重複腎盂尿管 画像診断まとめ CT MRI 超音波

重複腎盂尿管 画像診断まとめ

重複腎盂尿管の画像診断で迷わない要点
🧠

まず「完全型/不完全型」を決める

尿管が膀胱まで2本なら完全型、途中で合流して1本なら不完全型。以後の合併症(VUR、尿管瘤、閉塞)の読み方が一気に整理されます。

🩻

モダリティごとの「得意」を使い分ける

超音波は小児の水腎症スクリーニング、造影CTは走行・合流部の同定、MRIは被ばく回避と尿路全体の連続性評価に強みがあります。

🔎

疑うべき臨床サインを画像に結びつける

反復性尿路感染、水腎症、女児の持続的尿失禁では、異所開口や尿管瘤を強く疑い、VCUGや膀胱鏡など追加検査まで視野に入れます。

重複腎盂尿管の分類とWeigert-Meyerの法則を画像で理解

重複腎盂尿管は、同一腎に腎盂・尿管が2系統存在する先天異常で、膀胱への開口が別々なら「完全型」、途中で合流して1本なら「不完全型」と整理すると読影の軸が作れます。完全型では2本の尿管が途中で交差し、上腎(上極)由来の尿管がより尾側(低位)に開口しやすい特徴が知られ、臨床ではWeigert-Meyerの法則として扱われます。これにより、上腎側は異所開口や尿管瘤・閉塞に、下腎側は膀胱尿管逆流(VUR)に注意を向ける、という“合併症の地図”が作れます。

画像でのコツは「腎門部の腎盂が2つないか」だけで終わらせず、冠状断(またはMPR)で尿管の走行と合流点(不完全型)・膀胱開口(完全型)を必ず追いかけることです。単純CTでも、前後に並ぶ腎盂や二重の尿管像が拾えることがあり、造影に進む前の“疑いの手がかり”になります。

臨床側に返すレポートでは、(1)完全/不完全、(2)どちらの系統が拡張しているか(上腎/下腎)、(3)尿管瘤の有無、(4)VURが疑わしい所見(壁肥厚・反復感染の背景など)、(5)腎実質の菲薄化や低形成の示唆、まで書けると次の検査計画が立ちます。

重複腎盂尿管の超音波とCTで見る水腎症と尿管瘤

超音波は、被ばくがなく反復評価しやすいため、特に小児の水腎症スクリーニングとして相性が良い検査です。重複を疑う場面では、腎盂腎杯の拡張が“部分的(上極側だけなど)”に強い、腎盂が2つに見える、尿管の拡張が片側優位、といった非対称な形を手掛かりにします。膀胱内に嚢胞状の構造(cystic lesion)が見えた場合、尿管瘤の可能性が上がり、重複腎盂尿管(特に完全型)との組み合わせをまず想起します。

CT(特に造影CTのMPR)は、尿管の走行・合流部の同定に強く、「不完全型でどこで合流しているか」「どちらの尿管が拡張しているか」「膀胱壁内で尿管瘤を形成していないか」を短時間で把握できます。現場的には、単純CTで拾った“二重の尿管らしさ”を、造影相で尿路として連続的に追えるか確認する流れが実用的です。

読影上の落とし穴は、拡張した尿管を「単なる水腎症の延長」として扱ってしまい、2本目の尿管を見落とすことです。腎門部から骨盤まで、左右で尿管の本数・太さ・走行が対称かを一度“点検”するだけでも見落としは減ります。

重複腎盂尿管のMRIと静脈性腎盂造影での尿路評価

重複腎盂尿管は無症状で偶発的に見つかることも多く、診断には超音波、CT、MRI、そして古典的には経静脈性腎盂造影(IVP/DIP)が有用とされています。MRIは被ばくを避けたい小児・若年で選択肢になりやすく、液体のコントラストを活かして尿路の連続性を見やすい点が利点です。造影CTで情報が足りない、あるいは繰り返し評価が必要なケースでは、MRIで「拡張した系統が上腎なのか下腎なのか」「尿管がどこへ向かっているか」を補完するイメージで組むと合理的です。

静脈性腎盂造影は実施頻度が減っていますが、腎盂・尿管が造影剤で“尿路として描き分けられる”ため、重複系の存在や尿管瘤に伴う膀胱内の造影欠損など、典型像が理解しやすい検査でもあります。医療者教育としては、CT/MRI時代でも「造影で尿路がどう写るか」を知っておくと、CTの排泄相(尿路相)で何を見ればよいかが整理されます。

