瞳孔不同症とくも膜下出血と頭痛とCT

瞳孔不同症と助詞

瞳孔不同症:現場で迷わない要点
🚑

まずは危険サインの除外

「突然の激しい頭痛」「意識障害」「対光反射の異常」「眼球運動障害」などがあれば、脳卒中(特にくも膜下出血や脳ヘルニア)を強く疑います。

👁️

瞳孔と対光反射を“セット”で評価

瞳孔径差そのものより、対光反射の有無・左右差、共同偏視、眼瞼下垂の併存が重要です。

💊

薬剤性(散瞳点眼薬)を忘れない

点眼や貼付薬、吸入薬の曝露で片側散瞳が起きることがあります。問診で“最近の眼科受診”や“家族の点眼薬”まで確認します。


<% index %>

瞳孔不同症の瞳孔径と対光反射の評価

 

医療現場で「瞳孔不同症」を見た瞬間、最初にやるべきは“左右差がある”という事実の確認ではなく、「対光反射が保たれているか」「神経学的異常を伴うか」を同時に押さえることです。瞳孔は環境光・精神緊張・疼痛・薬剤で動きやすく、瞳孔径差だけで重症度を即断すると誤りやすいからです。

評価は、①瞳孔径(mm)、②直接・間接対光反射、③眼球運動(複視の有無、追視での動き)、④眼瞼下垂、⑤共同偏視、⑥意識状態、を“並列”で行うのが安全です。病院前や救急初療でも、瞳孔の観察として「瞳孔径、瞳孔不同、対光反射、共同偏視の有無」を見ることが重要だとされています。特に、くも膜下出血やテント下出血では縮瞳、大脳半球出血では瞳孔不同や共同偏視が生じることが多い、という整理は現場感覚に合致します。

また、瞳孔不同症には生理的な範囲が存在します。MSDマニュアル(プロフェッショナル版)の表では「1〜2mmの瞳孔不同で、対光反射が保たれ、症状がない」場合は正常変異(生理学的瞳孔不同)とされています。つまり「左右差=即重症」ではなく、「左右差+反射異常/随伴症状=重症の可能性」と捉えるのが臨床的です。

一方で、対光反射障害を伴う散瞳(とくに片側)は、動眼神経麻痺(圧迫性:後交通動脈瘤やテント切痕ヘルニアなど)や散瞳点眼薬などが鑑別に挙がります。MSDマニュアルの整理では、片側散瞳で遠心路障害を示唆する所見として「第3脳神経麻痺(多くは圧迫性)」「虹彩外傷」「散瞳点眼薬」が並び、原因の幅が広い点がポイントです。

現場でのコツは「暗所と明所で差がどう変わるか」を見ることです(縮瞳側が異常なら暗所で差が増えやすく、散瞳側が異常なら明所で差が増えやすい、という古典的な考え方)。ただし、この“暗所/明所テスト”は、救急の最優先事項(重症脳疾患の見逃し防止)を置き換えるものではありません。まずは危険サインの有無を確認し、危険が疑われるなら時間をかけた精密鑑別より、画像・専門科に繋ぐ判断が重要です。

参考:瞳孔異常のパターンと原因(生理的瞳孔不同、薬剤性散瞳、動眼神経麻痺など)の整理

MSDマニュアル プロフェッショナル版「一般的な瞳孔異常(表)」

瞳孔不同症のくも膜下出血と頭痛の初期対応

瞳孔不同症が“怖い”のは、脳の緊急事態のサインとして現れることがあるからです。とくに、突然発症の激しい頭痛(いわゆる人生最悪の頭痛)や嘔吐、意識変容を伴う場合、くも膜下出血の可能性を常に念頭に置く必要があります。病院前救護のガイドラインでも、脳卒中の状況評価として「激しい頭痛、意識障害、複視、視野異常などが突然出現」した場合は脳卒中を疑うべきとされています。

