胃カルチノイド 治療
胃カルチノイド 治療 Rindi 分類
胃カルチノイドは、現在は「胃NET(神経内分泌腫瘍)」として整理され、臨床ではRindi分類(Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型)が治療選択の出発点になります。Rindi分類は“基礎疾患”と“高ガストリン血症の有無”を軸にしており、腫瘍の悪性度や臨床経過と相関する点が重要です。特にⅠ型とⅡ型は高ガストリン血症を背景にECL細胞が刺激されて生じる病態で、胃底腺領域に1cm以下で多発し、悪性度が低いことが多いとされています。Ⅲ型は基礎疾患を伴わず高ガストリン血症もなく、単発で1cm以上で見つかりやすく、リンパ節転移・肝転移リスクが高い点が治療上の分岐になります。
臨床現場での「最初の落とし穴」は、病理で“NET G1/G2”と返ってきた時点で安心してしまい、背景(自己免疫性胃炎・Zollinger-Ellison症候群など)評価が後回しになることです。Rindi分類は“腫瘍そのもの”だけでなく“背景胃粘膜”の理解がセットなので、上部内視鏡所見(体部優位の萎縮=いわゆる逆萎縮など)と血液検査(ガストリンなど)を同時にそろえて初めて、治療の強度(経過観察〜内視鏡切除〜外科)を語れます。
胃カルチノイド 治療 内視鏡 切除
ガイドライン的には、Rindi分類Ⅰ型で腫瘍径1cm未満かつ深達度が粘膜下層(sm)までにとどまる胃NETは「経過観察または内視鏡的切除」を推奨し、Ⅱ型でも同条件なら「内視鏡的切除」を推奨します。反対にⅢ型胃NETは基本的に内視鏡的切除の適応とはならない、と明確に整理されています。
内視鏡治療の手技として推奨されるのは、吸引法・2チャンネル法などの工夫を加えたEMR、またはESDです。胃NETは粘膜内病変が少なく、内視鏡治療の対象でもsm病変が多いので、断端陰性(R0)を狙ううえで“通常のEMRでは不利になりやすい”という背景をチーム全体で共有しておくと、術式選択のブレが減ります。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/pde/78/2/78_70/_pdf
実務的には、治療計画を立てる前に「局所評価(腫瘍径、個数、深達度)」「転移評価(リンパ節/肝など)」「病型推定(Rindi分類)」の3点を同時並行で詰めます。特に“個数”はⅠ型で多発しやすく、内視鏡切除の対象が増えると手技的負担と偶発症リスクも増えるため、1個だけを見て決めない(胃全体のマッピングを意識する)ことが現場では大切です。
胃カルチノイド 治療 追加 手術
Ⅲ型胃NETは悪性度が高く、基本は外科的手術を推奨する、という立ち位置です。近年Ⅲ型に対する内視鏡的切除報告もありますが、十分なエビデンスがなく“原則として外科”という枠組みは維持されています。
またⅠ型・Ⅱ型の範囲でも「内視鏡切除をした後に追加治療が必要か」は、実臨床で最も揉めやすい論点です。ガイドライン本文が強調しているのは、胃NETのエビデンスは多くなく、合意形成に基づく推奨が含まれること、そして“断端陰性化の工夫”が重要という点です(断端陽性・脈管侵襲・深達度などの病理情報で、追加切除/手術の議論に入る)。
さらに意外に見落とされがちなのが、Ⅰ型の「多発で内視鏡的切除が困難」なケースです。この場合、幽門洞切除術による高ガストリン血症の是正が治療選択肢になり得る、という記載があり、“腫瘍を取る”以外に“背景のドライバー(ガストリン)を下げる”発想が存在します。
胃カルチノイド 治療 高ガストリン
胃カルチノイド(胃NET)診療では、ガストリン値は「Rindi分類の推定」と「再発/新規病変が出る背景の理解」に関わるため、単なる参考値ではありません。Rindi分類Ⅰ型・Ⅱ型は高ガストリン血症を伴うことが多く、ECL細胞がガストリン刺激で増殖し腫瘍化する、という病態整理が示されています。
独自視点として強調したいのは、PPI内服が“高ガストリン血症を人工的に作る”点です。消化管NETの診療ガイドライン(第1版)でも、PPI使用時のガストリン値は診断の有用性がないこと、測定するなら中止期間に配慮が必要なことが述べられており、胃NETの病型推定でも同じ落とし穴が起こり得ます(PPIで高ガストリン→Ⅰ型っぽく見える、など)。
参考)目次|胃癌治療ガイドライン 第6版|一般社団法人 日本胃癌学…
また、A型胃炎(自己免疫性胃炎)との関係は、Ⅰ型胃NETの臨床で重要です。日本消化器内視鏡学会の研究会報告では、A型胃炎の診断の考え方として「体部優位の萎縮」「高ガストリン血症」「抗壁細胞抗体/抗内因子抗体」などが挙げられており、背景胃炎の評価が“腫瘍だけを見ない診療”につながります。
参考:胃NET(胃カルチノイド)に対する内視鏡切除の適応、Rindi分類ごとの考え方がまとまっています。次のリンクは「胃NETに対する内視鏡的切除の適応・推奨手技」「Rindi分類の解説」部分が有用です。
日本癌治療学会系:膵・消化管NEN診療ガイドライン(内科・集学的治療:胃NETの内視鏡切除適応とRindi分類)
参考:PPIとガストリン、機能性NET診断の注意点などが記載されており、「高ガストリン血症をどう解釈するか」の背景理解に役立ちます。