瞳孔強直 とは
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瞳孔強直とは 対光反射 近見反応
瞳孔強直とは、瞳孔が「縮みにくい・縮むのが遅い」だけでなく、いったん縮んだ後も拡がりにくい(再散大が遅い)など、反応が“強直的(tonic)”になる状態を指します 。
臨床で最も重要な観察点は、対光反射(直接・間接)が弱い/消失しているのに、近見反応(調節に伴う縮瞳)が相対的に保たれる「対光近見解離(light-near dissociation)」です 。
ただし対光近見解離そのものは、Adieだけの専売特許ではなく、糖尿病、背側中脳病変、Argyll Robertson瞳孔などでも起こり得るため、「縮瞳のしかたが緩慢で強直的」「再散大が遅い」といった質的所見まで含めて評価します 。
現場でのチェックを、言語化しておくと迷いが減ります。
・暗所→明所での瞳孔径変化:明所で縮瞳が乏しい/緩慢か
参考)https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jja2.12919
・近見刺激(約30cm)での縮瞳:光よりも反応が目立つか
・近見を外した後:拡がるまでが不自然に遅いか(“だらだら戻る”)
瞳孔強直とは 原因 毛様体神経節
強直性瞳孔(Adie瞳孔)で想定される代表的な機序は、副交感神経(節後線維)側の障害、とくに毛様体神経節を含む経路の障害です 。
毛様体神経節の損傷後、除神経過敏(受容体のアップレギュレーション)や再神経支配の“誤配線(異常再生)”が起こり、光刺激よりも近見刺激に対して強く縮瞳したり、縮瞳が強直的に持続したりする説明につながります 。
原因は特発性が多い一方、ウイルス感染、外傷、片頭痛による血管れん縮、眼科手術、腫瘍などが関連し得る点は医療者側が押さえておくべきポイントです 。
「片眼性が多い」「最初は散瞳気味に見える」「慢性化で小さくなることがある」といった時間軸の特徴も、問診・経過観察の精度を上げます 。
また、深部腱反射低下を伴うとホームズ・アディ症候群(Adie症候群)としてまとめられることがあり、眼所見が“神経の入口”になることがあります 。
瞳孔強直とは 鑑別 アーガイル=ロバートソン瞳孔
瞳孔強直の鑑別でよく並べられるのが、アーガイル=ロバートソン瞳孔です 。
アーガイル=ロバートソン瞳孔は「対光反応がない(または著減)」一方で「近見反応は正常」という点が典型で、主に神経梅毒が代表的原因として知られています 。
さらに、原因として神経梅毒以外に糖尿病、多発性硬化症、脳腫瘍などでも起こり得るとされ、原因疾患のスクリーニング(背景疾患・神経症状の確認)を促す徴候になり得ます 。
ここで混乱しやすいのが、「どちらも対光近見解離があるなら同じでは?」という点です。
・Adie(強直性瞳孔)は“反応の質”が緩慢・強直的で、再散大が遅いなど動態異常が目立つことが多いです 。
・アーガイル=ロバートソン瞳孔は“近見反応が保たれる”という形式が中心で、背景疾患(神経梅毒など)を強く意識します 。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/853cd203738682564929f29aae3fedb1a1322dc7
鑑別の実務は、形(対光/近見)+動き(緩慢/強直)+背景(神経症状/感染リスク/糖代謝など)を同時にそろえる作業です 。semanticscholar+1
参考:アーガイル=ロバートソン瞳孔の定義(対光反応なし、神経梅毒など)

瞳孔強直とは 検査 希薄ピロカルピン
強直性瞳孔が疑われるとき、低濃度(希薄)ピロカルピン点眼で縮瞳する「除神経過敏」を利用した検査が、鑑別の助けになることがあります 。
この考え方は、毛様体神経節〜節後線維の障害後に受容体が過敏になり、通常の瞳孔では反応しにくい濃度でも縮瞳が起こり得る、という病態に基づきます 。
ただし、希薄ピロカルピンへの過敏性はAdieに完全特異的ではなく、いくつかの節前性障害でも示され得るため、検査結果だけで断定せず、対光・近見の動態や臨床像とセットで解釈します 。
救急や病棟で「散瞳=脳ヘルニア?」が頭をよぎる場面ほど、次の“安全運用”が大切です。
・眼痛、複視、眼瞼下垂、眼球運動障害の有無を同時に確認する(動眼神経麻痺や圧迫性病変の除外のため)
・外傷、手術歴、感染症状(帯状疱疹など)、糖尿病の既往を短時間で拾う
・「良性のことが多い」とされる一方で、より深刻な原因の除外が重要、と明記されている点をチーム内で共有する
参考:緊張性瞳孔(Adie)での病態・診断・鑑別(対光近見解離、原因、除外すべき疾患)
瞳孔強直とは 独自視点 記録 テンプレート
検索上位では「原因・鑑別・治療」の説明が中心になりがちですが、医療従事者にとって見落としやすいのは“所見の再現性”で、記録の粒度が低いとコンサルトの質が落ちます 。
瞳孔強直を疑った時点で、次のように「刺激」「時間」「左右差」をテンプレ化して残すと、眼科・神経内科へ渡す情報が一段上がります(しかも所見の取り違えが減ります)。
【カルテ記録の例(テンプレ)】
・瞳孔径:暗所 右○mm/左○mm、明所 右○mm/左○mm
・対光反射:右(直接○/間接○)、左(直接○/間接○)、反応速度(迅速/緩慢/消失)
・近見反応:近見距離(例:30cm)、縮瞳の有無、縮瞳速度、再散大の遅延の有無
・随伴所見:羞明、かすみ、眼痛、頭痛、眼瞼下垂、眼球運動障害、深部腱反射(膝蓋腱反射など)
・背景:外傷/眼科手術/帯状疱疹/糖尿病/感染リスク(梅毒含む)
この“記録の型”は、Adieが良性のことが多いとされる一方で、鑑別として外傷・腫瘍・第3神経麻痺を伴う頭蓋内出血/脳卒中・帯状疱疹・梅毒など、より重い病態の除外が重要だとされている点と整合します 。
臨床では「片眼の散瞳+対光反射低下」を見た瞬間に鑑別が暴走しやすいので、テンプレで手順を固定して“確認漏れ”を防ぐ設計にしておくのが現実的です 。

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