移植性毛様体のう胞
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移植性毛様体のう胞の定義と病態
移植性毛様体のう胞は、「移植性」という語が示す通り、眼内のどこかに本来存在しない上皮が入り込み、嚢胞壁を形成して増殖・拡張するタイプの嚢胞性病変を臨床的に想定する概念です(実臨床では外傷・術後の文脈で疑うことが多いです)。
とくに毛様体は解剖学的に観察が難しく、病変があっても細隙灯では直接確認できないことがあるため、「前眼部の症状や隅角変化があるのに原因がはっきりしない」状況で鑑別に上がりやすい領域です。
また、同じH21.3群には「移植性前房のう胞」「移植性虹彩のう胞」も並列して登録されており、移植性嚢胞は部位別に整理して記載するのが診療録上も合理的です。
ポイントとして、毛様体嚢胞には“正常眼でも高頻度に見つかるもの”がある一方で、移植性を疑う状況では臨床的な意味(進行、炎症、隅角閉塞など)が変わり得ます。
参考)四肢及び尾部の広範囲皮膚欠損創に人工真皮と遊離皮膚移植による…
そのため「毛様体嚢胞」という所見名だけで完結させず、背景(外傷・手術など)と合併(眼圧、隅角、炎症所見)を結び付けて病態仮説を立てるのが医療従事者向けの実務的アプローチです。webview.isho+1
移植性毛様体のう胞のUBMと検査
UBM(超音波生体顕微鏡)は、50MHzの高周波を用い、側面・軸性解像力がおのおの約50µm、深達度は約4mmという前眼部向きの特性を持つ検査です。
このため、隅角・毛様体・虹彩後面といった「通常の検査機器では観察が困難な部位」の描出に優れ、毛様体部の嚢胞性病変を“存在確認”だけでなく“形態として”捉えやすくなります。
実際に、UBMを用いた研究では正常眼でも毛様体嚢胞が一定頻度で認められ、前眼部の病変を評価する際に「正常でも見える嚢胞がある」事実を常に念頭に置く重要性が述べられています。
ここが臨床での落とし穴で、UBMで嚢胞が見えた瞬間に診断が終わった気になりがちですが、むしろそこからが鑑別のスタートです。
疑うべきは、嚢胞のサイズ・数・局在(隅角への影響が強い位置か)、隅角閉塞の所見、眼圧、炎症の併存などで、単発の“所見”を“病態”へ格上げする材料を集めます。webview.isho+1
検査の組み立てとしては、
- 隅角鏡(可能なら圧迫も含めて)で機械的閉塞か癒着かを評価
- UBMで毛様体〜虹彩後面の嚢胞性病変を評価
- 眼圧、視神経/視野、前房炎症などで続発緑内障・ぶどう膜炎の関与を評価
という流れが、医療現場の実装として無理が少ないです。webview.isho+1
移植性毛様体のう胞の鑑別と診断
「移植性毛様体のう胞」として扱うべきかどうかは、画像での嚢胞所見だけでなく、病歴(外傷、眼内手術など)と経過(増大、炎症、眼圧変動)を合わせて判断するのが現実的です。
鑑別として重要なのは、同じ“前眼部の隆起”に見える腫瘍性病変との区別で、UBMが嚢胞と腫瘍の鑑別に役立った報告もあります(臨床的には「黒色隆起=即腫瘍」になりやすいので、画像での構造確認が価値になります)。
また、毛様体部の病変は細隙灯・通常の眼底検査で見落とされやすいという構造的制約があるため、症状(眼痛、霧視)や所見(隅角狭窄、眼圧上昇)が先に出るパターンも想定しておくと診断が遅れにくくなります。
鑑別の整理(臨床で迷いやすいポイント)を、あえて“実務向け”に単純化すると以下です。
- 先天/偶発的な毛様体嚢胞:正常眼でも比較的高頻度に見つかり得る。
- 嚢胞だが臨床的意義あり:隅角閉塞の一因となり得るため、続発緑内障の文脈で評価する。
参考)超音波生体顕微鏡で検出された虹彩毛様体嚢腫 (臨床眼科 50…
- 腫瘍性病変:嚢胞と腫瘍が併存・近接することもあり得るため、UBMなどで構造を確認して見誤りを避ける。imis.igaku-shoin+1
ここで重要な“意外な視点”は、「UBMで嚢胞が見える=原因がそれだ」と短絡しないことです。
正常でも嚢胞が見つかる頻度がある以上、同じ眼に別の原因(例:水晶体要因、炎症要因、術後変化など)が重なっていてもおかしくなく、鑑別の最後まで“並走”させる姿勢が診断精度に直結します。koedoganka+1
移植性毛様体のう胞と続発緑内障
UBMを用いた臨床眼科領域の記載では、虹彩毛様体嚢腫が高頻度にあり、閉塞隅角緑内障の一因となることが推定され、UBMが非侵襲的で有効な手段と評価される旨が述べられています。
つまり、嚢胞性病変を見つけたときは「視機能に影響しないなら経過観察」で済むケースがある一方、隅角閉塞に寄与しているなら緑内障としての管理(眼圧コントロール、発作予防、視神経評価)が前面に出ます。
続発緑内障は、ぶどう膜炎などの炎症や眼内手術後の合併症など、他疾患が原因で隅角閉塞を起こして眼圧が上昇するタイプがあるため、嚢胞だけで説明し切れない場合も“続発”の枠組みで再点検すると整理しやすいです。
臨床の落とし穴として、眼圧が日内で揺れたり、暗所で隅角閉塞が増えたりすると、受診タイミングによって所見が変わり「症状はあるのに検査が軽い」状態になり得ます。
UBMは光源を必要としないため暗所での観察が可能、かつ眼球圧迫を避けやすいという特徴が述べられており、隅角評価の精度を上げる助けになります。
嚢胞性病変が“隅角閉塞の主因”か“増悪因子”かを分けるのは簡単ではありませんが、少なくとも「嚢胞+隅角所見+眼圧」をセットで追うことで、臨床的に意味のある介入点が見えてきます。webview.isho+1
移植性毛様体のう胞の独自視点:病名コードと記載
医療現場では、診断学だけでなく「言葉を揃える」ことが引き継ぎ・紹介・監査・研究の品質に直結します。
ICD-10のH21.3群に「移植性毛様体のう胞」が明示されており、同列に「移植性前房のう胞」「移植性虹彩のう胞」も掲載されています。
この並びは、移植性嚢胞を“前眼部のどの部位に生じたか”で整理して記録する設計になっていることを示唆し、紹介状やサマリーでは「部位」「移植性を疑う根拠(外傷/手術など)」「合併(隅角/眼圧/炎症)」を1セットで書くと情報の欠損が減ります。
さらに、正常眼でも毛様体嚢胞が一定頻度で見つかるという知見を踏まえると、「毛様体嚢胞」という所見名だけでは“病気か偶発所見か”が伝わりません。
そこで、診療録上は「移植性毛様体のう胞(疑い)」のように“病態仮説”を明示し、鑑別に必要な要素(外傷/手術の時期、増大の有無、隅角閉塞の有無など)を併記する運用が、チーム医療では実利があります。jstage.jst+1
有用なこと(病名コードとして「移植性毛様体のう胞」を含む一覧)。
ICD10コード別病名検索(H21:移植性毛様体のう胞の掲載)
有用なこと(UBMの特性、毛様体嚢胞が正常眼でも一定頻度で見つかる点、暗所評価など前眼部評価の要点)。