C型慢性肝炎の症状と肝硬変進行の早期発見

C型慢性肝炎の症状

C型慢性肝炎で注意すべき主な症状
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倦怠感・疲労感

睡眠をとっても回復しない慢性的なだるさ、疲れやすさが特徴的な症状です

🍽️

食欲不振

特に脂っこいものに対する食欲低下や胃もたれが見られます

🔬

無症状の場合も

多くの患者さんでは自覚症状がなく、血液検査で初めて発見されることが多いです

C型慢性肝炎の初期症状と無症状期間

C型慢性肝炎は「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓の病気であり、多くの患者さんでは慢性肝炎の段階でほとんど自覚症状がありません。肝臓は非常に予備能力が高いため、ある程度のダメージを受けても正常に機能し続けることができるからです。

参考)C型肝炎


しかし、C型肝炎ウイルスに感染すると、全身の倦怠感(だるさ)や食欲不振といった風邪によく似た症状がみられることがあります。これらの症状は非特異的で軽微なため、「疲れているだけだろう」「寝不足かな」などと考えてしまい、C型肝炎の可能性を疑うことがほとんどありません。

参考)C型肝炎の症状とは?気づきにくい初期サインと肝臓への影響 href=”https://asitano.jp/article/11151″ target=”_blank”>https://asitano.jp/article/11151amp;…


実際には、全身倦怠感、食欲不振、疲労、腹部の漠然とした不快感を覚える人もおり、健康診断などで肝機能異常を指摘されて初めて病気に気づくというケースがほとんどです。C型肝炎ウイルスに感染していてもGOTやGPTが正常範囲内の場合もあるため、HCV抗体検査が重要になります。

参考)C型肝炎(慢性) – 04. 肝臓と胆嚢の病気 – MSDマ…

C型慢性肝炎の主な症状と特徴

C型慢性肝炎で現れる症状として最も多いのは倦怠感(だるさ)です。この倦怠感は、睡眠をとっても回復しない慢性的なだるさや、以前より疲れやすくなったと感じる特徴があります。

参考)https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/topics/157.html

慢性肝炎による主な症状には以下のようなものがあります:

これらの症状は、肝臓のエネルギー代謝機能が低下することで起こります。本来解毒されるはずの老廃物がろ過できなくなるため体内に残り、エネルギーとして代謝しきれなかった栄養は中性脂肪として蓄積されます。

参考)それ「肝機能低下」の症状かも!肝臓と疲れのつながりについて


オムロンヘルスケア – C型肝炎の三大症状の詳細

C型慢性肝炎から肝硬変への進行時の症状変化

C型慢性肝炎の患者さんの30-40%は、肝細胞の壊死と線維化が進んで約20年で肝硬変となります。多くの場合、最初の具体的な症状は肝硬変やその合併症によるものです。

参考)C型肝炎の治療が大きく変わりましたhref=”https://www.do-yukai.com/medical/121.html” target=”_blank”>https://www.do-yukai.com/medical/121.htmlamp;nbsp;

肝硬変に進行すると以下のような症状が現れます:

  • 脾臓の腫大​
  • 皮膚にみられる、小さなくものような形の血管(くも状血管腫)​
  • 手のひらの発赤​
  • 腹部への体液の貯留(腹水)​
  • 出血傾向(血液凝固障害)​
  • 食道静脈瘤による消化管出血​
  • 黄疸(皮膚や白眼部分が黄色に変色すること)​
  • 肝性脳症(肝臓の機能不全に起因する脳の機能の低下)​

肝硬変の段階では、肝臓の機能がある程度保たれていても、食欲の低下、だるさや疲労感がみられることがあります。C型慢性肝炎より肝がんへ進行するリスクが一層高まるため、早期発見が重要です。

参考)https://gyoda-hp.or.jp/wp/wp-content/uploads/2023/09/dcb580e1a35249a685c29bf694072b80.pdf

