ダロルタミド添付文書の用法用量・副作用・相互作用を完全解説

ダロルタミド添付文書の重要情報

ロスバスタチンとの併用でAUCが5倍に跳ね上がります

この記事の3つのポイント
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用法用量の基本

1回600mgを1日2回、食後投与が原則。食事により血中濃度が2.5~2.8倍に増加するため空腹時投与は避ける

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重大な相互作用

BCRP・OATP1B1・OATP1B3基質薬との併用で血中濃度が大幅上昇。特にロスバスタチンは5倍に増加し副作用リスクが高まる

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副作用モニタリング

心臓障害(1.1%)に注意。投与前・投与中に心電図等で心機能を定期確認することが添付文書で求められている

ダロルタミド添付文書の基本情報と適応

ダロルタミド(商品名:ニュベクオ錠300mg)は、前立腺癌治療剤として2020年5月に日本で承認された薬剤です。

添付文書に記載された適応症は2つあります。

参考)医療用医薬品 : ニュベクオ (ニュベクオ錠300mg)

1つ目は遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌、2つ目は遠隔転移を有する前立腺癌です。薬効分類番号は4291で、アンドロゲン受容体拮抗薬に分類されます。

劇薬および処方箋医薬品に指定されており、医師の処方箋が必要です。1錠あたりダロルタミド300mgを含有し、薬価は2053.9円/錠となっています。

添付文書では、がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで使用することが明記されています。

つまり専門医による処方が前提です。

ダロルタミドの用法用量と食事の影響

添付文書に記載された標準用法は、1回600mgを1日2回、食後に経口投与です。これは遠隔転移の有無にかかわらず共通の用量設定となっています。

食事の影響は非常に重要です。遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌患者6例での検討では、食後投与時のAUCとCmaxが空腹時と比較してそれぞれ2.5倍および2.8倍に増加しました。

食後投与が必須ということですね。

グレード3以上または忍容できない副作用が出現した場合、回復するまで休薬し、回復後は1回300mg1日2回に減量した用量での再開を考慮します。患者の状態により通常用量に増量することも可能です。

外科的または内科的去勢術との併用が前提であり、これらと併用しない場合の有効性・安全性は確立していません。アンドロゲン除去療法(ADT)との併用が基本です。

血漿中濃度は投与2~5日後に定常状態に達し、投与7日目における蓄積率は2.34でした。反復投与により一定の血中濃度が維持されます。

ダロルタミド添付文書に記載された重大な副作用

添付文書の重大な副作用の項では、心臓障害(発現頻度1.1%)が最も重要な副作用として記載されています。不整脈等の心臓障害があらわれることがあります。

投与開始前および投与中は適宜心機能検査(心電図等)を行うことが添付文書で求められています。

定期的なモニタリングが必須です。

間質性肺疾患の報告もあり、本剤との関連性は明らかではないものの注意が必要です。初期症状として息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等の確認および胸部X線検査の実施が推奨されています。

その他の副作用で発現頻度5%以上のものは、疲労、ほてり、AST増加、ALT増加です。ARAMIS試験では疲労が7.1%、ほてりが3.8%に認められました。

厳しいところですね。

ARASENS試験(遠隔転移を有する前立腺癌)では、副作用発現率が52.3%と高く、疲労12.4%、ほてり8.0%、ALT増加7.4%、AST増加7.1%でした。ドセタキセル併用下での使用のため副作用発現率が高くなっています。

KEGG MEDICUSのニュベクオ添付文書情報

副作用の詳細な発現頻度と臨床試験データが記載されています

ダロルタミド添付文書の薬物相互作用リスク

添付文書の相互作用の項では、併用注意として2つの重要な薬物群が記載されています。併用禁忌に該当する薬剤は現時点で設定されていません。ubie+1

1つ目は強いCYP3A誘導薬(リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール等)です。健康成人15例での検討では、リファンピシン併用によりダロルタミドのAUCとCmaxがそれぞれ72%、52%減少しました。

