ガドブトロールの効果と副作用
ガドブトロールは、MRI造影剤として脳腫瘍や腫瘍性病変の可視化に高い効果を持つ。脳・脊髄の病変部位の構造を明瞭化し、微小な病変検出率向上に寄与するため、乳腺、腹部、骨盤の詳細な読影が可能となる。臨床試験や国際比較試験でも、従来造影剤と比較し、病変辺縁の明瞭化や診断精度の向上が認められている。
表の分析でも、ガドブトロールはスコア評価で従来剤に対し非劣性が示された症例が多い。
副作用発現率は約3.4%、主な症状は悪心(0.7%)、嘔吐、下痢、胸部不快感、熱感、血圧上昇、発疹、じん麻疹、頭痛などが報告される。重大な副作用として、アナフィラキシー、ショック、痙攣発作、腎性全身性線維症(NSF)が挙げられる。市販後1億回以上投与データでも副作用は低頻度(0.0356%)とされるが、過敏症反応には特に注意が必要。
7,856症例発現率詳細(市販後調査データ)
小児7,292例中、副作用発現は0.84%(主な症状は悪心・嘔吐)。症状は一過性で重篤例は稀だが、アナフィラキシー反応・尿中結晶例の報告も。高齢者では、成人より副作用率が低く、重篤副作用率も変わらない。生理機能や状態観察の必要性が強調される。
小児・高齢者安全性臨床データ
腎性全身性線維症(NSF)のリスクは重篤な腎障害患者に報告があり、急性腎不全例、透析患者で発症事例あり。腎障害患者への投与時はNSFリスクや症状発現期間に注意が必要であり、禁忌ケースの確認、継続的な観察と早期対策が必須。ガドブトロール単剤でも重症化する場合があるため投与間隔や累積量管理が重要。
腎症例・NSF報告データ(図1)
気管支喘息患者や全身状態が極度に悪化した患者への投与は原則禁忌。髄腔内投与で重篤な副作用が発現する例も報告。実際の運用では、疾患以外にも投与方法や患者背景、薬剤累積量等が副作用リスクに影響。MRI読影の目的に応じた薬剤選択も症例に応じて重要視される。
添付文書の副作用一覧・投与禁忌