中心性網膜症の症状と検査と治療

中心性網膜症の症状と検査と治療

中心性網膜症の臨床要点
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まず疑う症状

中心暗点・変視症・小視症が典型。視力低下が軽いケースでも「見え方の質の低下」を拾う。

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検査の柱

OCTで網膜下液、必要に応じて蛍光眼底造影で漏出点、OCT-Aで新生血管合併の評価。

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治療介入の判断

自然軽快もある一方、遷延・再発では視機能が残存障害になり得る。3か月の改善乏しさは一つの目安。


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中心性網膜症の症状と中心暗点と変視症

 

中心性網膜症(臨床では「中心性漿液性脈絡網膜症:CSC」と説明されることが多い)は、黄斑部に漿液性の網膜剥離(網膜下液)が生じ、見え方の質が落ちる疾患として遭遇します。中心暗点(中心が暗い/抜ける)、変視症(ゆがみ)、小視症(小さく見える)といった訴えが典型で、視力低下が軽度でも「文字が読みづらい」「中心だけピントが合わない」などの表現で来院することがあります。

医療者側で見落としやすいのは、「視力表ではそこそこ見えるのに困っている」層です。中心窩近傍の網膜下液がわずかでも、変視やコントラスト低下が生活障害につながるため、問診ではアムスラー相当の歪み・欠け・小ささの訴えを具体化して拾い上げます。

参考)https://www.mdpi.com/2077-0383/11/17/5139/pdf?version=1661946497

また、患者説明では「多くは自然に軽快するが、見にくさが残ることもある」「再発や長期化で視力低下もあり得る」という両面を最初に提示すると通院継続につながりやすいです。実際、網膜剥離が治れば症状は軽快しやすい一方、何らかの見にくさが残ることが多い、と日本眼科医会の一般向け解説でも触れられています。

中心性網膜症の検査とOCTと蛍光眼底造影

検査の主軸はOCTです。OCTで黄斑部の網膜下液(漿液性網膜剥離)を断層として捉え、初診時のベースラインと経過(減少・増加・再燃)を定量的に追えます。

蛍光眼底造影(フルオレセイン蛍光眼底造影:FA)は、「どこから漏れているか(漏出点)」を特定し、レーザー治療の適応や病態評価に関与します。クリニックレベルの解説でも、OCTに加えてFAで漏出点を探す意義が明記されています。kamimoto-ganka+1​

加えて近年は、CSCに“新生血管(パキコロイド新生血管など)”が合併していないかの判断が重要になり、OCT-A(光干渉断層血管撮影)の所見も合わせて診断する、という大学病院外来の運用が示されています。

鑑別が難しい場面(中高年で滲出が強い、出血や硬性白斑がある、経過が非典型など)では、CSC単独と決め打ちせず、「新生血管型加齢黄斑変性への移行・合併の可能性」を常に頭に置くことが実務上の安全策です。

参考)KAKEN &mdash; 研究課題をさがす

中心性網膜症の原因とストレスとステロイド

原因は完全には解明されていないものの、心理的ストレスとステロイド使用が発症・再発と関連する、という整理は臨床現場で共有されており、一般向け解説でも明確に言及されています。

生活背景としては、睡眠不足や過労、夜型の生活、交感神経優位を示唆するライフスタイルがリスク因子として語られることが多く、ストレス関連ホルモン(コルチゾール)の関与が示唆される、という臨床コラムも出ています。jiyugaoka-kiyosawa-eyeclinic+1​

ここで重要なのは、患者に「ストレスをなくしてください」と丸投げしないことです。医療従事者としては、(1) ステロイド薬(内服・外用・吸入を含む)の使用の有無、(2) 直近の睡眠・勤務形態、(3) 再発歴、をチェックリスト的に確認し、修正可能な因子(ステロイド調整の相談導線、睡眠の再設計)を提示した方が、再発予防の行動につながります。

参考)中心性漿液性網脈絡膜症に対して好ましくない生活習慣は?

