調剤報酬改定 2025 10月
調剤報酬改定 2025 10月 医療DX推進体制整備加算の見直し
2025年10月(令和7年10月)以降の期中改定として、医療DX推進体制整備加算の見直し資料が公表されています。特に調剤(薬局)では「保険薬剤師が電子資格確認で取得した診療情報を閲覧又は活用し、調剤できる体制」を求める点が明示され、単なる端末設置の有無ではなく“活用できる運用”が問われます。
また加算1~3に関して、薬局側の電子処方箋の要件が強く打ち出されています。具体的には「電子処方箋を受け付け、当該電子処方箋により調剤する体制」を持つだけでなく、「紙の処方箋で調剤した場合を含め、原則として全てにつき調剤結果を速やかに電子処方箋管理サービスに登録すること」が施設基準として記載されています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001439601.pdf
さらに、掲示・ウェブサイトへの掲示、マイナポータルの医療情報等に基づく相談対応、そして(調剤)電磁的記録による調剤録と薬剤服用歴の管理体制など、“薬局業務そのもののデジタル実装度”に踏み込む要件も並びます。
このため、レセコン更新や回線増強といった「機器の話」だけでなく、業務手順書(SOP)・チェックリスト・監査ログの残し方まで含めて、10月までに再設計するのが安全です。
調剤報酬改定 2025 10月 オンライン資格確認と診療情報の活用
見直し資料では、(調剤)として「電子資格確認の仕組みを利用して取得した診療情報を閲覧又は活用し、調剤できる体制」を求めています。
ここで実務上の落とし穴になりやすいのが、「端末で見られる」ことと「調剤の判断に使った」ことの差です。
監査で説明可能な形にするには、少なくとも以下の“運用の証拠”を残す設計が現実的です。
・閲覧した情報の種類(例:薬剤情報、特定健診情報等)と閲覧タイミングを薬歴に記載するルールを統一する。
・疑義照会や用法用量の再確認につながった場合は、「閲覧情報→判断→介入内容」を短文で紐づけるテンプレートを用意する。
・新人・パートを含めて“誰がいつ見ても同じ品質”になるよう、受付~鑑査~服薬指導の動線に組み込む。
意外に知られていない実務論点として、オンライン資格確認で得られる情報が「その患者の全医療情報」ではない点です(見える範囲には制度上の制約があり、患者同意の扱いも絡みます)。
そのため、「見えない情報がある前提」で、残薬確認・OTC/サプリ聴取・他院受診の聞き取りといったアナログ手順も同時に強化し、過信を避けるのが医療安全上のポイントになります。
調剤報酬改定 2025 10月 電子処方箋と電子処方箋管理サービスの登録運用
2025年10月以降の施設基準(加算1~3)として、「紙の処方箋で調剤した場合も含め、原則として全ての調剤結果を速やかに電子処方箋管理サービスに登録すること」が示されています。
つまり、電子処方箋を“受け付けられる”だけでは不十分で、日々の入力・送信・エラー解消まで含めた運用品質が加算維持の前提になります。
運用設計で特に事故が増えやすいのは、次の3ポイントです。
・入力遅延:繁忙時間帯に「後でまとめて登録」が常態化し、速やか要件の説明が弱くなる。
・送信エラー:回線断・証明書期限・端末更新などで登録が止まり、誰も気づかない時間が生まれる。
・職員依存:特定スタッフだけが処理でき、休日や退職で運用が崩壊する。
対策はシンプルで、仕組み化が効きます。
✅「登録が完了したか」を可視化する一覧(未送信リスト)を、毎日・毎シフトで必ず確認する。
✅エラー時の一次対応(再送、再起動、回線確認、ベンダ連絡)を1枚にまとめ、誰でも動けるようにする。
