調剤報酬点数表 2024 調剤基本料と加算

調剤報酬点数表 2024

調剤報酬点数表 2024の見取り図
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まず全体構造を把握

調剤報酬点数表は「調剤技術料・薬学管理料・薬剤料」などの合算で成り立ちます。どこで点が付くかを“階層”で理解すると算定ミスが激減します。

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点数は“要件”で決まる

同じ業務でも、施設基準の届出・文書提供・情報提供の有無で点数が大きく変わります。点数だけ暗記すると危険です。

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独自視点:現場は“再現性”が命

高難度加算ほど、個人技ではなく手順化(チェックリスト化)で再現性を作ると、監査・返戻・指摘のリスクが下がります。

調剤報酬点数表 2024の調剤基本料と加算

 

調剤報酬点数表 2024では、調剤基本料が「調剤基本料1:45点」「調剤基本料2:29点」「調剤基本料3(イ:24点、ロ:19点、ハ:35点)」など区分別に定められています。

同じ処方箋受付でも、施設基準の届出区分により算定できる基本料が変わるため、「薬局の区分が何か」を管理者レベルで常に最新化することが最優先です。

また、地域支援体制加算(1:32点、2:40点、3:10点、4:32点)や連携強化加算(5点)などは、調剤基本料に上乗せされる設計で、取りこぼしは売上だけでなく“地域対応できていない薬局”という評価にも直結しやすい点が実務的な注意点です。

ここで意外に知られていない落とし穴が「同時受付」です。調剤報酬点数表 2024では、複数医療機関の処方箋を同時に受け付けた場合、2回目以降の調剤基本料は所定点数の80%で算定するルールが明記されています。

参考)https://www.nichiyaku.or.jp/files/co/pharmacy-info/2025/%E8%AA%BF%E5%89%A4%E5%A0%B1%E9%85%AC%E7%82%B9%E6%95%B0%E8%A1%A8%EF%BC%88R7.4.1%E6%96%BD%E8%A1%8C%EF%BC%89.pdf

さらに、特定の保険薬局では基本料が50%算定になる規定もあり、処方箋の集まり方(門前集中など)によっては“同じ忙しさでも点が付かない”状況が起こり得ます。

受付運用(同時受付の扱い、受付記録の整備、患者への説明)を曖昧にすると、算定の根拠が残らず、後日の修正が難しくなるため、電子薬歴・レセコンのログ設計まで含めて整備しておくのが安全です。

調剤報酬点数表 2024の薬剤調製料と夜間・休日等加算

調剤報酬点数表 2024の薬剤調製料は、内服薬(1剤につき24点)、屯服薬(21点)、注射薬(26点)、外用薬(1調剤につき10点)など、剤形・調剤単位で点数が定義されています。

内服薬は「服用時点が同一であるものは投与日数にかかわらず1剤として算定」「4剤分以上の部分は算定しない」とされ、処方設計や一包化の前提理解がないと点数感が狂いやすい領域です。

湯薬・浸煎薬・無菌製剤などは点数が大きく、たとえば無菌製剤処理加算は対象(中心静脈栄養法用輸液、抗悪性腫瘍剤、麻薬)と年齢(6歳未満で点数が高い)で点数が細かく規定されています。

夜間・休日等の評価も見落とされがちです。調剤報酬点数表 2024では、開局時間外(休日・深夜除く)・休日・深夜に調剤した場合の時間外加算等は所定点数の100%・140%・200%を加算する仕組みです。

加えて「夜間・休日等加算」として、一定時間帯に開局時間内で調剤した場合、処方箋受付1回につき40点を加算できる規定もあり、地域の患者導線(仕事帰り・休日受診)に合わせて“開局時間設計”を見直すと点数と満足度が同時に上がる可能性があります。

ただし、救急医療確保のために設けられている薬局など例外もあるため、該当条件を施設区分とセットで確認し、内部マニュアルに例外条件を明記しておくのが堅実です。

調剤報酬点数表 2024の調剤管理料と重複投薬・相互作用等防止加算

調剤報酬点数表 2024の薬学管理料では、調剤管理料が新しい管理の“土台”になっています。

内服薬(浸煎薬・湯薬・屯服を除く)の場合、投与日数で点数が変わり、7日分以下4点、8~14日分28点、15~28日分50点、29日分以上60点と段階的に設定されています。