本剤の有効性が減弱するおそれがあるため、CYP3A誘導作用のない薬剤または中程度以下のCYP3A誘導薬への代替を考慮することとされています。

痛いですね。

2つ目はBCRP、OATP1B1およびOATP1B3の基質となる薬剤(ロスバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン等)です。健康成人29例での検討では、ダロルタミド併用によりロスバスタチンのAUCとCmaxがいずれも5倍に増加しました。

これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し副作用の発現に十分注意することが求められます。特に脂質異常症治療中の患者では注意が必要です。

イトラコナゾール(強いCYP3A阻害薬)との併用では、ダロルタミドのAUCとCmaxがそれぞれ1.7倍、1.4倍に増加しました。一方でミダゾラム(CYP3Aの基質)との併用では、ミダゾラムのAUCとCmaxがそれぞれ29%、32%減少しています。

ダロルタミド添付文書における特殊患者への投与注意

重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者では、本剤は主に肝臓で代謝されて排泄されるため血漿中濃度を上昇させる可能性があります。なお重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施されていません。

中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害患者9例での検討では、ダロルタミドのAUCとCmaxが健康成人と比較してそれぞれ1.9倍、1.5倍に増加しました。

臨床試験データが限定的です。

重度(eGFR15~29mL/min/1.73㎡)の腎機能障害患者10例では、ダロルタミドのAUCとCmaxが健康成人と比較してそれぞれ2.5倍、1.6倍に増加しました。透析を受けている末期腎不全患者における薬物動態は検討されていません。

小児等を対象とした臨床試験は実施されていないため、小児への投与に関する安全性データはありません。前立腺癌治療薬であることから成人男性が対象です。

妊婦への投与については、本剤は男性のみに使用されるため添付文書には記載がありません。女性化乳房が副作用として2%未満に認められることが記載されています。

ダロルタミド添付文書の作用機序と薬効薬理

ダロルタミドは、アンドロゲン受容体(AR)のリガンド結合部位へのアンドロゲンの結合を競合的に阻害します。同時に転写因子であるARの核内移行を阻害し、標的遺伝子の転写を阻害することでARを介したシグナル伝達を遮断します。

前立腺癌の増殖には男性ホルモン(アンドロゲン)が関与しているため、ARシグナルの遮断によりアンドロゲン依存性腫瘍の増殖を抑制します。

メカニズムは明確です。

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in vitro試験では、ダロルタミドは主にCYP3A4によって酸化的に代謝され、主にケト-ダロルタミドが産生されます。また主にUGT1A9およびUGT1A1によってグルクロン酸抱合体に代謝されます。

ヒト前立腺癌由来VCaP細胞株を皮下移植後に去勢したヌードマウスにおいて、ダロルタミドは腫瘍増殖抑制作用を示しました。

非臨床試験で抗腫瘍効果が確認されています。

ファーマシスタのダロルタミド解説記事

作用機序と調剤・服薬指導のポイントについて薬剤師向けに詳しく解説されています

ダロルタミド添付文書の臨床試験成績

ARAMIS試験(国際共同Ⅲ相試験)は、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌患者1509例(日本人95例を含む)を対象に実施されました。主要評価項目の無転移生存期間(MFS)中央値は、ダロルタミド群で40.37ヵ月、プラセボ群で18.43ヵ月でした。

ハザード比は0.413(95%信頼区間:0.341~0.500、p値<0.000001)であり、ダロルタミド群のMFSはプラセボ群と比較して有意に延長しました。

これは使えそうです。

ARASENS試験(国際共同第Ⅲ相試験)は、遠隔転移を有する前立腺癌患者1305例(日本人148例を含む)を対象に、ADTおよびドセタキセル併用下で実施されました。主要評価項目の全生存期間(OS)中央値は、ダロルタミド群で未達、プラセボ群で48.9ヵ月でした。

ハザード比は0.675(95%信頼区間:0.568~0.801、p値<0.0001)であり、ダロルタミド群のOSはプラセボ群と比較して有意に延長しました。

生存期間の延長が証明されています。

両試験とも日本人患者が組み入れられており、日本人での有効性・安全性データが確認されています。

国内での使用実績が蓄積されつつあります。

PSA倍加時間が10ヵ月以下の患者が対象とされ、疾患の進行リスクが高い集団での有効性が示されました。

適応患者の選択が重要です。