外傷性角膜炎 犬
外傷性角膜炎 犬の症状
外傷性角膜炎(臨床的には角膜上皮びらん〜角膜潰瘍を含む概念として扱われる場面が多い)で最初に目立つのは、疼痛行動です。まぶたの痙攣(眼瞼痙攣)、患眼を開けにくい、前肢で掻く、床に顔を擦り付けるなどは「痛み」の表現型として重要です。角膜潰瘍の解説では、眼の痛みのサインとして眼瞼痙攣や掻き動作、顔をこする行動が挙げられています。
次に、流涙と眼脂の変化を見ます。涙量増加は反射性のことが多い一方、膿性でカスタード状の眼脂は感染の可能性を強く示唆するとされ、重症化の入口を示す所見として扱うと安全です。
さらに充血は、結膜充血だけでなく角膜自体への血管侵入(血管新生)が治癒過程や慢性化で見えることがあり、「病変の時間軸」を推測できます。角膜潰瘍の説明では、白目や結膜の充血に加え、治癒過程で角膜に血管が伸びることがあるとされています。
医療従事者向けに強調したいのは、縮瞳が出る症例です。角膜病変に伴って反射性ぶどう膜炎を併発し得るため、縮瞳は「角膜だけで終わっていない」ことを示す赤旗になります。角膜潰瘍では痛みやぶどう膜炎の影響で縮瞳が起こり得るとされ、全体的な眼のチェックが必要と説明されています。
所見の取り方としては、肉眼で角膜の陥凹・欠損やデスメ膜瘤様の膨隆が見えるか、光源で角膜表面の不整(乱反射)を確認できるかもポイントです。進行した角膜疾患で表面のへこみや穴、デスメ膜瘤のふくらみが肉眼でわかることがあるとされています。
外傷性角膜炎 犬の原因
原因は「外傷」「刺激物(化学的)」「涙液異常(ドライアイ)」「眼瞼・被毛などの機械刺激」が軸になります。角膜潰瘍の原因として外傷、刺激物質、感染症、ドライアイなどが挙げられ、外傷がよく見られる原因とされています。
臨床では、外傷の背景に「最初は結膜炎など→違和感で掻く→角膜損傷」という二次的悪化の経路も多く、病歴聴取で「掻く・こする」「散歩中の茂み」「他犬猫との接触」を拾うと診断精度が上がります。角膜潰瘍の外傷原因として、違和感から自分でこすって傷つける場合や、ケンカ傷、木の枝などが挙げられています。
刺激物(シャンプー等)も見逃しやすいです。家庭でのシャンプー時に原液や泡が入ると刺激となり得るため、直近のトリミング・シャンプー歴は必須項目です。角膜潰瘍の原因としてシャンプーなどの化学薬品刺激が挙げられ、眼に入った場合は流水で洗い流すことが推奨されています。
涙液異常では乾性角結膜炎(KCS)やマイボーム腺機能不全が背景となり、角膜が乾燥して微小損傷→びらん→潰瘍へ移行しやすくなります。角膜潰瘍の原因としてドライアイやKCS、マイボーム腺の異常が挙げられ、シルマー涙液量試験(STT)で評価できるとされています。
犬種・形態要因としては、眼球突出の強い短頭種が外傷リスクを上げます。角膜潰瘍ではパグやフレンチ・ブルドッグなどが、眼球が大きく突出しているため角膜を傷つけやすいと説明されています。
また、視力低下(白内障など)や歩行障害・神経症状がある個体は「ぶつける外傷」が増えるため、単に眼局所だけでなく全身背景もリスク評価に組み込みます。角膜潰瘍の解説で、白内障による視力低下や要介護犬、神経症状がある犬は眼外傷が起こりやすい傾向があるとされています。
外傷性角膜炎 犬の検査
検査は、まず眼科的な全体像の把握(角膜以外の併発病変の有無)を前提に、角膜上皮欠損の確認と深さ評価が中核です。角膜潰瘍が疑われる場合、眼科検査を行い、フルオレセイン染色で傷の有無や深さを確認するとされています。
フルオレセイン染色は「傷がある場所が可視化される」だけでなく、深さや範囲、治癒経過の追跡にも直結します。角膜潰瘍の診断でフルオレセイン染色試験により角膜の傷の有無や深さを確認すると記載されています。
追加の検査として、感染・炎症の関与を疑う場合は細胞採取(マイクロブラシ等)からの顕微鏡観察が実務的です。角膜潰瘍の検査として、角膜表面の細胞や膿を採取して顕微鏡で観察し、細菌や炎症の状況を調べることがあるとされています。
また、角膜病変は反射性ぶどう膜炎や前房蓄膿などを併発し得るため、前眼部の評価(瞳孔径、前房フレア、疼痛の程度)をセットで行い、治療の優先順位(散瞳の要否、鎮痛の設計)を決めます。角膜潰瘍ではぶどう膜炎や前房蓄膿を併発することがあるため、全体的な眼のチェックが行われるとされています。
