妥結率と近畿厚生局報告の実務とリスク

妥結率と近畿厚生局報告の実務

妥結率と近畿厚生局報告の全体像
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妥結率制度の基本と背景

妥結率の定義と計算式、診療報酬減算との関係、対象医療機関の範囲を概観します。

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近畿厚生局への報告手順

報告対象期間・期限・様式、報告先部署、よくある質問への対応方法を整理します。

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妥結率改善と現場の工夫

妥結率を高める交渉・記録のポイントや、医薬品卸との関係構築のコツを具体例で紹介します。

妥結率 近畿厚生局で求められる定義と計算方法

妥結率は、当該医療機関や保険薬局が購入した医療用医薬品のうち、取引価格が妥結している医薬品の薬価総額を全購入額で割った割合として定義される。

具体的には、分子に「妥結済み医薬品の薬価総額」、分母に「当該期間に購入した全医療用医薬品の薬価総額」を置き、\(\text{妥結率} = \frac{\text{妥結済み薬価総額}}{\text{購入薬価総額}} \times 100\) という形で算出する。

近畿厚生局を含む各地方厚生(支)局では、報告年度の4月1日から9月30日までの取引実績を対象期間として妥結率を計算することが求められている。

参考)妥結率等に係る報告について

その結果として算出された妥結率が5割(50%)以下の場合、翌年度の一定期間において初診料・再診料・外来診療料や調剤基本料が減算される仕組みとなっており、報告漏れも同様に減算対象となる点が重要である。

参考)妥結率等に係る報告

妥結率の計算では、規格単位数量に薬価を乗じた金額を積み上げるため、数量入力の誤りや薬価改定時期の取り扱いなど、事務的なミスが医療機関に不利な結果を招きやすい。

参考)https://www.city.sakai.lg.jp/kenko/iryokusuri/iryo/kunikara/kunikarah25/h2603.files/sodanmadogutitutibetten1.pdf

特に本部集中購買を行っているグループの場合、本部調達分も含めた実績に基づいて妥結率を算出する必要があり、「本部では妥結していたが現場で把握していなかった」というケースが実務上の落とし穴になりやすい。

参考)https://ajhc.or.jp/siryo/20141003.pdf

妥結率 近畿厚生局報告対象と様式・期限のポイント

近畿厚生局における妥結率等の報告対象は、許可病床数が200床以上の病院および一定規模以上の保険薬局(同一グループ内の処方箋受付回数の合計が1か月3万5千回超と判断される保険薬局など)とされている。

一方で、報告年度の4月2日以降に新規指定された保険医療機関・保険薬局については、その年度の妥結率報告は不要と明記されており、指定日を確認したうえで対象かどうかを判断することが求められる。

近畿厚生局では、報告年度の4月1日から9月30日までの実績を、毎年10月1日から11月30日(11月30日が土日祝日の場合は前開庁日)までに提出するよう定めている。

報告書は原則として郵送提出となっており、病院用の「妥結率等に係る報告書(様式2の4)」や保険薬局向けの様式が公式サイトでPDF提供されているため、最新版を必ずダウンロードして使用する必要がある。

参考)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/iryo_shido/documents/yoshiki_yakkyoku_daketsu.pdf

保険薬局では、契約書の写しなど妥結率の根拠となる資料の添付が求められる場合があり、特に大規模チェーン薬局や高頻度で処方箋を受け付けるグループではこの添付要件が強調されている。

参考)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/iryo_shido/85.pdf

一方、それ以外の保険薬局では資料添付が不要なケースも記載されているため、自局が該当するかどうかをあらかじめ近畿厚生局の通知文・様式の注意書きで確認しておくことが、事務負担の軽減につながる。

近畿厚生局の妥結率関連ページでは、報告要領だけでなく、過去の改定通知やQ&Aがまとめられているため、疑義が生じた際に一次情報として参照する価値が高い。

参考)近畿厚生局公式ホームページ

特に、遡及指定や増床により200床以上となった病院の扱い、組織変更や移転を行った医療機関の報告の仕方など、現場では判断に迷いやすい特殊ケースについても、別紙・Q&A資料で具体的な記載が見られる。

近畿厚生局「妥結率等に係る報告について」公式解説と様式一式(対象・期間・添付資料の詳細を確認する際に有用)

近畿厚生局:妥結率等に係る報告について

妥結率 近畿厚生局と診療報酬・調剤基本料減算の関係

妥結率が50%以下、または報告が行われていない場合、病院・診療所では「特定妥結率初診料」「特定妥結率再診料」「特定妥結率外来診療料」による算定が必要となり、所定点数より低い点数で算定することになる。

たとえば、日本医業経営コンサルタント協会の解説では、通常282点の初診料が、妥結率が低い場合には209点に減算される例が紹介されており、医業収入への影響が決して小さくないことがわかる。

保険薬局の場合、調剤基本料(たとえば41点)が、妥結率50%以下では31点に減算されるケースが示されており、調剤基本料減算が1年間続くとチェーン薬局では数百万円規模の影響が出る試算も報告されている。

参考)https://medical-sv.com/pharmacy/report/daketsuritu-houkokusho/

この減算は、妥結率が基準を上回った翌月から自動的に元に戻るわけではなく、指定された期間(一般に11月1日から翌年10月31日または12月から翌年11月末など、地域局の運用に基づく期間)で固定されるため、短期的に妥結率を改善しても即座に収益回復につながらない点が特徴である。

近畿厚生局を含めた各局の通知では、「妥結率が低い保険医療機関・保険薬局」は、妥結率の実績が50%以下の施設と定義されており、妥結率が低い状態のまま初診・調剤を行った場合は、特定妥結率点数を算定するよう明記されている。