意外性のあるポイントとして、「ステロイドは眼科以外の診療科で開始されている」ことが少なくありません。患者が“薬の種類”として認識していない場合もあるため、「飲み薬だけでなく、吸入、点鼻、皮膚の塗り薬も含めてステロイドはあります」という聞き方にすると聴取漏れが減ります(ステロイドが関連するという前提は権威サイトでも示されています)。

中心性網膜症の治療と光線力学療法と抗VEGF

治療介入のタイミングは、自然軽快を見込める急性期と、遷延・慢性化で不可逆変化のリスクが上がるフェーズの見極めです。大学病院外来の説明では、一般には網膜下液が出現してから約3か月自然軽快がない場合に治療介入を検討し、低強度光線力学的療法(PDT)が第一選択とされています。

同じページ内で、漏出点への直接網膜光凝固を選択することや、パキコロイド新生血管の程度によって抗VEGF(単独またはPDT併用)を考慮することが記載されています。

つまり「CSC=経過観察」だけではなく、画像で“どの病態か”を確定し、必要なら治療オプションを組み立てるのが現代的な整理です。

慢性CSCに対するPDTの有効性は国内論文でも示されており、低照射PDTで網膜下液(SRD)の消失が多くの眼で得られたこと、反応不良例への追加PDTや一部で抗VEGFが奏功したことが報告されています。

参考)日本眼科学会雑誌 Online Journal

また、大学病院の自施設データとして、PDTを行うことで網膜下液改善の確率が上がり、2年後の視力悪化リスクが低下する、という臨床的にインパクトのある指標も提示されています。

患者説明の工夫としては、次のように“選択理由”を明確化すると納得が得やすいです。

  • 🧭経過観察:初回・短期間で改善傾向、漏出が軽い、生活・薬剤調整で改善が見込める。
  • 💡PDT:遷延/慢性、再発反復、仕事上の視機能要求が高い、RPE変化が進みそうな所見。​
  • 💉抗VEGF:新生血管合併が疑われる/確認される場合、PDT単独で説明しにくい滲出など。​

中心性網膜症の予後と再発と通院設計(独自視点)

中心性網膜症は「予後良好」と説明されがちですが、長期経過で加齢黄斑変性様の病態になると考えられ、急性期を過ぎても経過観察が必要、という方針が大学病院の外来案内で明言されています。

さらに研究課題の公開情報でも、CSCが遷延し重篤な視力低下に至る例があること、加齢黄斑変性との関連や移行が示唆されることが述べられています。

ここから一歩踏み込んだ“独自視点”として、医療従事者が設計すべきなのは「通院の必然性を患者が自分の言葉で説明できる状態」です。再発を繰り返すと視力低下につながり得る、という一般向け説明がある一方で、症状が軽くなると自己中断が起きやすいのも事実です。

そのため、初診〜1回目の再診で以下をテンプレ化すると、臨床の抜けが減ります。

  • 🗓️フォローの目安:3か月で自然軽快が乏しければ治療検討、という“次の分岐点”を前もって共有する。
  • 📷画像の目的:OCTは「水(網膜下液)の増減」を追うため、OCT-Aは「新生血管合併を見落とさない」ため、と役割を言語化する。

    参考)中心性漿液性網脈絡膜症 – 武蔵小杉駅南口近く 小杉眼科【公…

  • 💊薬剤確認の継続:ステロイド使用は発症や再発と関連し得るため、他科処方も含めて毎回更新する。​

意外と有用なのが、「患者の見え方を“定量”で残す」運用です。視力だけでなく、変視の自覚(アムスラーの変化)や仕事で困る具体場面(PC作業・運転・細かい書類)をカルテに固定文で残すと、治療介入の判断や職場配慮の文書作成に直結します(視野の中心が暗い、ゆがむ、小さく見えるといった症状が出ること自体は公的解説に基づく重要事項です)。

検査・治療の理解を深める(大学病院の診断・治療方針、PDT第一選択、OCT-Aや抗VEGFの位置づけ)

京都大学 眼科:中心性漿液性脈絡網膜症外来

患者向け説明に使える(症状の具体例:中心暗点・変視症・小視症、長期化や再発で視力低下の可能性)

日本眼科医会:中心性漿液性脈絡網膜症

中心性漿液性脈絡網膜症