胃悪性リンパ腫 画像 内視鏡 CT PET 診断

胃悪性リンパ腫 画像

胃悪性リンパ腫 画像:このページで掴む要点
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内視鏡は「多彩」を前提に読む

びらん・潰瘍・粘膜下腫瘍様隆起・皺襞肥厚などが同時に混在し得るため、単発所見に依存しない観察軸を作る。

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CT/PETは「得意不得意」がある

DLBCLではPET感度が高い一方、MALTなど低悪性度ではPETの有用性が確立していない点を前提に検査計画を組む。

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確定は生検+免疫染色

画像は診断の入口。最終的には病変部生検で組織診断を行い、CD20など免疫組織化学も含めて組織型を詰める。

胃悪性リンパ腫 画像 内視鏡 所見:MALTリンパ腫 DLBCL

 

胃悪性リンパ腫の内視鏡「画像」を学ぶうえで最初に押さえるべきは、所見が一様ではなく“多彩で混在しやすい”という前提です。胃MALTリンパ腫では、多発びらん・潰瘍、褪色調粘膜、早期胃癌類似様、敷石様粘膜、粘膜下腫瘍様隆起、皺襞肥厚などが列挙され、同時に複数の病変・複数所見を呈することも多いとされています。つまり「胃炎っぽい」「浅い潰瘍っぽい」など単独印象で片付けるほど見逃しやすく、観察者側が“多発・不均一・所見の同居”を探しに行く姿勢が重要になります。

一方、胃DLBCLは潰瘍形成や1型・2型進行癌様、皺襞肥厚などを呈し得るとされ、画像上の顔つきはより“腫瘤性・破壊性”に寄りやすい場面があります。 とくに実地では「潰瘍を伴う腫瘤」に遭遇したとき、胃癌画像の文脈だけで評価しがちですが、リンパ腫では潰瘍辺縁の形態がヒントになることがあります。日本消化器病学会の解説資料では、潰瘍辺縁に不整所見を欠く“耳介様周堤”がDLBCLを疑う所見として述べられています。

参考)A 胃悪性リンパ腫の診断

また、臨床の落とし穴として“組織が取れても診断がつかない”局面があります。潰瘍面の壊死組織ばかりを採ってしまうと診断に迫れず、潰瘍周縁から確実に組織採取する重要性が指摘されています。 画像で「怪しい」のに病理が追いつかないときは、採取部位(潰瘍底 vs 辺縁)という撮り方・取り方の問題をまず疑うのが合理的です。

参考:胃悪性リンパ腫の内視鏡所見が多彩で、耳介様周堤や生検の採取部位(潰瘍周縁)が重要な点

https://www.jsge.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/120-4A.pdf

胃悪性リンパ腫 画像 CT:胃壁 肥厚 伸展性

胃悪性リンパ腫の「画像」評価では、内視鏡だけでなくCTで病変の広がりを立体的に捉える視点が欠かせません。胃悪性リンパ腫の病期診断に必要な検査として、頸部から胸部および全腹部のCTが挙げられています。 胃局所の評価にとどまらず、リンパ節や他臓器、節外病変の有無まで“同じ尺度”で拾いにいけるのがCTの強みです。

ただし、CT画像で胃癌と胃リンパ腫を完全に二分するサインが常にあるわけではありません。そこで臨床的に役立つのが「壁肥厚の割に伸展性が残る」「周囲脂肪層が比較的保たれる」といった、浸潤性胃癌(例:スキルス)と比べたときの違和感の拾い方です。FDG-PET/CT診断の講演資料では、巨大皺襞型とスキルス型胃癌の鑑別点として、CTでびまん性肥厚があっても伸展性が残存し周囲脂肪層が保たれる点が触れられており、画像を“所見の強さ”だけでなく“胃のふるまい”で読む視点が示唆されます。

参考)https://khmg.jp/programs/pet_vol04_C.pdf

臨床現場では、内視鏡画像で「巨大皺襞」「びまん性の変化」を見たとき、メネトリエ病やスキルス胃癌などの鑑別が同時に上がります。日本消化器病学会の資料でも、胃悪性リンパ腫がメネトリエ病やスキルス胃癌に類似する巨大皺襞を呈することがあるとされ、見た目だけで決め打ちしない姿勢が重要です。 つまりCTは“診断確定”の道具というより、鑑別の軸を増やし、生検・追加検査の精度を上げる道具として位置づけると使いどころが明確になります。

胃悪性リンパ腫 画像 PET:感度 DLBCL MALT

胃悪性リンパ腫の「画像」診断でPETを語るとき、DLBCLとMALTを同列に扱わないことが最重要です。胃悪性リンパ腫の診療手引きでは、PETは有用でDLBCLやHodgkinリンパ腫ではほぼ100%の検出感度が報告されている一方、MALTリンパ腫を含む低悪性度リンパ腫では有用性がまだ確立されていないと明記されています。 “PETが陰性だから否定的”という短絡は、MALTを相手にすると誤りになり得ます。

