ダブルルーメン透析カテーテル感染管理手順合併症

ダブルルーメン透析カテーテル管理

ダブルルーメン透析カテーテル:現場で押さえる要点
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感染管理は「出口部」と「接続部」

カテーテルは中心静脈と直結するため、出口部・回路接続部の清潔操作が予後を左右します。

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閉塞の背景に血栓とフィブリン

脱血不良は血栓だけでなくフィブリンシースでも起こり、ロックや評価の組み立てが重要です。

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先端位置と固定がトラブルを減らす

留置後の先端位置確認と、抜けかけの早期発見(長さ測定など)が事故予防につながります。

ダブルルーメン透析カテーテル適応

ダブルルーメン透析カテーテルは、内シャント・人工血管が作れない、もしくは維持が難しい患者で透析を成立させるための重要なブラッドアクセスです。特に高齢化や糖尿病性腎症増加などの背景で、血管荒廃やADL低下を伴い、長期留置カテーテル(カフ型)を含めたカテーテル透析の選択が増えていると報告されています。[]

一方で「心負荷がゼロ」「穿刺痛がゼロ」「透析中に両上肢が自由」といったメリットは大きい反面、感染リスクへの注意が最重要になります。長期留置カテーテルでは、カテーテルと中心静脈が直接つながる状態が継続するため、日常生活(入浴など)を含めて感染対策を前提に運用する必要があります。[page:1]

医療者向けに適応を現場判断へ落とすと、次のような「導入理由」が多いです。

・緊急導入でAVF/AVGが間に合わない(短期留置:非カフ型を選ぶ局面)[page:1]

・高度の心機能低下でシャント負荷が問題となる(心負荷を避けたい)[page:1]

・穿刺困難(拘縮・認知機能低下・事故抜針リスクなど)で穿刺型VAの運用が破綻している[page:1]

ダブルルーメン透析カテーテル留置部位

長期留置カテーテル(カフ型)の典型は、内頸静脈から上大静脈を通り、右心房付近へ先端を置き、体表へは皮下トンネルを作って前胸部に出口部を作成します。これにより固定性と感染防御(カフ)を両立させる設計になっています。[page:2]

実際の運用では、留置後に「頚部の屈曲がないこと」「先端位置」を画像で記録・確認することが重要とされ、先端が右心房内で浮遊していることを透視で確認する手技が記載されています。屈曲は血栓性閉塞や脱血不良の温床になり得るため、留置直後のチェックがその後のトラブル率を下げます。[page:1]

また、長期留置カテーテルでは“カフ”の位置関係(出口部から近すぎる/静脈側に寄りすぎる)が、カフ感染や対応遅れのリスクに関わる点が見落とされがちです。カフが短すぎると癒着固定が弱く、位置移動や引き抜け事故につながる可能性も示されています。[page:1]

出口部トラブルを減らす観点では、施設内で「抜けかけ」を数値で追う仕組みが有効です。たとえば、出口部から特定接続部までの長さを計測して記録し、変化があれば抜去傾向として疑う運用が具体的に提示されています。[page:2]

ダブルルーメン透析カテーテル感染管理

カテーテル管理の合併症の中心は、カテーテル感染(敗血症へ移行し得る)、出口部・トンネル感染、閉塞であり、特に感染は重篤化しやすいので厳重な管理が必要とされています。[page:1]

カテーテル感染の典型的な臨床像として「透析開始後30分〜1時間で悪寒戦慄を伴う38℃以上の急激な発熱→透析終了後に落ち着く」というパターンが示され、背景としてカテーテル内腔の感染バイオフィルム形成と、透析開始に伴う散布が説明されています。高齢者では反応が乏しく、発熱や白血球増多が明確でないこともあるため、バイタル変化の“型”に注目するのが実務的です。[page:1]

感染予防の実装は「接続・消毒・ドレッシング」の再現性で決まります。ガイドライン抜粋として、手指衛生、ガウン/エプロン、サージカルマスク、ゴーグル(またはフェイスシールド)、手袋の着用、さらに患者側操作と装置側操作を2名で行うことが望ましい点が挙げられています。[page:1]