瞳孔の観察について、救急隊・初療の重点項目として「瞳孔径、瞳孔不同、対光反射、共同偏視」を見ることが明記され、さらに「くも膜下出血やテント下出血では縮瞳、大脳半球の出血では瞳孔不同あるいは共同偏視が生じることが多い」とされています。ここから言える実務上のポイントは、瞳孔不同症があった場合に、同時に頭痛の性状(突然か、初発か、過去にない強さか)、嘔吐、意識レベル、局所神経症状をセットで拾いにいくことです。

初期対応は、原因が確定しない段階でも“やってよいこと”が比較的はっきりしています。具体的には、SpO2をモニターし必要なら酸素投与、循環動態の把握、嘔吐リスクを考えた気道管理、神経所見の経時変化の記録です。くも膜下出血を疑う場合、意識障害があれば15〜30度の軽度上半身挙上を検討し、再破裂の誘因になり得る不必要な衝撃を避け慎重に搬送する、という病院前プロトコール上の考え方も示されています。

意外と見落とされるのが「瞳孔不同症が“単独”で出るとは限らない」点です。くも膜下出血や動脈瘤関連では、眼瞼下垂・眼球運動障害(動眼神経麻痺)とセットで見つかることがあります。したがって、瞳孔不同症を見たら、患者が「片目が開けにくい」「二重に見える」と訴えていないか、こちらから具体的に聞き出す価値があります。

参考:病院前での脳卒中(くも膜下出血を含む)の観察項目、瞳孔不同・対光反射・共同偏視、搬送時の注意点

湘南地区メディカルコントロール協議会「脳卒中ガイドライン2012(PSLS/病院前評価)」

瞳孔不同症の外傷とCTの適応

外傷が絡む瞳孔不同症では、眼そのものの損傷(虹彩括約筋断裂など)と、頭蓋内病変(急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、脳挫傷、脳ヘルニア進行)の両方を同時に疑う必要があります。救急現場では「目の所見は目の病気」と短絡しがちですが、外傷後の瞳孔不同は“脳のサイン”である可能性が常に残ります。

ここで重要なのは、瞳孔不同症の評価を「眼球局所」へ閉じないことです。例えば、意識レベル低下、片麻痺、対光反射の低下・消失などがあれば、頭蓋内圧亢進やヘルニア徴候を考え、画像(頭部CT)を急ぐ判断が臨床的には妥当になります。脳卒中・出血の文脈では、瞳孔不同が頭蓋内イベントと結びつく徴候として扱われており、病院前でも瞳孔所見が重視されています。

一方、外傷性の瞳孔不同症には「虹彩外傷で散瞳が固定気味になる」「瞳孔不整を伴う」といった眼局所の要因もありえます。MSDマニュアルの表でも、片側散瞳(遠心路障害の鑑別)に「虹彩外傷(また瞳孔不整)」が含まれています。つまり、外傷例では“脳か眼か”の二択ではなく、“脳も眼も”を同時に評価する構えが必要です。

実務としては、次のように切り分けると動きやすくなります。

  • 🚩危険側:意識障害、進行する頭痛・嘔吐、対光反射障害、片麻痺、徐脈+高血圧などを伴う → 頭部CT優先、脳外科連携を急ぐ。
  • 👁️眼局所側:視力低下や眼痛、眼球運動痛、前眼部外傷所見、瞳孔不整が目立つ → 眼科評価も同時並行(ただし危険サインがあれば頭部優先)。

「瞳孔不同症があるからCT」ではなく、「瞳孔不同症を含む神経学的異常があり、時間依存の頭蓋内病変を疑うからCT」というロジックにすると、説明責任(上司レビューや記録)にも耐えやすくなります。

