眼窩膿瘍 犬 歯根膿瘍と眼症状対応

眼窩膿瘍 犬 歯根膿瘍と眼症状

眼窩膿瘍 犬の早期発見と治療
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眼窩膿瘍と歯根膿瘍の関係

上顎第4前臼歯などの歯根病変が原因となり、眼窩下〜眼窩に膿瘍を形成し、眼症状として顕在化する機序を整理します。

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診断に必要な検査の選択

身体検査・口腔内検査に加え、X線やCT、必要に応じてMRIを組み合わせる際の考え方と実際のポイントを解説します。

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治療とフォローアップ

抗菌薬治療と抜歯などの外科的アプローチ、ドレナージ、疼痛管理、再発予防のための歯科ケア指導の実際をまとめます。

眼窩膿瘍 犬 歯根膿瘍と眼窩下膿瘍の病態生理

犬の眼窩膿瘍は、臨床現場では「眼窩下膿瘍」「歯根膿瘍」に続発する病変として遭遇することが多く、特に上顎第4前臼歯の根尖病変が原因となり、眼窩下から眼窩方向へ膿が波及します。

上顎第4前臼歯の歯根は眼窩の腹側近くに位置し、重度の歯周病や歯折から感染が波及すると、目の下の皮下組織に膿瘍を形成し、さらに深部へ進展すると眼窩膿瘍・眼窩周囲膿瘍という形で発症します。

この病態では、皮膚の腫脹と眼症状が同時に現れるとは限らず、皮膚に排膿孔が開くケースでは眼症状が軽微に見える場合もあり、眼科疾患単独と誤認しやすい点が注意点です。

参考)犬の歯根膿瘍【獣医師執筆】犬の病気辞典

小型犬では慢性的な歯周病、高齢犬では長期にわたる歯石蓄積と歯根露出が背景にあることが多く、病変が顕在化する頃には複数歯に病変が及んでいることも少なくありません。

参考)犬や猫の根尖膿瘍(歯根膿瘍)とは?|症例をもとに治療と注意点…

眼窩膿瘍 犬 代表的な症状と鑑別すべき眼科・全身疾患

眼窩膿瘍の犬では、目の下や頬部の急性腫脹、疼痛、発熱、食欲低下が典型的で、圧痛を伴う硬結として触知されることが多く、膿瘍が進行すると皮膚に自壊・排膿孔が形成されます。

眼球側では羞明、流涙、眼脂増加、結膜充血、眼瞼痙攣など、角膜潰瘍や結膜炎と類似した症状がみられ、表層の眼症状だけを追うと根本の歯根病変を見逃しやすい点が臨床上の落とし穴です。

鑑別としては、角膜潰瘍、単純な結膜炎、眼瞼炎、涙嚢炎、眼窩腫瘍、眼窩蜂窩織炎、副鼻腔炎などが挙げられ、特に短頭種では慢性角膜疾患や乾性角結膜炎が併存していることもあり注意が必要です。

参考)眼科

加えて、重度の歯根膿瘍では菌血症から全身状態が悪化し、発熱や白血球数増加など全身性炎症反応症候群に近い所見を示す場合もあるため、局所所見だけでなく一般状態の評価が欠かせません。

参考)https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/zyui/shiken/pdf/66_kokushi_c.pdf

眼窩膿瘍 犬 診断の進め方と画像検査の活用

診断の一歩は、視診・触診・体温測定に加え、口腔内と顔面の左右差を丁寧に比較することで、特に上顎臼歯部の歯肉腫脹や歯根部の圧痛を確認し、歯根膿瘍の存在を疑います。

単純頭部X線は歯根部の透亮像や骨吸収を捉える補助となりますが、眼窩周囲の重なりが多く、初期変化は描出しづらいため、歯根膿瘍や眼窩膿瘍が疑われる場合はCTによる三次元評価が非常に有用です。

