エルバスビル グラゾプレビル販売中止と今後の治療選択

エルバスビル グラゾプレビル 販売中止

この記事の3ポイント
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販売中止の経緯

MSDが2021年5月に発表し、10月末で販売終了。薬価削除は2022年4月1日に実施されました

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代替治療薬の選択

マヴィレット配合錠やソホスブビル系DAAが第一選択となり、SVR率99%と高い治療成績を達成

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実務上の注意点

2022年4月以降の処方は保険請求不可。在庫管理と患者への治療切り替え説明が必須です

薬価削除後も在庫を処方すると保険請求できません。

エルバスビル グラゾプレビル販売中止の時期と理由

MSD株式会社は2021年5月31日、経口C型肝炎治療薬エルバスビル(商品名:エレルサ錠50mg)およびグラゾプレビル(商品名:グラジナ錠50mg)の販売中止を発表しました。販売中止時期は2021年10月末、経過措置期間は2021年11月から2022年3月31日まで設定され、薬価削除日は2022年4月1日となりました。msdconnect+1

中止の理由として「C型肝炎治療における本剤への医療ニーズが大きく変化したこと」が挙げられています。

つまり医療ニーズが大きく変化したことですね。

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具体的には、より高いSVR率(ウイルス学的著効率)を示し、副作用が少なく、治療期間が短い次世代DAAが相次いで登場したことが背景にあります。エレルサ錠の薬価は1錠26,900.5円と高額でしたが、治療選択肢が増えたことで本剤の位置づけが変化しました。do-yukai+1

2022年4月1日以降は保険請求が不可となるため、医療機関では在庫管理と患者への説明が重要な実務課題となりました。

参考)https://www.msdconnect.jp/wp-content/uploads/sites/5/2023/01/discontinued_erelsa-grazyna_202105.pdf

エルバスビル グラゾプレビル併用療法の特徴と臨床成績

エルバスビルはNS5A阻害薬、グラゾプレビルはNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬として作用し、2つのDAAを組み合わせたインターフェロンフリー療法として開発されました。ジェノタイプ1型のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変患者に適応があり、エルバスビル50mgとグラゾプレビル100mgを1日1回12週間併用投与する治療法です。pmda+3

日本人C型慢性肝炎患者を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相試験(058試験)では、SVR率95%以上という高い有効性が示されました。肝硬変の有無や前治療の有無にかかわらず、安全性プロファイルに大きな違いはみられませんでした。pmda.go+1

腎機能障害患者にも投与可能な点が特徴でしたが、後発のDAAがさらに優れた成績を示したことで、治療における優先順位が変化しました。

これが条件です。

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エルバスビル グラゾプレビル販売中止後の代替治療選択

販売中止後の第一選択薬は、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠(マヴィレット配合錠)です。マヴィレットは2017年11月に発売され、DAA未治療のゲノタイプ1型・2型慢性C型肝炎でSVR12達成率99%、DAA治療無効例でも93.9%という非常に高い有効性を示しています。pharm-hyogo-p+1

治療期間は8週または12週で、腎機能障害などの重篤な副作用がほとんどなく、従来のDAAで投与できなかった患者にも投与できる場合が多いという利点があります。1錠の薬価は24,210.4円で、8週投与で約407万円、12週投与で約610万円の治療費となります。

参考)C型肝炎の治療が大きく変わりました 

ゲノタイプ2型ではソホスブビルリバビリン(重度腎障害なし)、ハーボニー配合錠(重度腎障害なし)も選択肢となります。非代償性肝硬変やDAA前治療不成功例には、エプクルーサ配合錠(ソホスブビル/ベルパタスビル)が2019年1月に承認され、新たな治療選択肢となりました。

参考)C型肝炎の治療|北九州市八幡東区中央の内科、肝臓内科なら か…

ゲノタイプ1型と2型の混合感染例では、マヴィレットまたはハーボニーが推奨されています。治療選択は患者の腎機能、肝機能、前治療歴、ゲノタイプを総合的に評価して決定します。

日本肝臓学会「C型肝炎治療ガイドライン」

最新のC型肝炎治療推奨がまとめられており、エルバスビル・グラゾプレビルの記載削除や推奨治療法の更新情報が確認できます。

エルバスビル グラゾプレビル在庫管理と患者対応の実務

医療機関では販売中止に伴い、在庫の適切な管理と患者への説明が必要となりました。2022年4月1日以降は保険請求が不可となるため、それ以前に在庫を使い切るか、適切に廃棄する必要があります。

処方オーダーシステムからの削除時期は各施設によって異なりますが、在庫欠品となった時点で処方オーダを一時停止する施設が多くみられました。エレルサ錠の最終ロットの使用期限は2022年3月末、グラジナ錠は2022年12月末でした。yamaguchi-u+1

既にエルバスビル・グラゾプレビル併用療法を開始している患者には、治療完遂を優先しますが、新規患者や治療切り替えが必要な患者には代替DAAへの変更を説明します。代替薬はマヴィレット配合錠が第一選択ですね。

患者説明では、より高い治療成績を示す新しい薬剤が利用可能になったこと、副作用が少なく治療期間が短縮される可能性があることを強調すると、患者の理解と納得が得られやすくなります。薬剤費の変動についても事前に説明しておくことで、患者の不安を軽減できます。

エルバスビル グラゾプレビル以外のDAA販売動向

エルバスビル・グラゾプレビルは「第4のDAA」として販売中止となりましたが、他のDAAにも同様の動きがあります。日本肝臓学会のC型肝炎治療ガイドラインでは、ソホスブビル(ソバルディ)も製造中止・薬価削除予定となり、治療推奨から記載が削除されました。medical-tribune+1

中国市場でも、2023年の国家薬価交渉でエルバスビルとグラゾプレビル錠が削除され、近く市場から撤退する可能性があると報告されています。グローバルにC型肝炎治療薬の選択肢が整理されている状況です。

参考)変化する中国: 2023年の中国政府との薬価交渉から得られた…

このようなDAA治療薬の入れ替わりは、C型肝炎治療が急速に進化している証拠でもあります。2014年にインターフェロンフリー治療が始まり、2016年にはプロテアーゼ阻害薬+NS5A阻害薬併用が登場、2017年には現在主流のマヴィレットが発売されるなど、わずか数年で治療環境が大きく変わりました。jmedj+1

医療従事者は定期的にガイドラインを確認し、最新の治療選択肢と推奨度を把握しておく必要があります。特に在庫管理と処方オーダーシステムの更新は、保険請求のリスクを回避するために重要な実務です。

項目 エルバスビル・グラゾプレビル マヴィレット配合錠 エプクルーサ配合錠
適応 GT1型慢性肝炎・代償性肝硬変

参考)https://www.pharm-hyogo-p.jp/renewal/kanjakyousitu/sk56.pdf

GT1~6型、代償性・非代償性肝硬変do-yukai+1 全GT、非代償性肝硬変・DAA失敗例
SVR率 95%以上

参考)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_13488

99%(未治療)、93.9%(DAA失敗例) データは個別評価が必要
治療期間 12週間 8~12週間 12週間
腎機能障害 投与可能

参考)https://www.pmda.go.jp/drugs/2016/P20161013003/170050000_22800AMX00710_D100_1.pdf

投与可能(重篤な副作用少ない) 重度腎障害でも選択肢
販売状況 2021年10月末販売中止 現在の一選択薬 2019年1月承認、現役