医療用麻薬一覧と厚生労働省
医療用麻薬一覧 厚生労働省の確認ルート
医療従事者が「医療用麻薬一覧 厚生 労働省」で検索する背景には、①“麻薬に該当するか”の法規制、②“がん疼痛でどう使うか”の臨床、③“どう管理するか”の運用が混ざりやすい、という事情があります。厚生労働省の資料はこの3点を分けて参照すると、迷いが減ります。特に「医療用麻薬適正使用ガイダンス(令和6年)」は、臨床使用と管理を一冊で確認できる実務寄りの資料で、巻末付録に「医療用麻薬一覧」が置かれています。
一方、「麻薬・向精神薬の指定状況」を探す場合は、厚生労働省の指定情報への導線を掲載している自治体ページ(例:東京都保健医療局)が見つけやすいことがあります。東京都のページは“現在指定されている麻薬等の一覧は厚生労働省サイトにある”と明記し、麻薬・向精神薬の指定状況ページへ案内しています。
参考)現在指定されている麻薬等
ここで重要なのは、検索で出てくる「指定薬物一覧(危険ドラッグ文脈)」を、医療用麻薬の“薬剤一覧”と取り違えないことです。指定薬物は医療用麻薬とは別の枠組みで、目的も運用も異なるため、医療機関の麻薬管理やがん疼痛の処方実務の確認には直結しません(検索結果に混ざりやすいので注意が必要です)。
参考)https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/scheduled-drug/list.html
医療用麻薬一覧 厚生労働省と麻薬及び向精神薬取締法
医療用麻薬の取り扱いは、乱用されれば重大な危害を生じ得るため、法令により使用・管理が厳格に規定される、という前提がガイダンス冒頭で繰り返し強調されています。臨床現場では「よく使う薬」になっている一方で、管理は“医薬品一般”よりも厳密で、ここがヒヤリ・ハットの温床になります。
「麻薬」「向精神薬」「麻薬向精神薬原料」などの区分は、用語として似ていても、必要な手続きや管理が異なるため、条文上の定義に立ち返るのが安全です。条文の参照として、麻薬及び向精神薬取締法(全文検索できる法令データ)をブックマークしておくと、院内規程の文言整備や監査対応で役立ちます。
また、現場が混乱しやすいのが「オピオイド鎮痛薬=全部が医療用麻薬ではない」という点です。厚生労働省ガイダンスでも、薬理(オピオイド鎮痛薬)と法規(医療用麻薬)を文章内で意識的に書き分け、法令事項は「医療用麻薬」として扱う姿勢が示されています。
医療用麻薬一覧 厚生労働省とオピオイド鎮痛薬
がん疼痛における薬物療法は、非オピオイド鎮痛薬・オピオイド鎮痛薬・鎮痛補助薬に分類して整理され、痛みの強さに応じて選択・増量(タイトレーション)するのが基本です。ガイダンスには、モルヒネ、オキシコドン、ヒドロモルフォン、フェンタニル、メサドン、タペンタドール等の位置づけ、投与経路(経口・貼付・口腔粘膜吸収・坐剤・注射)の選択、レスキュー薬の考え方が具体的にまとまっています。
実務で“意外に見落とされる”のが、同じ薬剤でも製剤学的な注意が強く求められる点です。例えば徐放製剤は「噛む・割る・砕く・溶解して服用しない」と明記され、患者指導の必須項目になっています(在宅や外来で情報が欠落しやすい箇所です)。
もう一つの盲点は相互作用です。オキシコドンやフェンタニル、メサドンはCYP3A4等の影響を受け、抗真菌薬やマクロライド系抗菌薬など併用薬の追加で過鎮静・せん妄・呼吸抑制リスクが上がり得るため、開始・増量・併用変更時に「処方は同じでも状態が変わる」ことをチームで共有する必要があります。
医療用麻薬一覧 厚生労働省と自己管理
ガイダンスは「入院中における患者自身による管理」や「自宅における患者や家族による管理」も章立てされ、医師・薬剤師・看護師が“同じ資料で同じ言葉”で説明できるように作られています。レスキュー薬の説明ポイント(頓用の意味、効果発現の目安、1時間後に痛みが和らがない場合の対応、我慢しないこと等)が箇条書きで整理されており、患者説明のテンプレとしても有用です。
在宅での運用では「不要になった医療用麻薬の対応」がトラブルになりやすいのですが、厚生労働省の自己管理マニュアルでは、不要薬が出た場合は調剤した薬局や病院へ持参して対応を依頼するよう指導する旨が明記されています。自己判断での廃棄や、家族間での“譲渡”に近い行為を未然に防ぐため、退院指導や訪問看護の場面で、説明の一文として組み込む価値があります。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001245822.pdf
さらに、医療用麻薬は「海外渡航での携帯」にも注意が必要で、ガイダンス内でも各国の規制に触れ、手続き章を独立させています。患者が旅行を希望したときに、主治医・薬局が“後追いで慌てる”ことが多いので、外来で早めに話題に出すこと自体が安全対策になります。
医療用麻薬一覧 厚生労働省と依存の独自視点
検索上位の記事は「一覧」「換算」「副作用」「保管」の話に寄りがちですが、医療従事者向けに一段深掘りすると、“依存”の語の使い分けが安全文化に直結します。厚生労働省ガイダンスでは、がん疼痛で適切な投与計画に従ってオピオイド鎮痛薬を継続投与することで精神依存が問題となることは少ない、という記載があり、恐怖心で鎮痛が遅れることを避ける意図が読み取れます。
一方で、非がん性慢性疼痛では依存・嗜癖の頻度ががん疼痛より高いという報告があり、同じ「オピオイド」という言葉でもリスク構造が異なります。J-STAGE掲載の調査・総説では、非がん性慢性痛でオピオイドを処方されている患者の依存頻度14.4%、嗜癖頻度19.3%という引用が示されており、適応と評価の精度がリスクを左右する現実を突きつけます。
参考)オピオイド使用外来患者の乱用・依存に関する適正使用調査
このギャップが現場にもたらす“意外な影響”は、患者だけでなく医療者側の態度にも出る点です。がん疼痛の患者に対しても「依存が怖いから最小限で…」と過度に控える空気が残ると、痛みの評価が遅れ、レスキュー運用が曖昧になり、結果的に突出痛が増えてQOLが落ちます(逆に、非がん性慢性疼痛では「がん患者と同じ感覚」で漫然と増量しない仕組みが必要です)。このため、院内教育では「医療用麻薬一覧(法規)」と「適正使用(臨床)」に加え、「対象患者の文脈(がん疼痛か、非がん性慢性疼痛か)」をセットで教えるのが、実は最短距離のリスク対策になります。
参考:臨床使用と管理の全体像(付録に医療用麻薬一覧を収載)
厚生労働省「医療用麻薬適正使用ガイダンス(令和6年)」PDF
参考:指定状況ページへの導線(麻薬・向精神薬の指定状況の探し方)
参考:非がん性慢性疼痛での依存・嗜癖頻度の引用がある論文(依存リスク整理)