外傷性網膜剥離と原因と症状と治療

外傷性網膜剥離と治療

外傷性網膜剥離:現場で迷わない要点
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まず疑うべき状況

鈍的外傷・穿孔性外傷の後に、飛蚊症/光視症/視野欠損が出たら、裂孔→剥離の進展を前提に動く。

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検査の優先順位

眼球破裂の除外→散瞳下眼底検査、必要ならBスキャン。見えないときほど「見えない理由」を言語化して共有する。

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治療の主軸

レーザー/冷凍凝固、強膜バックリング、硝子体手術(ガス/シリコーンオイルなどタンポナーデ)を病態で選択する。


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外傷性網膜剥離の原因と網膜裂孔

 

外傷性網膜剥離は、外傷により網膜裂孔(裂け目)が生じ、そこから液化硝子体が網膜下へ流入して網膜が持ち上がる、という「裂孔原性」の機序が中心になります。

鈍的外傷では眼球が一瞬変形し、硝子体牽引が強くかかった部位(格子状変性周囲、鋸状縁近傍など)に裂孔ができやすく、受傷直後に症状が出る例もあれば、裂孔が小さく見逃されて時間差で剥離が進む例もあります。

穿孔性外傷や眼球破裂では、まず眼球壁の再建(一次縫合)を優先し、その後に硝子体切除や必要に応じたバックリング、光凝固、冷凍凝固、シリコーンオイルタンポナーデ等で網膜復位を図る、という考え方が整理されています。

医療者が押さえるべき「原因の言い換え」は、“外傷そのもの”というより「外傷が作った裂孔+牽引+液の侵入」という構造です。これを共有できると、患者説明で「痛みが引いたのに悪化する」現象(剥離進行)も理解されやすくなります。

参考)302 Found

また意外に見落とされやすいのが、外傷後に前房出血や硝子体出血があると、眼底観察が不十分になり裂孔同定が遅れる点です(見えないときほど剥離を否定しない)。

外傷性網膜剥離の症状と視野欠損

典型症状は、飛蚊症(黒い点や糸くず様)、光視症(稲妻様の光)、カーテンがかかったような視野欠損、そして進行例の視力低下です。

剥離部位に一致して視野欠損が出やすく、剥離範囲が広がるほど欠損も拡大していく、という説明は臨床の整合性が高く、問診での「どの方向が欠けるか」を地図のように拾う価値があります。

黄斑が剥がれる(黄斑オフ)と視力予後が悪くなり得るため、中心視の歪みや急な視力低下は緊急性の高いサインとして扱います。

外傷例では「痛み」や「充血」よりも、見え方の変化(飛蚊・光視・欠け)がキーになることが多く、救急や他科から紹介される際に症状が曖昧になりがちです。

参考)飛蚊症と網膜剥離 なぜ?どうするの

そのため、紹介状・電話連絡では次の短いテンプレで情報をそろえると、眼科側の初動が速くなります。

  • 受傷機転:鈍的/穿孔性、時間、異物、保護具の有無
  • 症状:飛蚊症、光視症、視野欠損、中心視低下(いつから・増悪しているか)
  • 観察制限:前房出血、角膜混濁、硝子体出血など

外傷性網膜剥離の検査と診断

裂孔原性網膜剥離の理解として、「硝子体牽引→網膜裂孔→液化硝子体の裂孔下進入→網膜剥離」という流れが提示されており、診断は“裂孔の同定”と“剥離範囲(黄斑含む)”の把握に集約されます。

基本は散瞳下の眼底検査(双眼倒像鏡など)で、外傷後に眼底が見えにくい場合は超音波検査(Bスキャン)で網膜剥離を疑う所見を拾い、手術適応判断へつなげます(ただし眼球破裂が疑わしい場合は圧迫を避ける前提が重要です)。

強膜バックリング手術では詳細な眼底検査に基づくバックルデザインが成否に影響する、という整理があり、「裂孔位置の精度」が治療選択の根幹であることが強調されます。

外傷性では“剥離そのもの”に加えて、合併損傷(硝子体出血、水晶体亜脱臼、脈絡膜損傷など)が同時に起こり得るため、診断名を一つに固定しすぎると見落としが出ます。

参考)302 Found

そのためカルテ上は、鑑別と確定を分けて記載すると安全です。

  • 鑑別:網膜裂孔/網膜剥離疑い、硝子体出血、脈絡膜剥離、眼球破裂疑い
  • 確定:裂孔部位、剥離範囲、黄斑オン/オフ、PVR所見(あれば)

外傷性網膜剥離の手術と硝子体手術と強膜バックリング

網膜剥離手術は、強膜バックリング、硝子体手術、両者併用が代表で、バックリングは「裂孔閉鎖と牽引軽減」、硝子体手術は「牽引解除とタンポナーデによる裂孔閉鎖」という原理で整理されています。

また日本網膜硝子体学会の「網膜再建術の指針」では、硝子体手術を主体にしつつ、必要に応じて強膜バックリング(輪状締結など)、眼内光凝固、冷凍凝固、ガスまたはシリコーンオイルによるタンポナーデで網膜復位を行うことが記載されています。

裂孔周囲の凝固(眼内レーザー等)と術後の体位保持(例:伏臥位)は、硝子体手術の流れの中で重要な構成要素として提示されています。

外傷例で“術式選択が難しくなる”ポイントは、裂孔の数・位置、硝子体出血などの混濁、増殖性硝子体網膜症(PVR)への移行リスク、そして水晶体の状態です。

実務的には、次のように病態→目的→手段で短く分解するとチーム内共有が速くなります。

  • 目的:裂孔を閉じる/牽引を取る/網膜を押さえる(タンポナーデ)
  • 手段:バックリングで外から支持、硝子体手術で内から牽引解除+ガス/シリコーンオイル
  • 補助:眼内光凝固・冷凍凝固、必要なら併用

【あまり知られていない臨床の注意点(独自視点)】

外傷性網膜剥離では、患者が「打ったのはまぶたの上」「数日してから見え方が変」などと訴え、初診時点で“外傷と症状の時間差”があることが少なくありません。ここで「時間が経っている=落ち着いている」と解釈すると危険で、むしろ裂孔からの液侵入が進んだサインとして扱うと見逃しが減ります。ogikubo-station-ganka+1​

また術後指導では、体位保持や再受診の目安が守れないと再剥離リスクが上がり得るため、患者背景(独居、介護、仕事、交通手段)を術前から拾い、退院後の現実的な運用に落とすことが、結果的に医療安全に直結します。

参考:網膜再建術で用いる手技(硝子体手術、強膜バックリング、光凝固、冷凍凝固、ガス/シリコーンオイルタンポナーデ等)の位置づけがまとまっています。

https://www.jrvs.jp/guideline/jrvs_rro_guideline140328.pdf

参考:裂孔原性網膜剥離の手術原理(バックリングと硝子体手術の違い、検査の考え方、術後体位保持など)がスライドで整理されています。

https://www.gankaikai.or.jp/press/20171129_2.pdf

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