硝子体下出血と原因と検査と治療

硝子体下出血と原因

硝子体下出血:臨床でまず押さえる3点
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原因の当たりをつける

糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、裂孔原性網膜剥離、後部硝子体剥離、外傷などを想起し、緊急度を見極めます。

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見えない眼底は超音波

出血で眼底が透見できないときは超音波検査で網膜剥離の有無などを確認し、次の一手(経過観察か手術か)を決めます。

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治療は原因治療+再出血予防

硝子体手術では混濁硝子体の切除に加え、光凝固や増殖膜除去、必要ならガス・シリコンオイルなどで再発を抑えます。


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硝子体下出血の原因:糖尿病網膜症と網膜静脈閉塞症

硝子体下出血(臨床的には硝子体出血として扱われることが多い)は、硝子体腔内に出血が貯留し、飛蚊症・霧視・視力低下などを来す状態です。

原因は多岐にわたりますが、代表例として糖尿病網膜症網膜静脈閉塞症が挙げられ、いずれも虚血を背景に新生血管が関与しやすい点が共通します。

糖尿病網膜症が増殖期に進行すると「新生血管または硝子体出血・網膜前出血」を伴う病態として位置づけられ、突然の視力低下で受診した時点で硝子体出血を合併していることがある点は現場の説明に直結します。

硝子体下出血の原因:裂孔原性網膜剥離と後部硝子体剥離

裂孔原性網膜剥離や後部硝子体剥離も硝子体出血の代表的原因として整理しておくと、問診段階で緊急度を上げるべき症例を拾いやすくなります。

特に「突然の飛蚊症増加+光視症(症状表現として患者が“ピカピカする”と訴えることが多い)+視野欠損の進行」が揃う場合は、裂孔・剥離の合併を強く疑い、眼底が見えないなら超音波検査へ直行する判断が重要です。

また出血が強いほど原因特定が難しくなる点は、患者説明(なぜ今日すぐ原因が断定できないのか)にそのまま使える論点です。

硝子体下出血の検査:眼底検査と超音波検査とERG

基本は眼底検査で出血の程度と原因の当たりをつけ、原因疾患の所見(新生血管、裂孔、剥離など)を評価します。

出血で眼底の状態が分からない場合は超音波検査で網膜剥離の有無などを調べる、と明確に整理されており、救急外来や初診導線のプロトコル化に向きます。

加えて、硝子体出血で網膜の詳細が不明な場合に網膜機能を確認する目的でERGが用いられる、という整理は「形態が見えないときに機能を推定する」発想として教育的価値があります。

硝子体下出血の治療:経過観察と硝子体手術と光凝固

硝子体出血そのものは短期で止まることが多い一方、自然吸収されないと光が遮られて視機能が障害され続けるため、原因治療と“いつまで待つか”の判断が治療の中核になります。

硝子体手術では血液が混ざった硝子体を切除し、必要に応じて原因疾患に対して光凝固や増殖膜除去などを追加して再出血を予防し、病態により空気・ガス・シリコンオイルを注入することがあります。

ガスやシリコンオイルを注入した場合にうつ伏せ管理が必要となり得る点、ガスは自然置換されるがシリコンオイルは将来的に抜去手術が必要になり得る点は、術前同意の“抜けやすい説明項目”として重要です。

硝子体下出血の独自視点:全身管理と早期悪化と説明

糖尿病網膜症の文脈では、急速な血糖コントロールにより網膜症が悪化しうる「early worsening」が知られており、眼科が内科と連携して“緩やかな血糖改善”も含めた調整を相談する価値があります。

この論点を硝子体下出血の患者説明に落とすなら、「眼の治療だけでなく、血糖・血圧・腎機能など全身因子の是正が再発リスクに関係しうる」ことを、過度に断定せずに共有するのが実務的です。

また、眼底が見えない段階で原因が断定できないことがある、という事実を先に伝えるだけで不安が下がり、結果として検査(超音波やERG)や手術適応の説明が通りやすくなる場面があります。

原因と重症度分類(増殖期・硝子体出血の位置づけ)を押さえる。

日本糖尿病眼学会「糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版)」PDF

硝子体出血の原因・検査(眼底、超音波、ERG)と手術内容・術後姿勢の要点。

洛和会音羽病院 アイセンター「硝子体出血」