CTでは歯根周囲の骨融解、眼窩内の造影効果の乏しい液状陰影、周囲軟部組織の浮腫を確認でき、眼窩骨膜下膿瘍では造影MRIでリング状造影が明瞭となることが報告されており、ヒト医学と同様の画像所見が参考になります。

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/64/3/64_455/_pdf/-char/ja

一方で、全身麻酔や鎮静が困難な高齢犬では、デンタルX線と超音波検査、穿刺による膿の確認と細菌検査で情報を補い、画像検査の侵襲性と得られる情報のバランスを考えて検査計画を立てることが重要です。

参考)犬の歯根膿瘍。概要と原因、治療について (犬猫の歯医者監修)…

眼窩膿瘍 犬 抗菌薬と抜歯・ドレナージを組み合わせた治療戦略

治療の基本は、原因歯の抜歯と膿瘍のドレナージに、適切な抗菌薬投与を組み合わせることで、抗菌薬単独では一時的な改善にとどまり再発を繰り返す例が多いとされています。

ペニシリン系やセファロスポリン系など、嫌気性菌を含む口腔内常在菌に感受性のある薬剤を選択し、重症例では培養・感受性試験に基づいたデエスカレーションを行うことで、薬剤耐性化と長期投与リスクを抑制します。

外科的には、上顎第4前臼歯の抜歯と同時に膿瘍腔を十分に洗浄し、必要に応じて開放ドレナージを設置して排膿を確保することが重要で、閉鎖が早すぎると再貯留の原因となります。

参考)眼窩下膿瘍(がんかかのうよう)ってなに? – 犬と猫の歯のブ…

高齢で全身麻酔リスクが高い症例では、抗生剤と消炎鎮痛薬を中心とした内科的療法を選択せざるを得ない場合もありますが、その場合でも飼い主に「寛解と再燃を繰り返す可能性」や長期抗菌薬使用によるリスクを明確に説明する必要があります。

眼窩膿瘍 犬 現場で見落とされやすいポイントと予防の独自視点

眼窩膿瘍が歯根膿瘍由来であるにもかかわらず、「眼の病気」として眼局所の点眼治療のみが続けられ、原因歯の治療が数ヶ月〜数年遅れるケースがあり、慢性経過例の問診では過去の眼科治療歴と口腔ケア歴をセットで確認する視点が重要です。

また、硬いおもちゃや骨様おやつを好む犬では上顎第4前臼歯のマイクロクラックや歯折が生じやすく、飼い主指導として「噛ませる玩具の見直し」を提案することで、潜在的な歯根膿瘍リスクを事前に下げることができます。

予防の観点では、定期的なスケーリングと歯周ポケットの評価だけでなく、顔面の左右差、目の下の皮膚炎の既往を歯科診察時に必ず確認し、「繰り返す目の下の皮膚炎=歯根膿瘍のサイン」として院内で共有することで早期発見につながります。

さらに、短頭種や高齢犬では慢性角膜炎乾性角結膜炎と歯周病が同時に進行していることが多く、眼科検診の際に簡易な口腔チェックをルーチン化するなど、診療科をまたいだ小さなルール作りが、眼窩膿瘍の見逃し防止に有効な独自の取り組みとなり得ます。

参考)犬の角膜潰瘍

犬の歯根膿瘍と眼窩膿瘍の関連や、実際の症例写真・X線画像を含む解説として参考になるページです。

犬の歯根膿瘍。概要と原因、治療について(犬猫の歯医者監修)

歯根膿瘍や眼窩下膿瘍に関連する臨床症状や治療の考え方を、症例ベースで丁寧に説明している一般向け解説です。

眼窩下膿瘍(がんかかのうよう)ってなに?

犬の歯根膿瘍の定義や治療方針、内科療法の限界について獣医師が整理しているため、飼い主説明の際の背景知識として役立ちます。

犬の歯根膿瘍【獣医師執筆】犬の病気辞典