治療しない場合と大差がないという報告がある、というまとめもあり、患者説明や治療目標設定に役立ちます。
つまり「早く回復させる(生活や仕事の復帰を助ける)」目的と、「最終予後を変える」目的が常に一致しない可能性を、医療者側が意識しておく必要があります。
一方で、ステロイド抵抗性の視神経炎に血漿交換療法を導入した症例報告もあり、MRI(STIR/造影)所見や抗体陰性などを含めて鑑別を走らせながら次の一手を検討する、という現場に近い意思決定が示されています。
参考)ステロイド抵抗性視神経炎に単純血漿交換療法を試みた1例 (眼…
NMOSD関連の視神経炎では、急性期治療としてステロイドパルスが一般的で、改善が乏しければ血漿浄化療法や免疫グロブリン大量静注が行われ得る、という患者・医師の解説資料もあり、病型によって“強めの治療”が必要になり得ることが読み取れます。
参考)CROSS TALK~患者さんと医師による座談会~視神経炎に…
このため、間質性視神経炎として診ているつもりでも、抗AQP4抗体・抗MOG抗体や神経症状の併存を丁寧に拾い、治療強度を誤らない設計が重要です。pmc.ncbi.nlm.nih+1
参考:NMOSDの視神経炎(中心暗点、急性期治療の流れ、中心フリッカー検査の位置づけ)
CROSS TALK~患者さんと医師による座談会~視神経炎に…
間質性視神経炎の鑑別と視神経周囲炎と中心フリッカー
独自視点として強調したいのは、「鑑別の軸を“視神経”だけに固定しない」ことです。
視神経周囲炎は視神経鞘の炎症が主座で、視神経炎とは別概念であり、視野障害が周辺優位になりやすいことがあるため、症状だけでも鑑別のヒントになります。
さらに、視神経周囲炎は再燃することがあり、ステロイドパルスで改善後、軽度再発を少量プレドニゾロンで管理できたという国内報告もあるため、「再発=すぐ別疾患」と決めつけず経過像を組み立てる必要があります。
また“見逃しやすいが使える検査”として、中心フリッカー検査(CFF)は視力低下より先に低下し得るため、早期診断や治療効果評価に役立つ、という解説がNMOSD関連資料に明記されています。nmosd-online+1
この「視力がまだ保たれているのに訴えが強い」「視野はそれほどでもないが何かおかしい」といった場面で、CFFをルーチンに組み込む運用は、紹介判断の精度を上げます。
鑑別の実務では、視神経炎(典型/非典型)、視神経周囲炎、圧迫性視神経症、虚血性視神経症などを、症状(痛み・視野)、眼底(乳頭浮腫のパターン)、MRI(視神経内か周囲か)、抗体(AQP4/MOG)、OCT(急性期の読み方)でクロスチェックする形が現実的です。pmc.ncbi.nlm.nih+2
【鑑別の着眼点(ミニ表)】
| 観点 | 視神経炎 | 視神経周囲炎 |
|---|---|---|
| 病変の主座 | 視神経の炎症として整理される | 視神経鞘が主座で視神経炎と別概念 |
| 視野障害 | 中心暗点などが典型像として扱われやすい | 周辺視野障害が多いことがある |
| MRIの示唆 | 視神経の病変評価にMRIが重要 | 視神経周囲の造影/高信号が示唆的 |
【臨床で役立つチェックリスト】
- 片眼性か両眼性か、眼球運動時痛の有無を明確化する。
- 中心暗点か周辺視野障害かを視野検査で言語化する。
- 中心フリッカー検査(CFF)を早期評価に入れる。
- OCTは急性期cpRNFLの“腫れによるマスク”を想定し、黄斑部内層も併用する。
- 非典型像なら抗AQP4抗体・抗MOG抗体を含めて病型を詰める。