また、尿管の拡張があるときは「閉塞か逆流か」を切り分けないと次の検査が決められません。画像は単発で完結させず、病態仮説(閉塞優位/逆流優位)を持って追加検査の要否を提案するのが実務的です。

重複腎盂尿管のVCUGと膀胱鏡で異所開口とVURを拾う

重複腎盂尿管では、画像で形が見えても「機能的に問題があるか(逆流・閉塞・感染の温床か)」の確認が別途必要になります。膀胱尿管逆流(VUR)の評価には排尿時膀胱尿道造影(VCUG)が重要で、特に重複や異所開口が疑われる症例では、異所開口尿管内や姉妹尿管への逆流を認めることが多い、と診断の手引きでも述べられています。

また、異所開口が疑わしい場合は、膀胱尿道鏡が開口部の同定に有用とされます。たとえば女児の持続的尿失禁(膀胱に貯められないタイプ)は、膀胱外(膣など)への異所開口が関係することがあり、形態画像だけで完結させず、内視鏡で「出口」を確定する発想が重要です。

現場の連携としては、放射線側が「VCUGの適応になりうる」所見を早めに示すと有益です。具体的には、下腎側の尿管拡張が目立つ、膀胱壁の変化や感染反復の背景が強い、片側優位の尿管拡張が逆流パターンに見える、などをレポートに添えると、泌尿器科・小児科が次の一手を打ちやすくなります。

参考:VCUGや膀胱鏡を含む診断の流れ(異所開口尿管や逆流の記載)

46及び47に掲げるもののほか、尿路奇形 診断の手引き - 小児慢性特定疾病情報センター
46及び47に掲げるもののほか、尿路奇形の診断の手引きは本ページをご確認ください。小児慢性特定疾病情報センターは、慢性疾患をお持ちのお子さまやそのご家族、またそれらの患者の治療をされる医療従事者、支援をする教育・保健関係の皆さまに向けた情報...

重複腎盂尿管の画像診断まとめ:見落としを減らす独自チェックリスト

検索上位の解説は「定義・分類・Weigert-Meyer・合併症」の整理が中心になりがちですが、実務では“見落としパターン”を潰す工夫が結果を左右します。そこで、重複腎盂尿管を疑う/指摘したときに、読影者が自分に戻して使えるチェックリストを提示します(施設のプロトコルに合わせて調整してください)。

✅ 見落とし低減チェック(CT/MRI/超音波共通の考え方)

  • 「尿管は左右それぞれ1本」という思い込みを捨て、まず本数を数える。
  • 腎盂が2つに見えるとき、尿管が“2本で下りるのか”“途中で合流するのか”を冠状断/MPRで追う。
  • 拡張しているのが上腎系か下腎系かを必ず書く(Weigert-Meyerの合併症連想に直結)。
  • 膀胱内に嚢胞状構造があれば尿管瘤を疑い、重複の完全型を優先して考える。
  • 反復性尿路感染水腎症の背景があれば、形態所見だけで終わらせずVCUG(逆流評価)や膀胱鏡(異所開口同定)へ“橋渡し”する文言を入れる。

🧩 意外と見落とされる「臨床⇄画像」の接点

  • 「無症状の偶発所見」に見えても、既往に反復性UTIがあるなら“意味のある重複”の可能性が上がります(形態の重複+機能障害のセットで治療方針が変わり得る)。
  • 女児の持続的尿失禁は、膀胱外への異所開口が関係することがあり、腎盂の拡張が軽くても油断できません。
  • 片側の腎実質が薄い/小さい場合、重複系の一方が低形成・機能低下である可能性があり、「造影されにくい=尿路がない」ではなく「機能が弱い」かもしれない、という視点が役立ちます。

📌 報告書の“ひと言テンプレ”(そのまま使える形)

  • 「右(左)腎に重複腎盂尿管を認め、(完全型/不完全型)が疑われます。」
  • 「(上腎/下腎)系の腎盂尿管拡張が目立ち、尿管瘤/閉塞の合併が示唆されます。」
  • 「反復感染/水腎症の臨床背景がある場合、VUR評価としてVCUGの適応を検討ください。」

参考:診断に有用な検査として超音波・CT・MRI・IVP、さらにVUR評価としてVCUGの説明がまとまっている

https://medicalnote.jp/diseases/%E9%87%8D%E8%A4%87%E8%85%8E%E7%9B%82%E5%B0%BF%E7%AE%A1