ファイザー脱毛薬一覧:治療薬の特徴と効果解説

ファイザー脱毛治療薬の概要

ファイザー脱毛治療薬ラインナップ
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リットフーロカプセル

円形脱毛症治療薬として2023年発売。JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害剤

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フィナステリド錠

男性型脱毛症用薬の後発医薬品として2015年発売。5α還元酵素阻害薬

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治療対象の違い

円形脱毛症と男性型脱毛症という異なる病態に対応した専門治療薬

ファイザー円形脱毛症治療薬リットフーロの詳細特徴

リットフーロカプセル50mg(一般名:リトレシチニブトシル酸塩)は、ファイザーが2023年9月27日に新発売した革新的な円形脱毛症治療薬です。この薬剤は12歳以上の患者に適応があり、効能・効果は「円形脱毛症(脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」に限定されています。

リットフーロの作用機序は、JAK3およびTECファミリーキナーゼを不可逆的に阻害することにあります。具体的には、ATP結合部位に存在するシステイン残基と共有結合を形成し、これらの酵素を不可逆的に阻害します。この独特な作用により、円形脱毛症の病態に関与するシグナル伝達を効果的に妨げることができます。

薬価は50mg1カプセルが5,802.40円と設定されており、1日1回50mgを経口投与します。国際臨床試験では、リトレシチニブ50mgカプセル内服24週間後のSALT20(脱毛面積20%以下)達成率は23%(29/124)となっており、治療前の平均脱毛面積は90.3%でした。

円形脱毛症に対する治療選択肢として、2022年6月にはバリシチニブが先行して承認されていましたが、リットフーロの登場により、患者の病態や治療反応に応じてより柔軟な治療選択が可能になりました。

ファイザー男性型脱毛症治療薬フィナステリドの製品詳細

フィナステリド錠0.2mg・1mg「ファイザー」は、2015年4月6日に発売された日本初の男性型脱毛症用薬の後発医薬品です。この製品は、先発医薬品プロペシア錠のジェネリック医薬品として開発され、薬価基準未収載医薬品のため健康保険等の公的医療保険の給付対象とはなりません。

フィナステリドの作用機序は、5α-還元酵素Ⅱ型阻害により実現されます。テストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)に変換する5α-還元酵素Ⅱ型を阻害することで、DHTが誘発する男性の男性型脱毛症患者において、ヘアサイクルを是正する効果を示します。

用法・用量は、男性成人に通常フィナステリドとして0.2mgを1日1回経口投与し、必要に応じて適宜増量できますが、1日1mgを上限とします。処方価格は医療機関が決定しますが、先発品が1mg28錠で7,500円(税込み)のところ、後発品は同5,500円や6,000円程度となっており、先発品に比べて20%以上安い価格設定となっています。

2022年4月には、ファイザー株式会社からマイランEPD合同会社(現、ヴィアトリス・ヘルスケア合同会社)へ製造販売移管され、販売名がフィナステリド錠0.2mg・1mg「VTRS」に変更されました。

ファイザー脱毛治療薬の副作用プロファイルと安全性管理

リットフーロカプセルの副作用については、頻度の高いものとしてニキビ、頭痛、上気道炎、毛包炎、上咽頭炎、悪心、じん麻疹、尿路感染症などが報告されています。検査値の異常では、ALT(GPT)、CK(CPK)値の上昇が確認されており、頻度は低いものの難聴や聴力低下、皮下出血、鼻出血、歯肉出血などの出血症状も報告されています。

国内市販直後調査(6カ月間、推定408名が内服)では、副作用は58例83件報告され、主な症状として頭痛、上咽頭炎、ざ瘡、倦怠感、悪心がありました。重篤な副作用として自律神経ニューロパチー、CKの異常高値が報告されています。

