胚移植フライング検査の時期と注意点

胚移植とフライング検査

この記事のポイント
📅

フライング検査の適切な時期

胚盤胞移植後5~7日目、初期胚移植後7~9日目から検査可能ですが、判定日まで待つのが確実です

⚠️

フライング検査のリスク

偽陰性や化学流産の可能性があり、精神的負担が増すことも

🔬

正確な判定のために

hCGホルモンの濃度が十分に上がる判定日での検査が最も正確です

胚移植からフライング検査までの時期

体外受精における胚移植後、多くの方が妊娠判定日までの期間を長く感じ、早く結果を知りたいと考えます。フライング検査とは、クリニックで指定された正式な妊娠判定日より前に、市販の妊娠検査薬を使って自己判定を行うことです。

参考)不妊治療中の妊娠の可能性とフライング検査のタイミングについて…


胚盤胞移植の場合、子宮に戻されてから1~2日程度で着床が完了するため、移植後5日目~7日目頃から早期妊娠検査薬で反応が出る可能性があります。一方、初期胚移植の場合は、子宮に戻されてから胚盤胞まで成長し、そこからさらに1~2日かけて着床するため、移植後7日目~9日目頃から反応が出始めることが多いです。

参考)【胚盤胞・初期胚移植後の妊娠検査薬】「フライング検査」はいつ…


ただし、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌や検査薬の感度には個人差があるため、これらはあくまで目安であり、クリニック指定の判定日を待つのが最も確実です。胚移植後の妊娠検査では、一般的に移植から数えて12~14日、胚盤胞移植では5~11日ころに行われています。

参考)体外受精後の妊娠判定日はいつごろ?|六本木レディースクリニッ…

胚移植後の着床とhCG値の変化

体外受精で胚移植から子宮で着床するまでの期間は、大体3~5日だといわれています。妊娠すると分泌するhCGホルモンは、妊娠を継続させるためのホルモンですが、着床後すぐに濃度が上がるわけではなく、最初は分泌量がわずかで、検査薬で反応できるほどの量はありません。​
一般的な妊娠検査薬は、尿中のhCGが50以上のときに陽性反応を示します。採血してhCGの値を測定すると、着床の進行状況を確認でき、hCGの値が高いほど妊娠継続の可能性が高くなります。胚盤胞移植の場合は移植日から約10日後、初期胚移植の場合は移植日から約13日後に最初のhCG検査を行ない、この時点でhCGが10mIU/mLを超えていれば着床している可能性があると判断されます。

参考)フライング三昧と判定日<妊娠検査薬で陽性になるのは移植何日後…


判定日のhCG値が、胚盤胞移植後10日前後で100mIU/mL以上、初期胚移植後13日前後で100mIU/mL以上あれば妊娠継続率は高いと期待できます。逆に10や20など低い数値であるほど流産や生化学的妊娠(化学流産)で終わる可能性は上がってしまいます。

参考)妊娠判定(早期妊娠診断とhCG値の関係)|適切な検査時期およ…

胚移植フライング検査の陰性と陽性の意味

フライング検査で陰性反応が出た場合でも、妊娠している可能性は残されています。妊娠していても、まだhCG濃度が検査薬の検出レベルに達していないため、陰性と出てしまう「偽陰性」の可能性が非常に高いのです。陰性結果に落胆した後、後日適切な時期に再検査したら陽性になった、というケースは珍しくありません。

参考)BT5の胚移植後のフライング検査結果と妊娠の可能性について …


妊娠のごく初期(特にフライング検査)ではhCGが少ないため、陽性線が蒸発線のように極薄く見えることがあります。判定線がうっすらとしか見えない薄い陽性反応の場合、妊娠している可能性はありますが、妊娠ホルモン(hCG)の濃度がまだ低いと考えられるため、数日後に再度検査することが推奨されます。

参考)【医師監修】妊娠検査薬の蒸発線とは?陽性との違いを見分ける3…


一方で、早期に陽性反応が出ても、その後に妊娠が継続しない「化学流産」である可能性も含まれます。化学流産の場合、生理予定日頃に通常の生理のような出血が見られます。

参考)【二人目不妊治療】化学流産した時のフライング結果まとめ|おゆ…

胚移植フライング検査のリスクと注意点

フライング検査には、いくつかのリスクと注意点があります。最も大きなリスクは、早すぎる時期の不確実な結果に、必要以上に期待したり落胆したりするなど、精神的に振り回されてしまうことです。妊娠反応が出ていると「よかった」と思っても、数日後には「陰性」になっていることもあります(化学流産)。

参考)妊娠検査薬 いつ使う?正確なタイミングと正しい使い方を徹底解…


また、妊娠反応が出なくて落ち込んでいると、正式な判定日に「プラス」になっていることもあります。前者の場合には「喪失体験」が生じ、本来「喪失体験」とは流産や死産などの場合に起こるのですが、化学流産や場合によっては受精卵(胚)が成長しなかった時にも「喪失体験」が生じてしまうことがあります。

参考)https://ameblo.jp/matsubooon/entry-12704880448.html


検査結果は10分を過ぎての判定をしないことも重要です(蒸発線で偽陽性になる可能性があるため)。ごく稀ですが、妊娠していないのに陽性反応が出る偽陽性の可能性もあり、これはhCG産生腫瘍などの病気、不妊治療で使用したhCG製剤の影響、あるいは蒸発線などが原因として考えられます。​

胚移植後の正確な妊娠判定方法

最も正確な妊娠判定を得るためには、クリニックの指示に従って正しい時期に検査を受けることが大切です。体外受精のためにhCGホルモンを投与している場合は、尿中にhCGホルモンが含まれているため、指示に従って検査したほうが確実です。​
一般的な妊娠検査薬は、生理予定日から1週間後に使用するのが最も正確とされています。それ以前に行った検査は結果が不正確である可能性が高いため、フライング検査で陰性だったとしても、まだ希望を持つことができます。​
判定日付近は特別な症状はないことが多く、症状で継続率を判断することはできません。着床前診断(PGT-A、PGT-SR)を実施した胚は、栄養外胚葉を一部採取する影響でhCGの値が低く出る傾向があるため、判定基準も異なります。

参考)判定日hCGの基準値と妊娠継続率│不妊治療専門あいARTクリ…


フライング検査をする際は、正しいタイミングを守り、検査薬の説明書をしっかり読み、冷静に結果を受け止めることが重要です。陰性だった場合でも、諦めずに医師と相談しながら進めましょう。​

参考リンク。

宇都宮鍼灸院 – 胚盤胞・初期胚移植後の妊娠検査薬とフライング検査の詳細情報
はらメディカルクリニック – 妊娠判定とhCG値の関係、適切な検査時期の医学的説明
アイ・アールティークリニック – 判定日hCGの基準値と妊娠継続率の詳細データ