ファイファー症候群いつわかる診断時期
ファイファー症候群の出生前診断時期と限界
ファイファー症候群の出生前診断は妊娠20週頃から可能性がありますが、確実な診断は困難です。妊婦健診での超音波検査において、赤ちゃんに水頭症が見られる場合は何らかの疾患を疑いますが、水頭症をきたす疾患は様々あるため、ファイファー症候群だと特定することはできません。
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精密超音波検査では頭蓋骨の形状や脳の発達状況を評価することができますが、軽症例では診断が困難な場合があります。家族歴がある場合、つまり両親のいずれかに頭蓋骨癒合症候群の既往がある場合に限り、遺伝カウンセリングを受けた上で羊水検査などの確定的検査を検討できます。
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出生前の超音波検査で頭蓋変形が指摘されることはありますが、頭蓋骨縫合早期癒合症のリスクを前もって指摘されていない場合には、出生前検査は困難であるとされています。妊娠中に確実にファイファー症候群だと診断できることはなく、羊水検査なども含めて限界があることを理解しておく必要があります。
ファイファー症候群の新生児期の診断タイミング
ファイファー症候群は多くの場合1歳以内に発症し、新生児期に診断されることが一般的です。新生児や乳児では、頭蓋変形や頭囲が小さい、大泉門の早期閉鎖などで見つかる場合が多く、症候群性では顔面、指(手・足)、四肢の異常から気づかれることもあります。
参考)https://jpn-spn.umin.jp/sick/c.html
頭蓋や顔面の特異的な変形がみられるため、ほとんどの場合は診察だけで症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症と診断されます。ファイファー症候群の特徴であるクローバー型の頭蓋や幅広で短く外反した手足の指、皮膚性合指などがみられると、ファイファー症候群が疑われます。
参考)ファイファー症候群(症状・原因・治療など)|ドクターズ・ファ…
新生児早期に診断された症例報告も存在しており、特徴的な身体所見があれば出生直後から診断が可能です。ただし、単なる見た目の問題として見過ごされたり、ヘルメット治療でなおると誤診されることで、頭蓋縫合早期癒合症の発見が遅れてしまうケースもごく稀に発生しています。
参考)頭蓋縫合早期癒合症 |赤ちゃんの頭の形クリニック|港区赤坂
ファイファー症候群の遺伝子検査による確定診断
ファイファー症候群の確定診断は遺伝学的検査によって行われます。血液を採取して遺伝子検査を実施し、他の縫合線の早期癒合をきたす病気と鑑別します。
参考)ファイファー症候群(指定難病183) href=”https://www.nanbyou.or.jp/entry/4676″ target=”_blank”>https://www.nanbyou.or.jp/entry/4676amp;#8211; 難病情…
ファイファー症候群の原因遺伝子としてFGFR2とFGFR1が知られており、FGFR1の変異であるPro252Arg、FGFR2ではIgⅢドメインに集中している変異が特徴的です。FGFR2遺伝子内の変異の一部は「ファイファー症候群」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原…
検査方法は次世代シークエンサーあるいはキャピラリーシーケンサーによる遺伝子配列決定が用いられ、血液1mL以上をEDTA-2K真空密封型採血管で採取します。検体到着後、60営業日以内に結果が報告されます。
参考)https://www.genetest.jp/documents/tests/insured/K010-17_v8.pdf
1型はFGFR1およびFGFR2遺伝子変異が関連し、2型および3型ではFGFR2遺伝子変異が関連することが明らかになっています。多くはFGFR2遺伝子(染色体10q26.13上)変異が原因であり、FGFR1遺伝子(染色体8q11.23上)変異によるものは1型のごく一部です。
参考)ファイファー症候群
ファイファー症候群の画像検査での診断プロセス
画像検査はファイファー症候群の診断において重要な役割を果たします。単純頭部X線写真、CT、MRI、脳血流シンチグラフィー、頭部X線規格写真、オルソパントモ写真などで頭蓋内圧亢進、頭蓋縫合早期癒合、顔面骨の低形成を診断していきます。
参考)ファイファー(Pfeiffer)症候群 診断の手引き – 小…
頭蓋の状態を3次元的に確認できる3D-CT検査が特に有用で、各縫合が閉鎖しているかどうかの状態や頭蓋の形態、頭蓋冠内面の指で押したようなくぼみの大きさなど重要な情報を得ることができます。同じデータから脳も評価できますが、MRI検査を追加する方が脳の形成異常などを見つけやすいとされています。
参考)頭蓋縫合早期癒合症
頭部レントゲン・CTなどで骨の癒合状態やCT・MRIなどで脳の状態を確認することで診断が確定します。頭蓋内圧亢進症状、水頭症、キアリ奇形など脳の異常などを確認するために、MRI検査やCT検査を実施します。
参考)頭蓋骨縫合早期癒合症
新生児期には睡眠時無呼吸の有無も確認し、他には頚椎の検査、目の検査、聴力・中耳の検査、口腔内の検査なども行っていきます。
ファイファー症候群の病型別診断と臨床所見
ファイファー症候群は臨床症状から3つの病型に分類され、それぞれ診断時期や予後が異なります。1型は左右対称性の両側冠状縫合早期癒合症、合指症、広指症、外反母趾を伴う古典的な表現型で、知能は通常正常で生存予後も良好です。
参考)ファイファー症候群
2型および3型では水頭症、眼球突出が著しく肘関節拘縮も合併し、2型はクローバーリーフ頭蓋が認められます。重症例では精神運動発達遅滞を認めることもあり、I型は軽症ですが、II型は水頭症を高率に合併します。
参考)頭蓋骨縫合早期癒合症
臨床的特徴として、頭蓋骨早期癒合症と中顔面低形成が特徴で、広い親指と異常に広い外反母趾が一般的であり、指の合指症が見られることがあります。骨格、中枢神経系、消化器系の異常も頻繁に見られ、変異の範囲には多様性があることが報告されています。
眼球突出、呼吸障害、上顎骨の低形成、それによる噛み合わせ不良(受け口)、耳介低位などを様々な程度で生じるため、これらの症状の組み合わせから病型を判断し診断を進めていきます。
参考)ファイファー症候群|疾患情報【おうち病院】 / おうち病院 …
参考情報として、難病情報センターのファイファー症候群のページでは診断基準の詳細が確認できます。難病情報センター ファイファー症候群(指定難病183)
また、小児慢性特定疾病情報センターのファイファー症候群診断の手引きでは、画像検査所見や診断基準について専門的な情報が掲載されています。ファイファー(Pfeiffer)症候群 診断の手引き