デルトピカ軟膏とは クロベタゾール外用剤

デルトピカ軟膏の基本情報
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主成分と強度分類

クロベタゾールプロピオン酸エステルを含有し、Strongest(最強)ランクのステロイド外用剤

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剤型の種類

軟膏剤と頭部用ローション剤の2種類、いずれも0.05%濃度で販売

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製造販売元

岩城製薬が製造販売、後発医薬品として位置づけられ2004年より販売開始

デルトピカ軟膏とはステロイド外用剤

デルトピカ軟膏の定義と医学的位置づけ

 

デルトピカ軟膏は、クロベタゾールプロピオン酸エステルを主成分とする最強力の副腎皮質ホルモン外用剤です。1970年代後半に開発されたこの有効成分は、医薬品インタビューフォームにおいて「Strongest」に分類される最上位のステロイド強度を保持しています。軟膏剤とローション剤の2つの剤型が存在し、軟膏は全身の皮膚疾患に対応し、ローション剤は主として頭部皮膚疾患の治療に用いられます。

白色ワセリンを主体とした液滴分散型の油性軟膏剤として処方されるデルトピカは、皮膚への浸透性に優れた特性を備えています。名称の由来は「Dermatology(皮膚科学)」と「Topical(局所の、外用の)」を組み合わせたもので、その用途が明確に示されています。後発医薬品の位置づけながら、先発医薬品であるデルモベート軟膏と同等の臨床効果が確認されており、薬価基準收載から現在まで医療現場で信頼されている医薬品です。

本剤の局所抗炎症効果の強度は複数の同等性試験により客観的に確認されています。皮膚毛細血管収縮反応試験では、健康成人男子28名を対象に行われた試験において、デルトピカ軟膏が標準製剤と同等の血管収縮作用を示すことが実証されました。この試験成績により、剤形の異なる複数の製品について生物学的同等性が確認されています。

デルトピカ軟膏の作用メカニズム

デルトピカ軟膏の治療効果は、クロベタゾールプロピオン酸エステル副腎皮質ホルモン様作用に基づいています。その作用は主に2つのメカニズムに分類されます。第一に、強力な抗炎症作用であり、これは炎症を起こす物質の産生を抑制することで実現されます。第二に、免疫抑制作用であり、これにより異常な免疫反応による皮膚症状が緩和されます。

炎症部位に塗布されたクロベタゾールプロピオン酸エステルは、その部位の血管を収縮させることで、かゆみや赤みなどの炎症症状を直接的に軽減します。この血管収縮作用は、ステロイド外用剤の臨床効果を客観的に評価する重要な指標となります。30分以内に表皮層へと取り込まれ、5時間で定常状態に達し、その状態が24時間まで維持されるという薬物動態特性により、1日1回から数回の塗布で効果が期待できます。

重要な点として、この作用機序は非選択的であり、炎症を起こしている部位だけでなく、正常な皮膚組織にも作用することが知られています。そのため、適応症以外の部位への使用や長期連用による弊害に注意が必要です。抗体産生能力の抑制作用も併せ持つため、医学的に正当な理由がない限り長期使用は避けるべきとされています。

デルトピカ軟膏の主な効能と適応症

デルトピカ軟膏の効能・効果は医学的に広範囲の皮膚疾患をカバーしています。まず湿疹・皮膚炎群が挙げられ、進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、日光皮膚炎などの特殊な形態を含みます。痒疹群(じん麻疹様苔癬、ストロフルス、固定じん麻疹を含む)も重要な適応症です。その他、掌蹠膿疱症乾癬、虫刺され、薬疹・中毒疹、ジベルばら色粃糠疹など、皮膚科領域の多くの疾患が対象となります。

より重篤な皮膚疾患としては、慢性円板状エリテマトーデス、扁平紅色苔癬、紅皮症、肥厚性瘢痕ケロイド、肉芽腫症(サルコイドーシス環状肉芽腫を含む)、アミロイド苔癬が挙げられます。さらに自己免疫疾患である天疱瘡群、類天疱瘡(ジューリング疱疹状皮膚炎を含む)の治療にも用いられます。血液腫瘍由来の皮膚病変である悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)や、難治性脱毛症である円形脱毛症(悪性を含む)も適応症に含まれています。