✅紙処方箋の調剤結果登録も含めた作業時間を見積もり、鑑査・投薬と競合しないよう職能分担(事務の役割設計)を調整する。
「電子化=効率化」と思われがちですが、移行期はむしろ一時的に手間が増えます。
この“手間の増加”を見越して人員配置と業務手順を先に決めておかないと、登録遅延→加算算定の不安定化→現場疲弊、という順で悪化しやすい点が、現場感として重要です。
調剤報酬改定 2025 10月 マイナ保険証利用率の実績要件と対策
見直し資料では、マイナ保険証利用率の実績要件を「令和7年10月から令和8年2月まで」「令和8年3月から同年5月まで」の2時期に分けて新たに設定するとしています。
資料中の表では、医療DX推進体制整備加算1・4、2・5、3・6それぞれで、令和7年4~9月、令和7年10月~令和8年2月、令和8年3~5月の利用率水準が段階的に引き上げられる構造が示されています。
この実績要件は、薬局の努力だけで100%コントロールできない一方、現場の導線で大きく変動します。
対策の要点は「声かけの回数」よりも「成功率の上がる設計」です。
現実的に効く施策を、会計・受付の業務に落とし込むと次の通りです。
・初回来局フローに「マイナ保険証の使い方確認」を入れ、詰まるポイント(暗証番号、顔認証、カードの向き)を先回りする。
・高齢者や忙しい来局者には、説明を長くせず“その場で1回成功させる”ことに集中し、成功体験で次回の利用率を上げる。
・掲示やウェブサイト掲載(DX体制、情報活用)を形式対応で終わらせず、患者に「何が便利で安全か」を短文で伝える(例:重複投薬の回避)形にする。
「利用率が上がると医療安全が上がる」と短絡しないのも重要です。
利用率の数値目標が前面に出るほど、現場は“数を作る”方向に傾きやすいので、本人確認・同意・情報の扱いを崩さない運用監査をセットで回すと、長期的に事故を避けられます。
調剤報酬改定 2025 10月 独自視点:監査に強い薬歴と電磁的記録の設計
2025年10月以降の施設基準では、(調剤)として「電磁的記録による調剤録及び薬剤服用歴の管理の体制」を求めています。
ここで差がつくのは、単に電子薬歴を導入しているかではなく、「監査で説明できる一貫性」を持っているかです。
検索上位の解説は“何が要件か”に寄りがちですが、実地指導・個別指導で揉めるのは“運用が安定しているか”です。
そのため、独自視点としては、次のような「監査に強い設計思想」をおすすめします。
・薬歴テンプレートを“短文化”する:長文で埋めるのではなく、①取得情報(資格確認・患者申告等)②評価(薬学的判断)③介入(指導・照会)④フォロー(次回確認点)を固定枠にして、誰が書いても構造が同じになるようにします。
・ログの考え方を入れる:電子処方箋管理サービス登録・未送信解消・閲覧活用など、後から追えるポイントは「やった証拠(日時・担当)」が残る運用に統一します。
・“例外処理”こそ手順化する:回線断、端末故障、患者がマイナ保険証を持参しない、同意が得られない等、例外が毎日発生する前提で、例外時の記録文言と対応を決めておきます。
意外な盲点は、DX要件への対応が進むほど「情報量が増えて、確認漏れのリスクも増える」ことです。
だからこそ、薬局内で“確認項目が増えた分だけ、確認の順番と責任者を固定する”という、航空業界のチェックリストに近い発想が、実務ではかなり効きます。
(権威性のある日本語リンク:制度改定の一次情報と、関連告示・通知・疑義解釈の入口)
厚生労働省:令和6年度診療報酬改定について(告示・通知・疑義解釈等の一覧)
(権威性のある日本語リンク:令和7年10月以降の医療DX推進体制整備加算の施設基準・利用率要件の考え方)
厚生労働省資料:医療DX推進体制整備加算の見直し(令和7年10月以降)

保険調剤Q&A 令和6年版 調剤報酬点数のポイント