瞳孔不同症の散瞳点眼薬と薬剤性の鑑別

救急外来で遭遇する“片側だけの散瞳”は、脳疾患を疑うべき一方で、薬剤性(特に散瞳点眼薬)という頻度の高い落とし穴があります。MSDマニュアルの表では、両側散瞳(対光反射障害あり)の原因として「交感神経刺激薬(例:フェニレフリン)や調節麻痺薬(例:トロピカミド等)の散瞳点眼薬」および「脳ヘルニア」などが並列に挙げられています。つまり、同じ“散瞳・反射異常”でも、薬剤と中枢が同じ土俵に乗ってくるわけです。

薬剤性が疑わしい状況は、問診で拾えることが多いのが特徴です。例えば、

  • 眼底検査や屈折検査のための散瞳(当日〜前日)
  • 家族の点眼薬を誤って使用(高齢者施設や家庭内で起きやすい)
  • 医療従事者が院内で検査用点眼薬に曝露(手袋未使用で付着→片側だけ触る、など)
  • 貼付薬・吸入薬の取り扱い後に片側の目をこすった(抗コリン薬で起きうる)

意外なポイントとして、薬剤性の散瞳は「神経症状が薄い」ことが多く、患者が落ち着いているケースもあります。しかし“落ち着いているから安全”とは限らず、くも膜下出血や動脈瘤の初期は意識が保たれることもあるため、最初の数分は安易に安心しない方が安全です。

鑑別の考え方として、MSDマニュアルには「散大した瞳孔にピロカルピン点眼を1滴→縮瞳反応がなければ散瞳点眼薬が示唆される」という記載があり、テント切痕ヘルニアと散瞳点眼薬の鑑別に触れています。ただし、この手技は施設の方針や専門科の関与(眼科・救急・脳外科)により実施可否が異なり、自己判断でルーチン化すると逆に混乱します。重要なのは、薬剤性を“疑う質問”をルーチンに組み込み、記録として残すことです。

瞳孔不同症の独自視点:病院前からの「連携メモ」

検索上位の解説は「原因」「鑑別」「危険サイン」に集中しがちですが、医療従事者向けに実務で効いてくるのは“次の担当者が迷わない情報の渡し方”です。瞳孔不同症は経時変化が診断に直結することがあり、同じ患者でも「来院時」「CT前」「CT後」「搬送中」で所見が変わり得ます。だからこそ、短い文章でもいいので“比較可能な形式”で残す価値があります。

おすすめは、瞳孔不同症を見たら以下をテンプレ化してメモすることです(看護記録・救急隊申し送り・電話コンサルトにそのまま転用できます)。

  • 🕒発症と経過:いつから、突然か、増悪か、外傷の有無、最後に正常だった時刻。
  • 👁️瞳孔:右○mm/左○mm、対光反射(右→右/右→左、左→左/左→右)、共同偏視の有無。
  • 🧠神経:JCS/GCS、麻痺、構音、眼瞼下垂、複視、痙攣。
  • 🤮随伴:頭痛(最悪か/初発か)、嘔吐、項部硬直感(可能なら)。
  • 💊曝露:散瞳点眼薬、貼付薬、吸入薬、最近の眼科受診、家族の点眼薬。

この「連携メモ」が効く理由は、脳卒中の病院前プロトコールでも“瞳孔の観察(径・不同・反射・共同偏視)”を重点項目として繰り返し観察し記録することが求められているからです。要するに、瞳孔不同症は“所見そのもの”より“所見の推移”が価値を持ちます。医療者同士の引き継ぎで、この推移が共有できないと、判断が遅れたり、逆に不要な検査が増えたりします。

さらに意外な盲点として、瞳孔不同症を写真で残す行為は便利に見えてリスクもあります(個人情報、院内規定、光の条件で誤差が増える)。その点、mmでの記載と対光反射の記載は、どの職種でも再現性が高く、監査(上司チェック)にも耐えやすい“文章のデータ”になります。

