直腸がんの初期症状と進行度別の変化
直腸がんの血便と出血の特徴
直腸がんの最も典型的な初期症状は血便です 。直腸は肛門に近い部位にあるため、硬い便が腫瘍部分と擦れることでがんが傷つき出血が起こります 。この出血の特徴として、便に鮮血がついていることが多く、比較的赤い血液として確認されます 。
参考)https://micro-ctc.cellcloud.co.jp/column/rectal-cancer_symptoms
血便と下血は似ていますが、血便は便に血液が混じった状態を指し、下血は肛門から赤い血液が出ることを表します 。直腸がんでは便が通過する際にがん細胞の表面が便と擦れて傷つくことで出血し、これが血便として現れます 。
参考)https://www.ezoe-clinic.com/early-symptoms-of-colorectal-cancer/
一方で、大腸の奥の方(盲腸や上行結腸)にがんがある場合は、液体に近い便が通過するため出血が起こりにくく、出血があっても便と混じって黒~褐色に変色することが多いため気づかない場合も少なくありません 。
直腸がんによる排便習慣の変化と便の性状
直腸がんが進行すると、腫瘍により腸が狭くなり便秘と下痢を繰り返すことがあります 。がんが大きくなると腸の通過障害を引き起こし、便秘と下痢を交互に繰り返すのが特徴的です 。
参考)https://www.kashiwa-naishikyo.com/blog/rectal-cancer-causes-symptoms/
また、がんによる腸の狭窄により便が細くなったり、平たくなったりすることもあります 。便の形状変化は、がんが腸の内腔を圧迫することで起こる典型的な症状です 。
参考)https://www.kashiwa-naishikyo.com/blog/rectal-cancer-symptoms-pain/
排便の頻度についても変化が見られ、排便回数が増加したり逆に減少したりすることがあります 。さらに、便意を感じても排便できない偽便意や、便の色や臭いが変わることも報告されています 。
参考)https://gan-chiryou-clinic.com/cancer-knowledge/early-symptoms-of-rectal-cancer/
直腸がんの残便感と腹部症状の原因
直腸がんでは残便感が特徴的な症状の一つです 。これは、がんが直腸にできることで腸の通り道が狭くなり、便がスムーズに排出されないために起こります 。実際には便が残っていなくても、「まだ出し切れていない」「すっきりしない」という感覚が続きます 。
参考)https://dojin.clinic/column/4776/
大腸がんが肛門に近い直腸やS状結腸にできると、がん自体が異物となって常に腸壁を刺激するため、便が残っていなくても強い残便感を感じることがあります 。また、がんによる腸の刺激や炎症が排便反射を過敏にし、頻繁に便意を感じることもあります 。
参考)https://naishikyo.or.jp/colon-examination/incomplete-bowel-movement-diarrhea/
腹部症状としては、がんが周囲の臓器を圧迫することで腹痛や腹部不快感が生じることがあります 。腹部の張りや痛み、腸内ガスが原因となる疼痛や腹部膨満感も現れることがあります 。
参考)https://www.akihabara-naishikyo.com/blog/rectumu-cancer-urinary-frequency/
直腸がんの全身症状と進行による影響
直腸がんが進行すると全身症状が現れるようになります。貧血は代表的な全身症状の一つで、がんが腸壁を侵食して出血を引き起こし、その結果として鉄分が減少し赤血球が減少します 。貧血の症状には疲労感やめまい、動悸、頻脈、ふらつきなどが含まれます 。
参考)https://www.kamakura-naishikyo.com/rectal-cancer/
体重減少も重要な症状です。がん細胞の増殖には大量のエネルギーが必要で、これにより体内の脂肪や筋肉が消耗されます 。また、がんによる炎症が食欲を低下させるため、さらに体重減少が進行します 。
慢性的な出血による貧血症状として、倦怠感や立ちくらみも頻繁に見られます 。これらの症状は他の病気でも起こり得るため、直腸がんの確定診断にはなりませんが、症状が気になる場合は速やかに医療機関を受診することが大切です 。
参考)https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/rectal_cancer/
直腸がんにおける独自の症状パターンと注意点
直腸がんには他のがんと異なる独特の症状パターンがあります。特に肛門に近い位置にあるため、患者が肛門部の腫れや違和感を感じることがあります 。これは直腸下部にがんがある場合に特に顕著で、排便困難も伴うことが多いです 。
また、直腸は自律神経によって支配されており痛みを感じる神経がないため、直腸に異常があっても痛みを感じることはありません 。このため初期段階では症状に気づきにくく、発見が遅れる原因の一つとなっています。
参考)https://osaka.hosp.go.jp/shinryo-navi/disease/j11.html
粘液便も直腸がんの特徴的な症状の一つです 。がんからの分泌物により便に粘液が混じることがあり、これは血便とともに現れることが多いです 。
さらに、直腸がんでは便の通過時に出血することが多く、便潜血検査で陽性反応を示すことが特徴的です 。目に見えないほどの出血量でも検査で検出できるため、定期的な便潜血検査は早期発見につながる重要な手段となっています 。
参考)https://www.onaka-kenko.com/various-illnesses/large-intestine/large-intestine-cancer/02.html
国立がん研究センターの大腸内視鏡検査に関する詳細情報
大腸がん検診の有効性と便潜血検査の重要性