現場での「落とし穴」は、見た目が軽そうでも点眼前提で診療計画を立てると失敗する点です。表層性でも症例によっては1日10回以上の点眼が必要になることがあるため、飼育者の実行可能性(在宅時間、介助者、保定)を初診時に評価し、入院も含めて現実的なプランに落とし込みます。角膜潰瘍の治療で複数種類の点眼薬を使用し、合計で1日に10回以上の点眼が必要になる場合があるとされています。
外傷性角膜炎 犬の治療
治療は、(1)感染コントロール、(2)角膜保護と治癒促進、(3)疼痛と反射性ぶどう膜炎の管理、(4)自己損傷の遮断、を同時並行で組みます。角膜潰瘍の点眼治療として、抗生物質とヒアルロン酸点眼が一般的で、ぶどう膜炎や痛みが強い症例ではアトロピンや抗炎症剤点眼も使用するとされています。
軽度の表層病変(上皮びらんなど)は、適切な点眼で1〜2週間程度で改善することがありますが、素因や基礎疾患があると遷延し得ます。角膜上皮のみの軽度のびらんなら1〜2週間ほどの点眼治療のみで治癒することがあるとされています。
一方、実質深層まで及ぶ、感染が強く疑われる、進行が速い場合は、治療強度が一段上がります。頻回点眼(例:30分おき)や全身投与、疼痛管理、確実な点眼のための入院などを検討し、角膜穿孔の回避を最優先にします。重症例では頻回点眼や内服抗生物質・痛み止めが必要になり、入院することもあると説明されています。
外科的対応が必要になるのは、デスメ膜瘤や穿孔など深層病変、広範囲病変、内科治療だけでは修復が見込めない場合です。角膜潰瘍が深層まで達している場合や広範囲病変では手術が必要になることがあり、デスメ膜瘤や角膜穿孔では緊急手術を要することがあるとされています。
医療従事者が説明で差を付けやすいのが、血清点眼です。犬自身の血液から作成した血清点眼液には治癒促進に関与する成分が含まれ、薬剤では補充できない成分を投与できる一方、無菌的作成・冷蔵・短期間での使用など運用制約があります。角膜潰瘍の治療として血清点眼が紹介され、保存や使用期限、獣医師指示の厳守が必要とされています。
自己損傷の遮断(エリザベスカラー等)も、角膜治癒に直結するため「処方の一部」として位置づけ、装着の徹底を説明します。角膜潰瘍の治療で、眼保護としてエリザベスカラーや犬用コンタクトレンズを使用することがあるとされています。
参考)犬の潰瘍性角膜炎の症状と原因、治療について|獣医師が解説
(参考リンク:角膜潰瘍の原因・症状・治療(抗菌点眼、抗コラゲナーゼ、角膜保護、瞬膜被覆術など)を体系的に確認でき、外傷性角膜炎の実務説明にも転用しやすい)
(参考リンク:フルオレセイン染色や点眼回数、血清点眼、短頭種リスク、穿孔時の緊急性など、臨床コミュニケーションに必要な要点がまとまっている)

外傷性角膜炎 犬の再発
検索上位でよく語られる「症状・原因・治療」に加えて、現場で差が出るのは再発(あるいは治り切らない反復)の設計です。角膜上皮が一度修復しても、基礎にドライアイ(KCS)や眼瞼・被毛刺激が残ると、微小外傷が繰り返され「またショボショボする」経過を取りやすくなります。角膜潰瘍の原因としてドライアイや眼瞼・まつ毛の異常が挙げられ、背景因子があると角膜障害が起こり得るとされています。
再発予防は、薬の追加よりも「環境・ケア・観察点の定義」が効きます。散歩ルート(茂みや枝)、給水器(突出物のあるボトル型の回避)、家屋内の突起物、同居猫の爪など、外傷の起点を潰す方が再発コストを下げます。角膜潰瘍の予防として、散歩中は枝やとがった草の茂みを避ける、ボトル型給水器を避ける、猫の爪を切るなどが挙げられています。
また「点眼が途切れた時間」を再発の引き金として扱う視点も重要です。重症例では点眼頻度が高く、実行困難なら入院や預かりを提案することが、結果的に再発や穿孔を減らすことにつながります。重症例では頻回点眼が必要となり、状態が落ち着くまで動物病院で預かることも検討するよう記載されています。
医療者側の工夫として、再診時の評価項目(痛み行動、流涙、眼脂性状、充血、縮瞳、染色の縮小)を「チェックリスト化」すると、主観的な「良さそう」を減らせます。
現場で使える観察ポイント例(飼育者向けに渡せる形式)。
・👁️ 目を開けにくい/しょぼしょぼ(悪化サイン)
・💧 涙の量が急に増えた、眼脂が膿っぽい(感染疑い)
・🔴 白目が赤い、黒目に赤い線が増えた(炎症・血管新生)
・⚫ 瞳孔が左右で違う(要相談)
・🆘 黒目にへこみ・白い膜・ぷくっとした膨らみ(緊急度高い)
これらの所見は角膜潰瘍の症状として痛み、流涙・眼脂、充血、縮瞳、進行時の陥凹やデスメ膜瘤様の変化が挙げられている点に整合します。