最後に、現場の安全策として「瞳孔不同症+突然の激しい頭痛」または「瞳孔不同症+対光反射異常」は、くも膜下出血や脳出血などの緊急疾患を疑うトリガーとして扱い、専門施設への早期搬送・早期画像へ繋ぐ判断を優先してください。病院前ガイドラインでも、突然発症の強い頭痛はくも膜下出血を強く疑う所見として扱われ、神経所見(瞳孔など)を含めた迅速評価の枠組みが示されています。

瞳孔膜

瞳孔膜の要点
🧠

定義

胎生期の前部水晶体血管膜が消失せず、瞳孔領に索状・網目状に残る先天異常。

👶

見逃し注意

多くは偶発的に発見されるが、視軸遮蔽や弱視リスクがあれば介入を検討。

🔍

鑑別

虹彩後癒着・白色瞳孔を来す疾患(PFVなど)と区別し、前眼部所見を統合する。

瞳孔膜の瞳孔膜遺残の定義と発生

瞳孔膜(臨床では「瞳孔膜遺残」「持続性瞳孔膜:persistent pupillary membrane/PPM」として扱われることが多い)は、胎生期の前部水晶体血管膜(anterior tunica vasculosa lentis)が本来は退縮する時期を過ぎても残存し、瞳孔領に網目状・索状の組織として観察される状態を指します。医書.jpの臨床眼科の記載でも、PPMは「胎生期の前部水晶体血管膜が消失せず、網目状の組織が瞳孔領に残ったもの」と整理されています。臨床の場では「茶色い糸くずのような索状物が瞳孔内に見える」という表現で説明されることもあり、虹彩の先天的異常として一般眼科サイトでも紹介されています。

発生学的には、胎児期の水晶体は血管網(血管性被膜)によって栄養されますが、出生に向けて不要となる血管系が退縮します。瞳孔膜遺残は、この退縮過程の“残り”として理解すると把握しやすいです。ここで重要なのは、PPMそのものは「胎児の正常構造の残存」であり、直ちに病的と断定せず、視機能への影響で重症度を判断する点です。すなわち、所見の存在だけで治療を急ぐのではなく、「視軸を遮っているか」「屈折異常弱視と関連しているか」を軸に整理すると臨床判断が安定します。

また、PPMという言葉は患者説明では混乱を生みやすいので、「生まれる前の血管の名残が少し残っている状態」と平易に言い換えたうえで、視力への影響が乏しいケースが多いこと、ただし一部では弱視につながりうることをセットで伝えると納得が得られます。医療従事者向けには、所見の形態(細い索状、蜘蛛の巣状、膜状で瞳孔縁を横断するなど)をカルテに残し、経過観察時に同一条件で写真記録する運用が有用です。視能訓練士領域でもPPMの“決め手のワンショット”が取り上げられるように、微細所見の記録性が診療品質に直結します。

瞳孔膜の虹彩と視診スクリーニング

PPMは多くの場合、乳幼児健診や一般診療での前眼部視診・細隙灯検査で偶然見つかります。東京都医師会の「乳幼児の視覚スクリーニング」資料では、瞳孔の形の異常として「瞳孔膜遺残」が挙げられており、新生児〜乳幼児期の視診項目に組み込まれている点が実務上の要点です。国立成育医療研究センターの眼科案内でも、新生児期から注意すべき兆候の文脈で「瞳孔膜遺残」が列挙されており、一次の気づき(誰が見つけるか)が診療導線の起点になることが示唆されます。

スクリーニングで大切なのは「PPMがあるかどうか」よりも、「瞳孔領が十分に開いて見えるか」「光が網目状組織で遮られていないか」「白色瞳孔(白く見える反射)を伴っていないか」です。特に白色瞳孔は、網膜芽細胞腫など緊急性の高い疾患を含む幅広い鑑別につながるため、“PPMらしい”と早合点しないルール化が安全です。千葉大学病院の啓発記事でも、写真などで白い瞳に気づいた場合は早期受診が勧められており、現場では「PPM所見+白色瞳孔っぽい」なら別ルートの精査(眼底評価や画像、専門機関紹介)に乗せる判断が重要になります。