ローション剤の場合は、主として頭部皮膚疾患に限定されており、湿疹・皮膚炎群と乾癬が主な適応症となります。頭皮という特殊な解剖学的部位の特性に配慮した剤型設計がなされています。強度の高い外用ステロイドであることから、適応症の適切な診断と症状の重篤度の判断が臨床使用において最も重要です。

デルトピカ軟膏の用法・用量と正確な使用方法

デルトピカ軟膏の基本的な用法は、通常1日1回から数回、適量を患部に塗布することとされています。症状の程度により適宜増減するものとされ、個別の患者状態に応じた柔軟な投与設計が認められています。臨床実際には、症状が急激に悪化した場合は1日2回(朝および入浴後)の塗布が行われ、症状が落ち着いてきた段階で1日1回への減量が行われるパターンが一般的です。

医療従事者および患者への重要な指導事項として、チューブから直接患部に塗布することは避けるべきであり、よく洗った清潔な指に薬剤を取ってから患部に塗布することが推奨されています。これは製剤の汚染を防ぎ、衛生管理の観点から必須の手技です。塗布時には擦り込まず、やさしく伸ばすことが強調されています。

塗布部位の準備も同様に重要です。清潔な皮膚への塗布が基本とされ、最適な時期は入浴後で、かつ皮膚のほてりが冷めた段階での塗布が推奨されています。皮膚が汚れた状態では薬効が十分に発揮されないため、必要に応じて清潔なタオルで軽く水分を拭き取った後、塗布する手順が医学的に支持されています。1チューブが5gであることを鑑みて、症状改善後は速やかにより緩和なステロイド外用剤への切り替えが重要な臨床原則です。

デルトピカ軟膏使用時の重大な注意事項と副作用管理

デルトピカ軟膏の使用に際しては、複数の禁忌事項が厳格に定められています。細菌、真菌、スピロヘータ、ウイルス皮膚感染症、および疥癬やけじらみなどの動物性皮膚疾患は禁忌です。これは副腎皮質ステロイドの免疫抑制作用により感染症が悪化する危険性があるためです。本剤の成分に対する過敏症の既往歴も禁忌であり、鼓膜穿孔のある湿疹性外耳道炎も使用禁止です。

潰瘍(ベーチェット病除外)、第2度以上の深在性熱傷・凍傷も禁忌とされています。これらの状態では、ステロイド剤の血管新生および肉芽増殖抑制作用により、皮膚の再生が著しく障害され、治癒が極度に遅延するリスクがあるからです。ベーチェット病が例外とされるのは、この疾患の治療においてステロイドの使用が必要不可欠であるという臨床的判断に基づいています。

重大な副作用として、眼圧亢進、緑内障白内障が報告されています。特に眼瞼皮膚への使用、大量または長期にわたる広範囲使用、密封法(ODT)の適用により、これらの眼合併症の発症リスクが有意に上昇します。長期連用により発生する皮膚症状には、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張、紫斑)、色素脱失、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎、多毛などが挙げられます。

特に顔面、頸部、陰部、間擦部位(腋窩など)への使用は局所副作用が発現しやすいため、適応症と症状の程度を厳密に検討した上で慎重に行う必要があります。皮膚感染症(カンジダ症、白癬、伝染性膿痂疹毛嚢炎などの細菌感染症、ウイルス感染症)の発症も報告されており、密封法適用時に特に高い頻度で起こりやすいとされています。全身性の副腎皮質ステロイド作用として、大量または長期広範囲使用により下垂体・副腎皮質機能の抑制が生じ、治療中止時に急性副腎皮質機能不全に陥る危険性が存在するため、投与中止時は患者状態を慎重に観察しながら徐々に減量することが必須です。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)- デルトピカ軟膏添付文書最新版確認先

参考:医療用医薬品の安全性情報、添付文書改訂情報の公式情報提供ホームページです。処方医師および薬剤師は定期的にこのサイトで最新の安全情報を確認することが推奨されています。

実施から記事作成します。


【指定第2類医薬品】フルコートf 10g