チガソンの効果と乾癬治療での実際

チガソンの効果

チガソンの治療効果
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角化異常の改善

皮膚の異常角化を抑制し、厚い鱗屑や過剰な角質形成を改善します

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全身性の作用

内服薬として全身に作用し、局所治療では困難な広範囲病変にも効果を発揮します

光線療法との相乗効果

紫外線療法と併用することで単独使用よりも高い治療効果が期待できます

チガソンの角化異常改善効果

チガソンは、ビタミンA誘導体として皮膚や口腔粘膜の異常に固くなった部分(角化)をはがし易くし、正常な表皮や粘膜を再形成する効果があります。この薬剤は、レチノイド受容体を介した遺伝子発現調整により角化細胞の増殖や分化を正しい方向へ導き、角質層の肥厚を軽減することで症状を緩和させます。国内臨床例2779例中1974例(71%)に副作用が報告されているものの、その効果の高さから重症の乾癬治療において重要な位置を占めています。

チガソンの尋常性乾癬治療における効果

チガソンは、尋常性乾癬における皮膚の角質の正常化を引き起こすため効果的な治療薬として位置づけられています。特に頭部、手掌、足底や肘膝などに厚い鱗屑を伴うような皮疹を持った患者において、光線治療(特にエキシマランプ)との併用で効果があると考えられています。単独での使用よりも紫外線療法と併用される場合が多く、Re-NBUVB(チガソン併用ナローバンドUVB)療法として実施されることがあります。

チガソンの効果持続性と体内蓄積特性

チガソンの特徴的な効果の一つは、長期間体内に留まることです。受診が不定期な患者では、それに伴って多少内服が不定期になってもチガソンは体内に比較的長く留まっているため、ある程度の効果は発揮していると考えられています。この脂溶性薬剤の特性により、牛乳または高脂肪食とともに摂取した場合に吸収が増加するため、食事の質を大幅に変化させないことが重要です。催奇形性のため女性では服用中止後2年間、男性では6か月間の避妊が必要ですが、この長期蓄積性が効果の持続に寄与しています。

チガソンの乾癬以外での治療効果

チガソンの適応は乾癬群にとどまらず、魚鱗癬群(尋常性魚鱗癬、水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症、非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症)、掌蹠角化症、ダリエー病、掌蹠膿疱症、毛孔性紅色粃糠疹及び紅斑性角化症、さらには口腔白板症、口腔乳頭腫及び口腔扁平苔癬にも効果を示します。これらの疾患に対して、チガソンは皮膚角化異常症及び口腔粘膜の過角化病変に対し対症療法として奏効しますが、その詳細な作用機序は明らかではないものの、落屑(角層細胞の接着力の低下)を引き起こすことが知られています。

チガソンと他剤併用時の相乗的効果メカニズム

チガソンの効果は単独使用時と比較して、他の治療法との併用により著しく向上します。特に紫外線療法との併用では、表皮角化細胞への作用によって表皮細胞の異常な増殖を抑制する紫外線の効果と、レチノイド受容体を介した角化細胞の正常化を促すチガソンの効果が相乗的に働きます。また、チガソンが他の薬剤との飲み合わせがほとんどないという特徴を活かし、光線治療と併用してもかなりの効果を得る場合があります。肝障害や脂質異常症のために休薬や減量を要することもありますが比較的稀であり、継続的な治療効果を期待できます。

チガソンは30年近く前より使われている古い薬剤でありながら、現在でも乾癬治療において独特のポジションを維持しています。この薬剤の効果は、ビタミンA様作用によって皮膚や粘膜の構造を整え、角質細胞の過剰増殖を抑制し正常化を目指すことにあります。催奇形性を恐れる必要のないご年配の患者においては、重要な選択肢の一つとなり得る治療薬です。

参考)エトレチナート(チガソン)|こばとも皮膚科|栄駅(名古屋市栄…

チガソンの効果を最大限に活かすためには、適切な患者選択と十分な説明の上での治療開始が重要です。特に皮膚科向け紫外線治療器との併用により、短時間で効率的な治療が可能となり、患者のQOL向上に大きく貢献する治療選択肢となっています。今後も重症皮膚疾患治療における重要な役割を担い続けることが期待されます。

参考)紫外線療法 埼玉県戸田市の【JR北戸田駅から徒歩1分】の皮膚…