また、PPMは虹彩の先天異常として説明されますが、「虹彩の炎症後変化(癒着)」と混同されやすい点に注意が必要です。炎症性の虹彩後癒着は、瞳孔縁が水晶体に癒着して瞳孔形状が不整になったり、散瞳しにくくなったりします。一方PPMは、瞳孔縁をまたぐ索状物が見えても、虹彩炎の既往や前房炎症所見が乏しいことが多く、所見の“時間軸”が異なります。忙しい外来では、既往(ぶどう膜炎、外傷、術後など)と同時に、散瞳反応や前房細胞・フレアの有無をセットで見て混同を減らします。

参考:乳幼児の視診で「瞳孔膜遺残」を含むチェック項目がまとまっています

https://www.tokyo.med.or.jp/wp-content/uploads/application/pdf/r7kakuka_3-1.pdf

瞳孔膜の弱視と治療

PPMの多くは視機能に影響せず経過観察で足りますが、膜が太く視軸を遮る場合や、瞳孔中央を横断して実質的な開口部が小さい場合は、弱視のリスク評価が中心課題になります。実際に「高度な瞳孔膜遺残による弱視」に対して、手術後の弱視訓練が著効した症例報告が学会報告として存在し、単に“膜を取れば終わり”ではなく、術後の視覚可塑性を見越した介入設計が重要であることが示されます。さらに、観血的切除術と弱視治療で良好な視力を得た小児症例の報告もあり、重症例では外科的介入と視能矯正の連携がアウトカムを左右します。

治療の考え方を医療従事者向けに整理すると、論点はおおむね次の3つです。

・視軸遮蔽の程度:瞳孔中央のクリアゾーンが確保されているか

・屈折・不同視:乱視や不同視が並存し、弱視の“燃料”になっていないか

・年齢:弱視治療の効果が見込める時期か、緊急性が高いか

保存的にいく場合でも、屈折矯正(眼鏡)と遮閉などの弱視治療の適応を検討します。逆に、手術適応がある場合は、切除による炎症・癒着リスク、麻酔リスク(特に乳児)を天秤にかけ、術後フォロー(散瞳管理、炎症管理、視能訓練)まで含めた“パッケージ”として説明すると同意形成が滑らかです。なお、海外の症例報告紹介でも、両側性先天性PPMが偶発的に発見され保存的管理の重要性が述べられており、全例が手術に向かうわけではない点をチームで共有しておくと過剰医療を避けられます。

意外に見落とされがちなのは、PPMの存在が「散瞳しても瞳孔が開きにくい」印象を与え、眼底検査が不十分になりやすいことです。弱視疑いの乳幼児では、前眼部所見に引きずられず、必要なら専門施設での精密屈折・眼底評価につなげる方針が安全です。PPM自体は前眼部の“名残”ですが、診療の焦点は常に「視機能を守るために今なにをするか」に置きます。

瞳孔膜の鑑別と白色瞳孔

PPMの鑑別で特に重要なのは、白色瞳孔(白瞳)を呈する疾患群と、炎症性の癒着・術後変化です。白色瞳孔は写真のフラッシュで気づくことも多く、網膜芽細胞腫、先天白内障、PFV(第一次硝子体過形成遺残)、未熟児網膜症など多岐にわたります。JAPO(日本小児眼科学会関連の情報サイト)のPFV解説では、硝子体や胎児血管が消えずに残存することで白色瞳孔となりうること、前部型・後部型・混合型などに分類され、合併症(白内障、緑内障など)にも注意が必要と説明されています。つまり「胎児血管が残る」という点ではPPMとPFVは“親戚”のように見えますが、病変部位と予後は大きく異なるため、ここを丁寧に切り分けます。

鑑別の実務ポイントを箇条書きにすると次の通りです。

・PPM:瞳孔領に索状/網目状、角膜や水晶体の混濁が主所見になりにくい(重症例を除く)