C型慢性肝炎の診断に必要な検査

C型慢性肝炎は、全く症状が無いことが多いため、診断は血液検査によって行います。診断には2つのステップがあります。

参考)http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/kanen/kensyu/05_haihu/2_Ckanen.pdf

検査のステップ1: HCV抗体検査

C型肝炎ウイルス(HCV)の感染によってつくられた抗体が血液中にあるかを調べます。陽性(抗体がある)の場合は過去に感染していたか、あるいは現在C型肝炎ウイルスに感染していることを示します。

参考)検査と診断について

検査のステップ2: HCV-RNA検査

ステップ1で感染経験が認められた人に対して行う検査で、現在C型肝炎ウイルスが血液中にいるかを調べます。C型肝炎ウイルスの遺伝子を調べ、現在C型肝炎ウイルスに感染しているか判断します。​
持続する肝機能異常がある場合、C型慢性肝炎を疑い、HCV抗体検査を行います。HCV抗体検査で陽性であれば、治療方針決定のために、ウイルス量・HCV遺伝子型を判定するHCV RNA検査を実施します。​
C型肝炎サポートネット – 検査と診断の流れ

C型慢性肝炎の治療法と症状改善効果

C型肝炎の治療法は近年飛躍的に進歩し、DAA(直接作用型抗ウイルス剤)と呼ばれる飲み薬が開発され、インターフェロンを使用せずにウイルス排除を目指す「インターフェロンフリー治療」が登場しました。

参考)そのほかの治療方法


DAAは、C型肝炎ウイルスの複製に直接阻害してウイルスの複製を強力に抑制する薬です。飲み薬なので、より簡便に治療でき、IFNフリーDAA治療では95%以上の患者さんで持続的ウイルス陰性化(SVR)が達成されています。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8562094/


治療前と治療後の自覚症状を比較すると、飲み薬でウイルスを排除することで、全身の倦怠感(だるさ)や食欲不振といった症状を改善できることが明らかになりました。「だるさが取れた」という患者さんが多くなって、肝臓と自覚症状には関わりがあることがわかってきました。​

DAA治療中には以下の点に注意が必要です:

  • 薬の飲み忘れが続くと血液中の薬の濃度が低下し、C型肝炎ウイルスが再び増える危険性があります​
  • 他の疾患で使用している薬や健康食品が、C型肝炎の薬の効果に影響を与える場合があります​
  • 手足のむくみや肝機能異常(ALT(GPT)の上昇)がみられることがあります​

C型肝炎サポートネット – インターフェロンフリー治療の詳細

C型慢性肝炎患者における疲労のメカニズム

肝疾患における疲労は、患者さんの生活の質に大きな影響を与える最も一般的な症状です。しかし、疲労は肝臓の線維化や機能不全の重症度とは関連していないことが研究で明らかになっています。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8942008/


慢性C型肝炎における疲労のメカニズムには、中枢性の要因と末梢性の要因があります。中枢性の症状は、認知機能障害、睡眠障害、無気力、自律神経機能障害として特徴づけられ、末梢性の症状として筋力低下などが現れます。​
研究によると、慢性C型肝炎における疲労は、高濃度のレプチンと関連していることが示されています。また、肝臓はエネルギー生成のための基質の貯蔵、放出、生産の多くを調節する中心的な臓器であり、この機能の低下が疲労の原因となります。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1773339/


体にとって不要なものがどんどんたまっていくことに加え、エネルギーが作れなくなってしまうことで、体を動かすことがますますつらくなってしまいます。なかなか疲れが抜けないというときは、体の中で肝臓がSOSを出しているのかもしれません。​
C型肝炎は症状が出ないからといって病気が進行していないわけではありません。水面下で肝臓へのダメージは着実に蓄積されており、気づいた時には肝硬変や肝がんといった重篤な状態になっていることも少なくないため、過去に感染リスクがあった方は、症状の有無にかかわらず検査を受けることが強く推奨されています。​