目次
医師の当直と勤務実態
医師の当直スケジュールの基本
医師の当直スケジュールは、病院の規模や診療科によって大きく異なりますが、一般的な流れをご紹介します。
• 当直開始時間：通常17時〜18時頃
• 当直終了時間：翌朝8時〜9時頃
• 当直時間：約15時間〜16時間
多くの病院では、当直明けもそのまま日勤として勤務することが一般的です。つまり、医師は連続32時間以上の勤務を行うことになります。
医師の当直の実態や職場ごとの特徴について詳しく解説されています
当直の回数は診療科や病院の規模によって異なりますが、月に4〜8回程度が一般的です。救急科や産婦人科などの緊急性の高い診療科では、さらに多くなる傾向があります。
医師の当直中の仕事内容と流れ
当直中の医師の主な業務は以下の通りです：
- 入院患者の急変対応
- 救急外来での診察
- 救急車の受け入れ
- 夜間の病棟回診
- 緊急手術や処置の実施
当直中の具体的な流れは以下のようになります：
• 18:00 当直開始、引き継ぎ
• 19:00 カルテチェック、治療方針の確認
• 21:00 夜間回診
• 23:00〜翌4:00 救急対応、患者急変時の対応
• 4:00〜7:00 仮眠（状況が許せば）
• 8:00 日勤医師への引き継ぎ、朝食
意外なことに、当直中に全く睡眠が取れないということは珍しく、多くの場合、数時間の仮眠時間が確保されています。ただし、救急搬送が多い夜や患者の急変が続く場合は、睡眠時間が確保できないこともあります。
医師の当直回数と睡眠時間の実態
医師の当直回数と睡眠時間の実態について、いくつかの調査結果をご紹介します。
• 当直回数：月平均4.5回（2022年調査）
• 当直中の平均睡眠時間：2.8時間
• 当直明けの日勤がある割合：約70％
これらの数字からも、医師の勤務実態が過酷であることがわかります。特に、当直明けにそのまま日勤を行うことは、医師の健康状態や医療安全の観点から問題視されています。
興味深いのは、「寝当直」と呼ばれる比較的楽な当直も存在することです。これは主に、夜間の外来対応がほとんどなく、入院患者の急変時のみ対応する当直のことを指します。ただし、このような当直は大規模病院や特定の診療科でしか見られません。
医師の当直と働き方改革の影響
2024年4月から始まる医師の働き方改革により、当直を含む医師の勤務実態に大きな変化が予想されます。
主な変更点：
- 時間外労働の上限規制導入
- 連続勤務時間の制限（原則28時間まで）
- 勤務間インターバルの確保（9時間以上）
これらの規制により、従来の当直明け日勤という勤務形態の見直しが必要となります。
2024年からの医師の働き方改革と当直への影響について詳しく解説されています
時間外労働の上限は、原則年960時間（B水準、C水準では年1,860時間）と定められています。これにより、多くの病院で当直回数の削減や当直体制の見直しが進められています。
例えば、以下のような対策が取られています：
• 交代制勤務の導入
• 当直明けの勤務免除
• 非常勤医師の活用増加
• タスクシフト（医師以外の医療従事者への業務移管）
これらの変更により、医師の労働環境改善が期待される一方で、医療提供体制の維持に課題が生じる可能性も指摘されています。
医師の当直アルバイトの需要と特徴
医師の働き方改革に伴い、当直アルバイトの需要が高まっています。特に、地方の中小病院では常勤医師の確保が難しく、当直アルバイトに頼らざるを得ない状況が続いています。
当直アルバイトの特徴：
• 高額な報酬（1回あたり10万円〜20万円程度）
• 勤務時間の融通が利く
• 様々な医療機関での経験を積める
一方で、以下のような課題も指摘されています：
• 患者情報の把握が不十分になりやすい
• 医療の質の低下につながる可能性
• 常勤医師の負担増加（日中の業務が増える）
興味深いのは、当直アルバイトを行う医師の中には、副業として行う開業医も多いということです。開業医にとって、当直アルバイトは収入増加だけでなく、最新の医療技術や知識を学ぶ機会にもなっています。
医師の当直と勤務実態は、医療の質と安全性に直結する重要な問題です。2024年からの働き方改革により、大きな変革期を迎えていますが、医師の労働環境改善と医療提供体制の維持の両立が求められています。今後も、様々な取り組みや工夫が続けられることでしょう。