月経前症候群はいつから起こる
月経前症候群の症状出現時期と黄体期との関係
月経前症候群(PMS)の症状が起こる時期は「排卵を過ぎて生理が起こるまでの時期」、つまり黄体期に限られています 。28日周期の場合、生理が起こる14日前から症状が現れる可能性がありますが、実際には生理前の3~10日間に多くの女性が症状を経験します 。
参考)https://alinamin-kenko.jp/tokushu/pms/
PMSの症状は月経開始とともに軽快または消失するという特徴があります 。日本産科婦人科学会によると、PMSは「月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するもの」と定義されています 。
参考)https://shinsaibashi-fujinka.jp/treatment/menstrual/
月経前症候群が発症しやすい年代について
PMSは初経を迎える10代から閉経を迎える50歳前後まで、生理のある女性であればいつでも発症する可能性があります 。しかし、症状のピークは20代後半から30代という報告が多く見られます 。
参考)https://www.otsuka.co.jp/pms-lab/about/when.html
一方で、思春期から重度のPMSがみられるとの報告もあります 。18歳頃に月経周期が安定してくると、この頃より月経前の3~10日間にココロの不調やカラダの不調が生じることがあります 。研究によると、高校生では成人女性の約2倍の頻度でPMSの中等症から重症、PMDDが見られることが報告されています 。
月経前症候群の原因となるホルモンの変動
PMSの原因ははっきりとは解明されていませんが、排卵から月経までの黄体期に分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の変動が関与していると考えられています 。
黄体期後半にこれら2つのホルモンが急激に低下すると、脳内のホルモンや神経伝達物質のバランスが乱れ、心身の不調が現れるとされています 。プロゲステロンは妊娠をサポートするために水分や栄養を体内に蓄積する作用があるため、この時期にむくみや体重増加などの症状が現れやすくなります 。
参考)https://www.jsog.or.jp/citizen/5716/
現在では、ホルモン濃度そのものよりも、これらの性ホルモンの変動に対する個人の反応の違いがPMS発症に影響していると考えられています 。
参考)https://www.otsuka.co.jp/pms-lab/about/reason.html
月経前症候群の主要な身体症状と精神症状
PMSでは多種多様な症状が現れます。身体症状として最もよく見られるのは、むくみ、肌荒れ、便秘、腹痛、頭痛、頭重感、肩こり、腰痛、倦怠感、乳房の張りといった症状です 。
参考)https://www.taisho-kenko.com/check/325/
精神症状では、易怒性(いらだち)、不安、興奮、怒り、不眠症、集中力の低下、嗜眠、抑うつ、重度の疲労が最もよく見られます 。特に情緒が不安定になる、いらだち、怒りの感情があり対人関係でいさかいが増える、うつっぽさ、絶望感を感じる、不安や緊張感などが特徴的です 。
参考)https://w-health.jp/self_check/self_check_08/
日本産科婦人科学会の月経前症候群に関する詳細な医学的情報
これらの症状は個人差が大きく、身体症状が強く出る人もいれば、精神症状ばかり出る人もいます 。症状の重症度によってPMS(月経前症候群)とPMDD(月経前不快気分障害)に分類され、PMDDでは精神症状が特に強く現れます 。
参考)https://kokoronotiryou.com/pmdd/
月経前症候群の診断基準と思春期の特殊性
PMSの正確な診断には、症状の日常的な記録が重要です。医師は通常、患者に症状を毎日記録するよう指示し、少なくとも2周期の観察が必要とされています 。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11879375/
思春期のPMS/PMDDの現状について、高校生と成人女性を比較した研究では注目すべき結果が得られています。PMS中等症から重症の割合とPMDDの割合は、成人ではそれぞれ約5%と約1%であるのに対し、高校生では約12%と約3%と、成人の倍以上の頻度となっています 。
様々なPMS症状の中でも、不眠・過眠、身体症状、社会活動低下があると、症状がない方と比べて学校を欠席するリスクが2倍以上増加することが報告されており、思春期女性の学校生活への影響が深刻な問題となっています 。
思春期のPMSに関する専門的な医療情報と対応方法