さらに、病期診断に必要な検査としてPETが挙げられていることからも分かるように、PETの価値は「原発巣の描出」だけではありません。 たとえば、胃病変そのものの集積が乏しくても、所属リンパ節や遠隔病変の評価、治療効果判定の枠組み(Lugano分類など)に接続しやすいという利点があります(ただし適応や施設運用は各ガイドライン・各科連携に従う必要があります)。

ここで意外に見落とされがちな実務ポイントは、「検査の順番」と「何をもって“画像での進展”と呼ぶか」です。内視鏡画像が多彩で、かつ病変が多発することもある胃MALTでは、局所所見だけで病期を想像してしまうと過大評価・過小評価の両方が起こり得ます。 PET/CT・CT・内視鏡を“別々の検査”として読むのではなく、同じ病態(胃壁・リンパ節・節外)を別の窓から見ていると捉えると、検査の整合性チェックがしやすくなります。

参考:胃悪性リンパ腫の病期診断に必要な検査(CT/PET等)と、DLBCLではPET高感度・MALTでは有用性未確立という注意点

A 胃悪性リンパ腫の診断

胃悪性リンパ腫 画像 鑑別:胃癌 GIST 薬剤起因性潰瘍

胃悪性リンパ腫の「画像」鑑別では、胃癌だけを相手にしないことが実務上のポイントです。日本消化器病学会の資料では、胃悪性リンパ腫の内視鏡像が、薬剤起因性潰瘍に類似する浅い潰瘍、進行癌に類似する深い潰瘍、GISTに類似する腫瘤、スキルス胃癌やメネトリエ病に類似する巨大皺襞など“別疾患の顔”を取り得るとまとめられています。 つまり鑑別の土俵は「胃癌 vs リンパ腫」ではなく、「潰瘍性病変」「腫瘤性病変」「びまん性皺襞型」といった形態学の括りごとに広がります。

鑑別の実装として役立つのは、画像を見た瞬間に“次の一手”を固定化することです。たとえば潰瘍性病変でリンパ腫を疑う場合、潰瘍底の壊死ではなく周縁から組織を取る、複数箇所から十分量を確保する、といった戦術が診断率に直結します。 一方で、びまん性変化(巨大皺襞や壁肥厚)では、CTで伸展性や周囲脂肪層の保たれ方などを合わせて評価し、スキルス胃癌“らしさ”とのズレを拾う発想が有効です。

また、確定診断が病理に依存する点は強調しすぎてよい領域です。胃悪性リンパ腫の診断は生検による組織診断で確定され、免疫組織化学(CD20など)も用いられるとされています。 画像診断は「鑑別の幅を絞る」「病変の全体像と採取戦略を決める」役割に徹し、病理と往復する設計が最短距離になります。

胃悪性リンパ腫 画像 独自視点:生検 免疫染色 API2-MALT1

画像から一歩踏み込んだ独自視点として、“画像が揃っても治療反応が読めない症例”に備えた分子病理の情報整理が役立ちます。胃MALTリンパ腫では、API2-MALT1融合遺伝子(t(11;18)(q21;q21))の有無をFISH法やRT-PCR法で可能な限り検索する、という記載が診療手引きにあり、胃では約20%に認められるとされています。 これは画像そのものではありませんが、画像の「その後」を決める重要情報で、たとえば“除菌で退縮しにくい背景”を考える起点になり得ます(実際の治療選択は血液内科・消化器内科の方針に従います)。

さらに、胃MALTリンパ腫の多くはH. pylori感染が背景病変(リンパ濾胞性胃炎)として考えられ、除菌で多くが退縮するとされています。 ここでの実務的な落とし穴は、「内視鏡画像が軽そう=除菌で十分」と早合点することです。DLBCLではH. pyloriとの明確な関連性は認められないとされ、MALT成分を有する例・有さない例が混在し、発生病因が単一でない可能性も述べられています。 画像で“表層型っぽい”からといって、組織型の確定前に病態を単純化しないことが、結果的に患者安全につながります。

最後に、医療従事者向けの“現場で効く”小さな工夫として、画像の読影メモをテンプレ化しておく方法があります。例えば、内視鏡では「多発性」「境界の不明瞭」「敷石様」「粘膜下腫瘍様」「皺襞肥厚」「耳介様周堤の有無」、CTでは「壁肥厚の範囲」「伸展性」「周囲脂肪層」「リンパ節」、PETでは「DLBCL想定かMALT想定か」を最低限のチェック項目として固定すると、経験年数に依存しにくい評価が可能になります。

【実務チェック(例)】

  • 内視鏡画像:多発/不均一/複数所見の同居を探す。​
  • 潰瘍+腫瘤:耳介様周堤の有無、採取は潰瘍周縁を優先。
  • CT画像:壁肥厚の割に伸展性が残るか、周囲脂肪層が保たれるか。​
  • PET画像:DLBCLでは高感度が期待されるが、MALTでは陰性でも否定しない。​
  • 病理:免疫染色(CD20等)+必要に応じAPI2-MALT1などの検索を検討。​


胃と腸 2014年 増刊号 特集/消化管悪性リンパ腫2014