出口部の管理では、貼付剤交換を“やりすぎない”という逆説も重要です。最低週1回の交換を基本とし、過度な交換は感染リスクを上げる可能性がある一方、汗や痒みなどで汚染が起きやすい季節は透析毎の交換が必要になる場合もある、と具体的に整理されています。[page:2]

出口部消毒薬については、クロルヘキシジングルコン酸エタノール液0.5%綿棒を使用する運用例が提示され、ポピドンヨードは着色で観察性が落ちる点が理由として挙げられています。[page:2]

参考:透析施設での標準的な透析操作と感染予防(カテーテル管理・PPE・接続手順の考え方)

日本透析医会雑誌:長期留置カテーテルの現状(感染・管理手順の要点)

ダブルルーメン透析カテーテル閉塞合併症

脱血不良・送血不良は、カテーテル内血栓だけでなく、カテーテルが血管内壁に埋没するケースや、カテーテル周囲をフィブリンが覆うフィブリンシースでも起こります。特に「先端内部に血栓が形成され側孔のみで脱送血が行われる」ときに起きやすい、という臨床感覚に近い説明がされています。[page:1]

対応としては、血栓性閉塞が疑われる場合にウロキナーゼを一定時間ロック(または持続注入)する、透視下でガイドワイヤーによる機械的除去を行う、などが挙げられていますが、効果が十分でないことも多く、繰り返して最終的に入れ替えに至るケースが多い点も率直に述べられています。[page:1]

日々の手順に落とすと、「透析前に充填液を吸引して閉塞の有無を確認」「透析後にヘパリンでカテーテル内を充填(ロック)」といった運用が基本線になります。さらに、具体的な施設手順として、開始時に充填液+血液を吸引して血栓の有無を確認し、ポンピングで脱血・返血状態を確認するプロセスが提示されています。[page:2]

終了時は、生食フラッシュ後にヘパリン1000単位/mLのシリンジで各ルーメンに2.5mLずつ充填し、勢いよく入れると再度血栓を生じる可能性があるため注入速度に注意する、という“現場で効く”注意点が書かれています。[page:2]

「閉鎖式プラグ(クローズドシステム)」も、接続部が開放されないことで微生物侵入リスクを減らす考え方として明示されています(交換頻度や接続回数上限など運用条件も含む)。[page:2]

ダブルルーメン透析カテーテル逆接続視点

脱血不良・静脈圧上昇が出た際、ポンピングで改善しない場合に「逆接続」を試す運用がQ&Aとして具体的に示されています。逆接続は“今この透析を成立させる”ための手段になり得ますが、効率面・感染面のトレードオフを理解しておく必要があります。[page:2]

逆接続が問題にするのは再循環で、逆接続により浄化された血液の一部が再び脱血され、透析効率が低下することが指摘されています。さらに、逆接続で再循環が高頻度に認められたという報告もあり、「便利だから常用」にならないよう、適応と期間を整理しておくのが安全です。[]

独自視点として、逆接続を“手技”ではなく“サイン”として扱うのが実務的です。逆接続が必要になった時点で、(1)先端位置ずれ・屈曲、(2)血栓/フィブリンシース、(3)血管壁へのへばりつき、(4)中心静脈狭窄の進行、など「原因が時間とともに悪化する病態」を疑う契機になります。長期留置で中心静脈狭窄は不可逆的・反復性のことが多く、一度起きると対処が難渋しやすい点も示されているため、逆接続が増えた患者は早めに画像評価や入れ替え検討へつなげた方が結果的に安全です。[page:1]

なお、脱血不良・静脈圧上昇に対して、医師判断のもと生食フラッシュやウロキナーゼ充填を行い、一定回数で評価する運用例も提示されています。ここまでを「いつ・誰が・何を・何回まで・改善しなければどうする」に落とし込むと、夜間や応援スタッフでも迷いにくい手順になります。[page:2]

参考:施設手順書の形で接続・離脱・出口部ケア・閉鎖式プラグ運用まで具体化

透析用カフ型カテーテル管理手順(接続・ロック・出口部消毒・逆接続の扱い)