原発性視神経萎縮の症状と検査と治療

原発性視神経萎縮

原発性視神経萎縮の臨床整理
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まず「所見」より「経過」

視神経萎縮は最終像で、原因疾患の時間経過(急性/亜急性/慢性)と随伴症状が鑑別の軸になる。

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検査は「視機能+構造+原因検索」

視力・視野・色覚などの視機能、眼底・OCTなどの構造評価、必要に応じて血液検査や画像検査で原因を追う。

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治療は「萎縮そのもの」より「進行阻止」

視神経は障害を受けると回復しにくく、原因疾患(腫瘍などを含む)を早期に同定して進行を止める発想が重要。


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原発性視神経萎縮の症状と視力低下と視野欠損

視神経萎縮は、視神経線維の変性・萎縮により、網膜神経節細胞の軸索が失われ、眼底で視神経乳頭の蒼白化として観察される「状態名」です。

臨床の入り口は、視力低下と視野欠損(視野狭窄を含む)の訴え、あるいは健診・他疾患フォロー中の偶発所見で、片眼・両眼いずれも起こり得ます。

重要なのは「原発性視神経萎縮」というラベルを付けた瞬間に鑑別が止まることなので、まず“いつから、どんな速さで、痛み・神経症状・全身症状を伴うか”をカルテ上で構造化しておくと安全です。

医療従事者向けの説明では、「萎縮=病名ではなく結果であり、原因が緑内障・炎症・中毒・圧迫など多岐にわたる」点を最初に共有すると、不要な不安と無駄な期待の両方を減らせます。

また、患者が自覚する見え方は「ぼやけ」だけでなく、読書時の欠け(中心暗点様)、段差が怖い(周辺視野障害)、色がくすむ(色覚異常)などの形で語られることが多く、問診で具体例を引き出すと視野検査の解釈が速くなります。

原発性視神経萎縮の眼底検査と視神経乳頭蒼白

眼底検査での視神経乳頭の蒼白は、視神経萎縮を示す中核所見で、視神経線維の消失を反映します。

日本小児眼科学会の解説では、視神経萎縮は「網膜神経節細胞とその軸索である視神経が変性し脱落した状態の総称」とされ、病態の中心が“神経節細胞—視神経”ユニットにあることが整理されています。

「原発性」を臨床的に扱う際は、乳頭の蒼白が“単に白い”で終わらず、周辺網膜・血管・黄斑、視神経乳頭陥凹の形(緑内障性の可能性)など、原因に結びつく付随所見の有無を同時に記載するのが実務上のポイントです。

加えて、乳頭所見は観察者差が出やすいので、可能なら眼底写真で比較可能な形にしておくと、紹介・逆紹介や経過フォローでの説明力が上がります。

「意外に見落としやすい」観点として、視神経萎縮があっても患者が強く症状を訴えないケースがあります(両眼性で緩徐進行、もしくは片眼性で健眼が代償する場合)。

このタイプでは、問診で生活上の困りごとが出にくいため、視野検査や色覚、中心フリッカーなど“軽い機能低下”を拾い上げる検査の組み合わせが効いてきます。

原発性視神経萎縮の視野検査と視覚誘発電位と中心フリッカー

関西医科大学附属病院の説明では、視神経萎縮の評価として視力検査・視野検査・中心フリッカー検査・眼底検査・視覚誘発電位(VEP)などが挙げられており、視機能を多面的に捉える枠組みが明確です。

視野検査は、患者の主観(見え方)を定量化できる一方で、検査理解・疲労・学習効果の影響を受けるため、「初回で決め打ちしない」運用が安全です。

VEPは、網膜—視神経—視放線—視覚野までの伝導路を含む反応であり、眼底所見が軽微でも機能障害の裏づけを取りたいときに有用です。

中心フリッカー(ちらつき認知)は、視力表では拾いにくい視機能の低下を示唆することがあり、外来での「気づき」を補助します。

ここでの独自の臨床視点として、検査結果を“診断”だけに使うのではなく、患者のセルフモニタリングに翻訳することが役立ちます。

例えば「視野が不安定な日は、階段・車庫入れ・夜間歩行で危険が増える」など、生活場面に落とす説明を添えると、治療が乏しい状況でもフォローの納得度が上がります。

原発性視神経萎縮の原因と緑内障と視神経炎と圧迫

視神経萎縮は、視神経炎、視神経症、ぶどう膜炎、緑内障などの末期像としてみられることがあり、原因疾患が多岐にわたる点が基本です。

日本小児眼科学会の解説でも、遺伝性(優性遺伝性視神経萎縮、Leber視神経症など)、代謝異常、胎内暴露、頭蓋内・眼窩内腫瘍による圧迫、外傷、中毒、視神経炎、緑内障性視神経症、さらには網膜疾患からの順行性変性など、原因の幅広さが列挙されています。

臨床で重要なのは「萎縮がある=慢性」と決めつけないことで、急性期に起こった障害が時間経過で萎縮像として固定化している場合もあります。

そのため、視力低下が急に始まったのか、じわじわ進んだのか、痛み(眼球運動時痛など)や全身症状があったのかを再確認し、必要なら神経内科・脳神経外科領域の病変も想定して原因検索の強度を上げます。

「意外な落とし穴」として、患者側が“緑内障と言われたことがある”と自己申告すると鑑別がそこで止まりやすい点があります。

しかし、緑内障性視神経萎縮という分類がある一方で、圧迫や炎症、中毒などでも乳頭蒼白や神経線維菲薄化は起こり得るため、所見の整合性(眼圧、視野形、左右差、経過)を再構成する姿勢が必要です。

原発性視神経萎縮の治療と管理とビタミンB12

視神経萎縮そのものを“元に戻す”治療は一般に難しく、実務としては早期発見と原因疾患の同定・治療により進行を食い止めることが中心になります。

日本小児眼科学会も、視神経は障害を受けると回復・再生しないこと、そして頭蓋内腫瘍など生命に関わる原因が隠れていないかを早急に調べて取り除くことが進行防止の要点だと述べています。

関西医科大学附属病院の記載では、有効な治療法は一般的にないものの、症例によっては病状悪化の予防にビタミンB12内服が有効なことがある、とされています。

この「ビタミンB12」の扱いは説明が難しいポイントで、万能治療として誤解されないよう、狙いは“原因が是正される可能性がある状況での補助・悪化予防”であること、そして原因検索と並行して行う位置づけであることを明確にするのが安全です。

治療の手応えが乏しい症例ほど、患者対応は“治療”より“管理”の比重が上がります。

具体的には、視野障害がある前提で転倒・運転・就労安全の助言、必要に応じたロービジョン連携、定期的な視機能評価での変化把握をセットで提示し、見通し(予後)を過不足なく共有することが医療者側の質になります。

視神経萎縮(原因疾患の末期像を含む)の基本的な定義・検査・治療の概説(医療機関の説明として患者向けにも整理可能)

関西医科大学附属病院:視神経萎縮

視神経萎縮の病態(網膜神経節細胞と視神経の変性・脱落)、分類(単性萎縮、炎性萎縮、緑内障性視神経萎縮)と原因の幅広い整理(鑑別の地図づくりに有用)

日本小児眼科学会:視神経萎縮