変形性足関節症ストレッチ
変形性足関節症ストレッチの目的:痛みと可動域
変形性足関節症は、足関節を構成する脛骨と距骨の関節面を覆う軟骨がすり減ることで生じ、進行すると可動範囲が狭くなり、歩行時痛が中心症状になります。
この疾患でストレッチを行う臨床的な目的は、①痛みを直接「消す」ことよりも、②動作に必要な可動域(背屈・底屈など)の余裕を確保し、③荷重時の関節ストレスを下げる“動きの選択肢”を増やすことに置くほうが安全です。
また、足関節は捻挫や骨折など外傷歴(反復捻挫含む)と関連しやすく、関節不安定性を背景に変形が進むケースもあるため、柔軟性だけに偏ると「動くが支えられない」状態を助長し得ます。
医療従事者が患者指導で押さえるべきなのは、「ストレッチ=善」ではなく、痛みの性質(開始時痛、長時間で再燃など)と活動量をセットで扱うことです。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10457687/
済生会の解説では、初期は歩き始めの痛みがあり、しばらく歩くと軽減し、長く歩くと再び痛むという特徴が示されています。
このパターンは「短時間の軽い可動域運動や準備運動で動き出しを作り、長時間負荷は分割する」など、セルフマネジメント設計に落とし込みやすい所見です。
変形性足関節症ストレッチの前提:不安定性と装具
変形性足関節症では、足底挿板(インソール)で足部外側を持ち上げる工夫や、サポーターで足首の安定化を図る保存療法が選択されます。
これは「関節面の摩耗そのものを戻せない」前提で、荷重のかかり方を変えたり、ぐらつきを減らしたりして症状をコントロールする考え方です。
ストレッチを処方する際も同様に、関節内の圧縮ストレスを増やしにくい姿勢(非荷重・軽荷重)から開始し、必要に応じて装具・テーピング併用で“動かしながら守る”構図を作るほうが現実的です。
臨床で見落としやすいのが、ストレッチ実施時の「軸のぶれ」です。
足関節において距骨の前方すべりや回内・回外が過度に起きると、単に背屈を出したいだけなのに関節への剪断ストレスが増えることがあります(特に痛みが強い時期)。
そのため、患者が自宅で行う場合は「回数・秒数」よりも「膝とつま先の向きを揃える」「かかとを浮かせない」など、動作の質にフォーカスした指示が安全です。
変形性足関節症ストレッチの具体例:背屈と底屈
足関節可動域の入口としては、背屈制限(しゃがみ込み、階段下降で問題化)をまず評価し、痛みが落ち着く範囲で“ゆっくり”可動域を使う練習が基本になります。
他動・自動の区別でいえば、介助が必要な人では他動運動(ROM訓練)も選択肢ですが、目的が「関節可動域を動かすこと」なのか「特定筋の柔軟性を上げること」なのかを言語化して一致させることが重要です。
掲示板の指摘にもある通り、制限因子が筋の硬さにあるなら、実施内容はROM運動ではなく「〇〇筋ストレッチ」として設計したほうが介入が明確になります。
実施例(非荷重・安全優先のイメージ)
✅ 1)底屈方向の可動域練習(前脛骨筋の伸張を伴う)
・膝下にタオルを入れて軽く膝を曲げ、足首を包むように保持し、つま先方向へゆっくり倒していきます。
参考)https://nou-reha.com/family-exercise/14074
・戻すときに母趾が内側へ入りすぎないよう、まっすぐ〜やや外側を意識して戻します。
✅ 2)背屈方向は「反動なし」で短時間から
・壁や台を使い、踵を床につけたまま下腿を前へ移動させ、痛みが強くならない角度で数秒キープします(いわゆる腓腹筋〜ヒラメ筋のストレッチに近い考え方)。ononavi1717+1
・開始時痛が強い場合は、キープ時間を短くし回数を分け、実施後の痛みが翌日に残るなら負荷過多と判断します。
※足関節症例では「背屈を出したい」一心で、距骨前方インピンジメント様の痛みを誘発しやすい点が要注意です。
このときは無理に背屈を押し切らず、いったん腫脹・熱感など炎症所見の確認、荷重量の調整(杖・装具)、そして疼痛の落ち着くレンジでの運動へ戻すほうが結果的に継続率が上がります。pmc.ncbi.nlm.nih+1
変形性足関節症ストレッチと筋力:足部と下腿
One Clinic麹町の解説では、保存療法の中心に理学療法(筋力強化・柔軟性向上など)が置かれ、サポーターやテーピングで安定性を高める方針が示されています。
つまり、ストレッチは単独で完結させず、同日に「支える筋」を起こす流れ(軽い筋トレ、歩行の再学習)とセットで提示するのが医療者として妥当です。
足部〜足関節の機能は、膝のアライメントや動作にも影響し得るため、足関節の可動域や足部機能に焦点を当てた介入が下肢運動連鎖に影響するという視点も、患者教育に活用できます。
意外と見逃されがちなのが「足部内在筋」の働きです。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10983661/
短趾屈筋などを含む足部内在筋を狙う“ショートフットエクササイズ”は、他部位の運動と組み合わせて痛みや機能、バランスなどの改善を評価した研究が報告されており、足部の能動的な支持性という観点を臨床に持ち込みやすい要素です。
変形性足関節症そのものの特効ストレッチを探すより、足部の支持性+下腿筋の柔軟性+活動量調整の三点セットに落とし込むほうが、再現性のある指導になりやすいです。
変形性足関節症ストレッチの独自視点:開始時痛の「準備運動」
済生会の記載にある「歩き始めに痛いが、しばらく歩くと軽減する」特徴は、臨床では“開始時痛”として説明され、朝や立ち上がり直後の動作で訴えが出やすいポイントです。
ここにストレッチを当てはめる独自の工夫として、歩行そのものを始める前に「関節を温める・潤滑させる」意図で、超低負荷の足関節ROMを30〜60秒だけ入れる“儀式化”が有用なことがあります(例:座位で足首をゆっくり回す、背屈底屈を小さく反復する)。
これは「強く伸ばす」発想ではなく、「動き始めの摩擦・こわばりを減らしてから荷重へ移る」設計で、患者のセルフエフィカシーを高めやすいのが利点です。
さらに、痛みが強い日ほどストレッチ強度を上げてしまう患者が一定数いますが、済生会は痛みがあるときは無理せず関節を休め、激しい運動や長時間歩行、凸凹道の歩行などを控えることが望ましいとしています。
この方針をそのまま運動処方に翻訳し、「痛みが強い日はストレッチを“短く・浅く・回数分割”、痛みが軽い日に“少しだけ伸張時間を増やす”」という可変ルールを決めると、増悪を避けながら継続しやすくなります。
医療従事者向けの記事としては、患者が自宅で守れる“停止基準”もセットにすると安全性が上がります(例:実施中に鋭い痛みが出たら中止、翌日まで痛みが増えるなら負荷を下げる)。
(論文・エビデンスの一例:足部運動を組み合わせた介入の考え方として参照)
足関節を含む運動介入が下肢アライメントに与える影響の系統的レビュー(英語)
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8265381/
(日本語の権威性ある参考:病態・症状・治療選択、生活指導の根拠に)
変形性足関節症の病態、症状(開始時痛など)、検査、保存療法(インソール・サポーター)と手術療法の概要。
済生会:変形性足関節症

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