反射性瞳孔強直と鑑別診断
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反射性瞳孔強直の対光反射と近見反応
反射性瞳孔強直を臨床で疑う入口は、対光反射が弱い(遅い)一方で、近見反応が保たれやすいという「対光近見反応解離(light-near dissociation)」の確認です。
この解離は、瞳孔括約筋や毛様体筋への副交感神経(節後線維)障害と、その後の再神経支配が関与すると説明され、結果として近見時に強直性に縮瞳し、戻りが遅い所見につながります。
診察では「暗所→明所」で瞳孔不同が目立つか(大きい瞳孔が異常であることの確認)も重要で、反射性瞳孔強直側が相対的に散瞳して見える状況を作ると所見が取りやすくなります。
- 観察のコツ:室内照明を少し落とし、ペンライトは斜めから当てて直接対光反射を確認する。
- 併せて確認:間接対光反射(対側の収縮)も見て、求心路・遠心路の大きな破綻がないかを俯瞰する。
- 近見反応:目標を1m→鼻先2~3cmへ近づけ、縮瞳が出るか・戻りが遅いかを観察する。
「対光反射=光で縮瞳」という基本を押さえた上で、反射性瞳孔強直では“縮むが鈍い/遅い”という質の変化に注目すると、単なる見落としが減ります。kango-roo+1
参考:対光反射・輻輳反射の実際の見方(手順と緊急疾患の考え方がまとまっている)

反射性瞳孔強直の原因とAdie症候群
緊張性(アディ)瞳孔は、毛様体神経節の損傷による永続的で非進行性の瞳孔の異常散大として整理され、典型的には20~40歳の女性に多いとされています。
反射性瞳孔強直の文脈では、腱反射の低下・消失を合併した場合にAdie症候群(Holmes-Adie症候群)として扱い、眼所見だけで完結しない可能性を意識します。
原因は特発性とされることが多い一方、外傷・手術・血行不良・感染症などが関与する可能性も示され、問診で「きっかけ」を拾う価値があります。
- 問診の要点:発症の急性/亜急性、眼科手術歴、外傷歴、感染エピソード、片眼か両眼か。
- 身体所見:膝蓋腱反射・アキレス腱反射の左右差/低下(Adie症候群の示唆)。
- 患者訴え:羞明、暗順応の困難、近見の見えづらさ(調節障害)をセットで聴く。
「瞳孔だけの異常」に見えても、深部腱反射まで触れておくと、紹介状やカルテの説得力が上がります。msdmanuals+1
反射性瞳孔強直の鑑別診断と薬物反応
瞳孔反応異常の鑑別では、理学的検査(対光反応・近見反応・暗順応など)に加えて、薬物学的方法が知られており、メコリール(Mecoril)やエゼリン(Eserine)などの反応が議論されてきました。
古典的には、メコリールによる瞳孔緊張症の診断法が臨床的価値が比較的大とされ、他の臨床所見と合わせて評価する必要がある、とまとめられています。
一方、近年は「除神経過敏」を利用した希釈ピロカルピン試験がよく知られ、0.0625%ピロカルピンで患側が有意に縮瞳しやすく、診断能の比較が報告されています。
- 薬剤性散瞳の注意:抗コリン作用(副交感神経遮断)や交感神経刺激で散瞳が起こり得るため、点眼・内服・検査薬の確認が必須。
- 検査で迷う場面:救急/病棟では「いつ、何を点眼したか」が不明確になりやすく、薬歴確認が鑑別の近道になる。
- 検査の落とし穴:希釈ピロカルピンでも偽陽性があり得るため、単独で断定せず所見の整合性で判断する。
薬物反応に頼りすぎると、危険な動眼神経麻痺や中枢疾患のサインを後回しにするリスクがあるため、まずは眼位・眼球運動・眼瞼下垂などの神経兆候を同時に確認してから位置づけるのが安全です。knowledge.nurse-senka+1
参考:医師向けに緊張性(アディ)瞳孔の所見(光近解離、異常再生など)の説明がまとまっている
反射性瞳孔強直の診断の手順と検査
病棟・救急で実装しやすい手順は、「瞳孔径(左右差)→対光反射(直接/間接)→近見反応→眼球運動→意識・髄膜刺激症状」の順に固定し、緊急性の高い頭蓋内疾患の鑑別を先に走らせることです。
対光反射の観察では、光刺激で縮瞳するかだけでなく、反応の速さ・戻り方(強直性)を記録すると、反射性瞳孔強直の“らしさ”が伝わります。
また、近見反応(輻輳反射)では、近づけた瞬間の縮瞳の出方と、離した後にゆっくり戻るかを観察し、対光反射とのギャップを明確にします。
| 所見 | 反射性瞳孔強直での典型 | 臨床での意味 |
|---|---|---|
| 対光反射 | 弱い/遅い(消失ではないことも) | 副交感神経系の機能低下を示唆 |
| 近見反応 | 保たれやすい(光近解離) | 鑑別の軸(所見が揃うと強い) |
| 瞳孔径 | 患側が相対的に散瞳して見えることが多い | 「大きい瞳孔が異常」を暗所/明所で確認 |
記載の工夫として、瞳孔径はmm、左右差、光の当て方(斜め・交互)と反応時間(例:遅い、戻りが遅い)を残すと、後から見返しても再現性が高くなります。kango-roo+1
反射性瞳孔強直と現場運用の独自視点
検索上位では「疾患の説明」で終わりやすい一方、現場で本当に困るのは“記録の揺れ”で、同じ患者でも観察者が変わると「対光反射あり/なし」「左右差あり/なし」が簡単にブレます。
このブレを減らすには、対光反射と近見反応を「同じ環境・同じ順番」で行い、少なくとも①瞳孔径 ②直接対光反射 ③間接対光反射 ④近見反応の4点を固定フォーマットで残すのが有効です。
さらに、希釈ピロカルピンのような薬物反応を検討する場合でも、患側・健側のベースライン瞳孔径を明記しておくと、縮瞳量(差分)が評価しやすく、後日の再評価にも耐えます。
- 運用の工夫:病棟で使うペンライトの種類を揃え、観察距離と照射角度をチームで統一する。
- 紹介時の一文:光近解離の有無と、腱反射(低下/正常)を添えると、Adie症候群の可能性が伝わりやすい。
- 見逃し回避:急性の散瞳+対光反射消失が“固定”なら、反射性瞳孔強直より中枢の緊急疾患を優先する。
反射性瞳孔強直は「典型所見を揃える」ことが診断の近道ですが、同じくらい「危険な散瞳を除外する」ことが重要で、手順設計そのものが医療安全に直結します。msdmanuals+1

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