・PFV:小眼球、小角膜、白内障、牽引所見などを伴い、白色瞳孔の原因になりやすい

・虹彩後癒着:炎症の既往、前房炎症、瞳孔不整、散瞳不良が手がかり

・白内障:赤色反射の低下、レンズ混濁の確認が決め手

この鑑別で“意外な落とし穴”は、PPMを見た安心感から白色瞳孔の精査が遅れることです。特に小児では病歴が取りにくく、進行性疾患の時間価値が高いので、「白色瞳孔っぽい所見が少しでもあればPPM単独と決め打ちしない」をチームの合言葉にすると事故が減ります。千葉大学病院の注意喚起のように、白い反射に気づいたら早期受診という啓発は、医療側のトリアージ判断とも相性が良いです。

参考:白色瞳孔の原因にもなるPFVの症状・分類・合併症の要点がまとまっています

日本小児眼科学会 | 子どもの眼の疾患に関する医療と学問の発展を目的とする日本小児眼科学会
子どもの眼の疾患に関する医療と学問の発展を目的とする日本小児眼科学会

瞳孔膜の医療安全と説明(独自視点)

PPMは「所見としては珍しくないが、説明でつまずくと不信につながりやすい」タイプのテーマです。独自視点として、医療安全・コミュニケーションの観点からの実装ポイントを掘り下げます。まず、患者家族が怖がるのは“膜がある”こと自体より、「それは腫瘍ですか?失明しますか?手術ですか?」という不確実性です。したがって説明は、①出生前の名残である、②多くは視力に影響しない、③ただし視軸遮蔽や弱視が疑われる場合は追加検査・治療が必要、の順で“安心→条件付き注意”の構造にすると理解が安定します。

次に、医療者側の安全策として「写真・動画での経時比較」を積極的に組み込みます。PPMは形態が多様で、文章だけの記載では次回の医師や視能訓練士に所見のニュアンスが伝わりにくいことがあります。細隙灯写真(可能なら散瞳前後)を残しておくと、視軸遮蔽の評価、手術検討時の合意形成、弱視治療のモチベーション維持に役立ちます。視能訓練士領域で“ワンショット”が重視されるのは、まさにこの可視化がチーム医療の共通言語になるからです。

さらに、同意説明の“意外な盲点”として、PPMと炎症性癒着(虹彩後癒着)を同じ「癒着」という言葉で説明してしまう問題があります。炎症性癒着の治療では散瞳薬の結膜下注射で癒着を外す方法が紹介されており、時間が経つと外しにくいといった文脈が一般向け記事にも出ています。これをそのままPPMに当てはめると、「急がないと手遅れ」と誤解を招きやすく、不要な不安や不要な受診集中の原因になります。説明では、炎症による癒着とは別物であること、急ぎ度は“視機能リスク”で決まることを明確に切り分けるのが安全です。

最後に、院内フローとしては次のテンプレ運用が現実的です。

・初回:赤色反射、前眼部、屈折(可能なら)、眼位/固視のざっくり評価

・リスクあり:小児眼科へ紹介または精査予約(屈折・眼底・必要なら画像)

・経過観察:写真記録+弱視兆候(固視の偏り、不同視、遮蔽試験の反応など)のチェック項目を固定化

こうした“説明の設計”と“記録の設計”は検索上位記事では薄くなりがちですが、医療現場では再現性の高い診療のために重要な論点です。PPMは小さな所見でも、診療体験全体の品質を左右することがあります。


メディケン(MEDIKEN) ペン ライト ペン型ライト【メディケン新傑作】ノック式ボタン 暖色光/白色光2つの発光色 Type-C充電式 急速充電 長時間点灯 小型・最軽量 瞳孔計付&クリップ付き 収納ケース付き検査用 夜勤用 瞳孔用 口腔内を見る用 眼・耳・鼻・咽喉・歯科検査などに適用 (ブラック)