フィナステリド錠については、男性ホルモンのDHTを抑制するため、体内のホルモンバランスが乱れて副作用が起こる可能性があります。具体的には、抑うつ症状や性欲減退、勃起不全などの性機能障害が報告されています。また、肝臓で代謝される薬であるため、ごくまれなケースとして肝機能障害が起きるリスクがあり、定期的な血液検査による確認が必要です。

厚生労働省により、フィナステリドの使用は男性限定とされ、女性と子どもは使用してはいけないと注意喚起されています。特に妊娠中の女性が服用すると、男の胎児の生殖器に異常を起こす恐れがあることが米国FDAの公表する注意事項に掲載されています。

ファイザー脱毛治療薬の処方条件と適応症の詳細解説

リットフーロカプセルの処方条件は非常に厳格に設定されています。効能・効果が「円形脱毛症(脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」となっており、添付文書には「頭部全体の概ね50%以上に脱毛が認められ、過去6カ月程度毛髪に自然再生が認められない患者に投与すること」と明記されています。

この厳格な処方条件の背景には、円形脱毛症の病型分類があります。円形脱毛症は以下のように分類されます。

  • 通常型円形脱毛症(単発型/多発型):単発または多発に脱毛した部分を認めるタイプ
  • 蛇行型円形脱毛症:髪の毛の生え際が帯を広げたような形に脱毛するタイプ
  • 全頭型円形脱毛症:脱毛する部分が頭全体に広がったタイプ
  • 汎発型円形脱毛症:脱毛する部分が身体に広がったタイプ

リットフーロは主に全頭型および汎発型の重症例に対して使用されることが想定されています。承認条件として医薬品リスク管理計画の策定と適切な実施が求められており、重篤な感染症、悪性腫瘍等の重篤な副作用が発現する可能性があることから、既存の経口ヤヌスキナーゼ阻害薬と同様の十分な安全対策が必要とされています。

フィナステリド錠については、効能・効果が「男性における男性型脱毛症の進行遅延」となっており、男性成人のみが対象です。女性や小児への使用は禁忌となっており、特に妊娠可能性のある女性や妊婦、授乳婦は接触も避ける必要があります。

ファイザー脱毛治療薬市場における今後の展望と開発動向

ファイザーの脱毛治療薬は、円形脱毛症と男性型脱毛症という異なる病態に対応する包括的なアプローチを提供しています。リットフーロの登場により、これまで有効な治療選択肢が限られていた重症円形脱毛症患者に対して、新たな希望をもたらしています。

国際臨床試験データによると、リットフーロとバリシチニブの効果はほぼ同等と推定されますが、バリシチニブの方が効果の立ち上がりが早く、リットフーロはゆっくり効いてくるという特徴があります。この違いは、患者の病態や治療への期待、ライフスタイルに応じた個別化医療の実現に貢献する可能性があります。

円形脱毛症の有病率は、全国疫学調査で2.45%、2012〜2019年のJMDCデータベースを用いた研究では0.16〜0.27%と報告されており、決して稀な疾患ではありません。特に重症例では患者のQOLに深刻な影響を与えるため、治療選択肢の拡充は医療現場にとって重要な意義を持ちます。

男性型脱毛症領域においては、フィナステリドの後発医薬品としての位置づけが確立されており、コスト面でのメリットを患者に提供しています。ただし、現在はヴィアトリス・ヘルスケア合同会社に製造販売が移管されているため、ファイザーブランドでの新規開発は限定的と考えられます。

将来的には、JAK阻害薬の更なる最適化や、新規作用機序を有する脱毛治療薬の開発が期待されており、ファイザーのイノベーション力がこの分野でも発揮される可能性があります。特に、既存治療に抵抗性を示す症例や、より安全性プロファイルの優れた治療選択肢の開発が求められています。

医療従事者向け情報サイト – ファイザー円形脱毛症治療について

https://www.enkei-datsumou.jp/glossary

PMDA審議結果報告書 – リットフーロカプセル承認情報

https://www.pmda.go.jp/drugs/2023/P20230628001/672212000_30500AMX00133_A100_1.pdf