参考)https://www.hospital.or.jp/site/news/file/4574256899.pdf

そのため、会計処理上はもちろん、レセプト電算システムでの設定変更や算定区分の切り替えが漏れないように、妥結率報告と同時に診療報酬システム担当者への情報共有フローを整備しておくことが実務的に不可欠となる。

日本医業経営コンサルタント協会による妥結率と診療報酬減算の解説(点数影響や全国平均妥結率の概要を確認する際に参考になる)

妥結率 – 日本医業経営コンサルタント協会

妥結率 近畿厚生局視点での実務対策と医療機関・薬局の工夫

妥結率を安定して50%超に保つためには、「妥結の有無」を価格交渉の場だけでなく、伝票・システム上でも確実に記録するしくみづくりが重要となる。

具体的には、卸からの納品書・請求書に妥結済みであることが明示されているかを確認し、薬剤部門や医事課が妥結フラグを入力できるようなマスタ管理を行うことで、報告時の集計作業を大幅に効率化できる。

意外と見落とされがちな工夫として、「単価が高く、数量も多い高額薬・バイオ医薬品の妥結状況を重点的にモニタリングする」という方法がある。

妥結率は薬価総額ベースで算出されるため、全体の妥結率を押し上げるインパクトが大きい高額品を優先して妥結させることで、限られた交渉リソースでも効率的に妥結率を改善しやすい。

また、近畿厚生局では、妥結率報告にあたって契約書の写しなど「妥結率の根拠となる資料」の添付が求められる場合があるため、院内・薬局内で契約書の保管場所や更新履歴を一本化しておくことが、事後照会への備えとして有効である。

特にグループ病院やチェーン薬局では、本部と各拠点で契約書の保管場所が分散していることが多く、監査時に即座に提示できないリスクがあるため、「妥結率関連契約書フォルダ」を電子的に整理しておくとよい。

独自の視点として、「妥結率を薬剤調達のパフォーマンス指標」として活用し、単なる規制対応だけでなく、医薬品コスト管理のKPIに組み込む医療機関も増えつつある。

参考)妥結率 – 公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会

例えば、DPC病院などでは薬剤費削減が収支改善の鍵となることが多く、妥結率の推移を部門別・診療科別に可視化することで、交渉力の強い卸や価格改善余地のある薬剤群を見極める試みが報告されている。

妥結率 近畿厚生局だけでなく全国動向と研究・ガイドラインを踏まえた意義

厚生労働省の公表資料によると、ある年度の妥結率は、病院総計で約88.9%(200床以上では約93.9%)、診療所で約80.4%、調剤薬局では20店舗以上のチェーン薬局が約96.7%とされ、総合計では約92.6%に達している。

この数字から、多くの医療機関・薬局が妥結率の確保に成功している一方で、一定数の施設が基準未達となり減算を受けている現実が読み取れ、地域や規模による格差の存在も指摘されている。

地方厚生局の通知や日本病院会・医療経済関連の資料では、妥結率制度が「薬価改定の実勢価格反映」と「医薬品流通の透明化」を促す政策的役割を持つことが繰り返し強調されている。

制度導入当初は事務負担への懸念も大きかったが、その後の運用を通じて、医療機関側にも「自院の購買力や価格交渉力を客観的に把握できる」というメリットがあることが徐々に共有されてきている。

学術的にも、医療機関の医薬品調達や価格交渉が医療費全体に与える影響を分析した研究が散見され、妥結率に類する指標を用いて病院の経営効率や薬剤費の適正化を評価する試みが報告されている(例:医療経済学系雑誌におけるDPC病院の薬剤費分析など)。

これらの研究は、妥結率を単に「減算リスクを回避するための数値」ではなく、「医療資源を有効活用するための指標」として位置づける視点を提供しており、近畿厚生局への報告実務にも長期的な戦略性をもたらす。

厚生労働省や各地方厚生局の妥結率関連通知・Q&A(制度趣旨や全国の共通ルールを確認する際に有用)

関東信越厚生局:妥結率等に係る報告

妥結率 近畿厚生局に対応するための現場チェックリストとチーム運用

妥結率と近畿厚生局報告に確実に対応するためには、医事課・薬剤部・経理部・本部(法人本部)などの関係部署が役割を明確にし、年次スケジュールを共有しておくことが重要である。

具体的には、「4〜9月の対象期間開始前に前年の課題を振り返る」「9月末時点で概算妥結率を試算する」「10〜11月に本計算と報告書作成・決裁を行う」といったタイムラインを院内ルールとして文書化しておくと、担当者変更時の引き継ぎもスムーズになる。

現場で使いやすいチェックリストには、次のような項目を含めると実務上有用である。

  • 対象施設要件(200床以上・処方箋受付回数など)の確認
  • 本部購買分を含む購入データの抽出方法と責任者の特定
  • 卸ごとの妥結済みフラグと契約書の所在確認
  • 試算妥結率が50%を下回る可能性がある場合の早期アラート方法
  • レセプトシステムへの特定妥結率点数設定の確認とテスト

意外なポイントとして、妥結率報告を「薬剤部門だけの仕事」にしないことが、結果的に業務負担の軽減につながるケースが多い。

たとえば、経理部が日常的に行っている支払データの照合や、情報システム部門が管理するマスタ情報を妥結率集計にも活用することで、二重入力や独自集計を減らし、担当者の属人化を防ぐことができる。

さらに、近畿厚生局や他地域局の公開資料を用いて、他院・他薬局の運用事例を学ぶ場を設けることも有効である。

例えば、院内の医療安全・経営改善委員会などで「妥結率と医薬品調達」をテーマにミニ勉強会を開き、最新の通知や解説記事、学会発表などを共有することで、管理部門だけでなく医師・看護師を含む多職種の理解を深めることができる。