この設計は、長期処方ほど薬学的フォロー(相互作用・重複・アドヒアランス・副作用モニタ)を厚くするという政策的意図が読み取れるため、“薬歴に何を書くか”の優先順位付けにも使えます。

また、調剤管理料には「重複投薬・相互作用等防止加算」があり、処方医へ照会して処方変更になった場合、残薬調整以外40点、残薬調整20点を加算する規定があります。

ここでのポイントは、単に電話して終わりではなく、薬剤服用歴等に基づく目的(重複・相互作用防止)と、変更結果(処方変更)を記録で説明できる形にすることです。

さらに、在宅領域では別建てで「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」が規定され、対象患者や算定できないケース(既算定との関係など)が細かいので、在宅を扱う薬局ほど“算定の競合関係”を一覧化しておくと事故が減ります。

調剤報酬点数表 2024の後発医薬品調剤体制加算と減算

調剤報酬点数表 2024では、後発医薬品調剤体制加算が3区分で設計され、加算1:21点、加算2:28点、加算3:30点とされています。

一方で、後発医薬品の調剤に関して一定条件の保険薬局では所定点数から5点を減算する規定があり、ただし「処方箋の受付回数が1月600回以下の保険薬局を除く」とされています。

つまり、規模・処方箋枚数・後発品割合の運用次第で、同じ“後発を頑張っているつもり”でも評価がプラスにもマイナスにも振れ得るのが、2024の実務的な難しさです。

意外な実務の盲点は、後発品の供給不安や出荷調整が続く局面で「後発品割合を上げたいが、安定供給を優先すると割合が下がる」というジレンマが起きる点です。厚労省は令和6年度診療報酬改定に関連して多数の通知・事務連絡・疑義解釈を発出しており、供給状況を踏まえた取り扱いは随時アップデートされ得ます。

そのため、薬局内では“後発の推進”をスローガンにせず、①代替提案の手順、②患者説明の定型文、③処方医への情報提供テンプレ、④記録の要件、をセットで整備しておく方が、結果的に加算維持と監査耐性の両方に効きます。

加算は経営要素に見えますが、現場では「薬が切れない」「患者の納得」「医師との合意形成」という医療安全そのものに直結するため、後発品の扱いは“数値管理+説明責任”の二刀流で運用するのが現実的です。

調剤報酬点数表 2024の独自視点:監査で強い薬歴とチェックリスト

調剤報酬点数表 2024は点数・要件が細かい一方、監査・返戻で問われるのは「その要件を満たしたことが記録から追えるか」です。

たとえば服薬管理指導料は、薬剤情報提供文書の提供、基本説明、薬歴に基づく指導、手帳記載、残薬確認、後発品情報提供など、実施事項が列挙されており、“どれを、どうやって実施したか”が曖昧だと弱くなります。

逆に言えば、現場の個々の文章力に依存せず、チェックリスト(✅薬剤情報提供文書、✅残薬確認、✅相互作用確認、✅手帳記載、✅処方医への情報提供の有無、など)で記録の抜けを塞ぐだけで、算定の再現性が上がり、引継ぎ・多忙時・新人教育にも効きます。

さらに“意外に効く”のが、点数表の条文レベルで根拠を持つ運用です。例として、分割調剤には「2回目以降は5点」「分割調剤時は薬学管理料を算定しない(例外あり)」など、算定できる/できないの条件が明確に書かれています。

ここを現場が言語化できていると、患者から「なんで今日は説明が短いの?」「なんで電話が来たの?」と聞かれた時に、制度上の理由と安全上の理由を結び付けて説明しやすくなります。

制度の文章を“暗記”する必要はありませんが、薬局内で頻出するパターン(分割調剤、後発、在宅、情報提供)だけは条文根拠を添えた手順書に落とし込むのが、2024改定の実務最適解になりやすいです。

有用:令和6年度の診療報酬改定に関する告示・通知・疑義解釈PDFの入口(調剤点数表、留意事項、施設基準、疑義解釈の更新が追える)

令和6年度診療報酬改定について

有用:別表第三「調剤報酬点数表」原文(調剤基本料・加算・薬剤調製料・薬学管理料など点数と注記の一次情報)

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001218733.pdf

調剤報酬点数表の解釈 令和2年4月版