乳腺線維腺腫50代ブログ 診断と経過観察

乳腺線維腺腫と50代での診断

50代で線維腺腫と診断された場合の注意点
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40代以降の新規診断は要注意

中年期以降で初めて線維腺腫と指摘された場合、葉状腫瘍や乳がんとの鑑別が必要です

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閉経年齢の変化

現代では閉経年齢が53歳前後に上昇しており、50代でも線維腺腫が存在する可能性があります

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画像診断の限界

超音波検査では見逃しが多く、過去からあった病変が初めて指摘される場合もあります

乳腺線維腺腫の50代における特徴

乳腺線維腺腫は、通常15~35歳の女性に最も多く認められる良性乳腺腫瘍です。線維腺腫は10~20代に発生し、30代まで増大することがありますが、閉経とともに縮小する傾向にあります。

参考)https://ameblo.jp/hubreast2018/entry-12706780300.html


しかし、現代では閉経年齢が上昇しており、50歳では多くの女性がまだ閉経していません。実際、現在の閉経年齢は53歳前後と考えられており、「今の40歳は、ホルモン的には昔の30歳代前半」という見方もできるのです。

参考)今週のコラム 126回目  「40歳ではじめて指摘された(画…


そのため、50代で線維腺腫が指摘されること自体は、必ずしも異常ではありません。画像検査で乳がん検診をしていると、画像で捉えられる線維腺腫は50歳代でも珍しくないとされています。

参考)https://nagano.koudou-kai.or.jp/wp-content/uploads/2023/09/%E4%B9%B3%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%AE%E8%87%A8%E5%BA%8A%E3%80%80%E3%80%8C%E4%B9%B3%E8%85%BA%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97%E3%80%8D%E3%80%80%E3%83%8A%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AA%E3%81%97.pdf

乳腺線維腺腫の閉経後の変化

線維腺腫は年齢とともに変化し、40代後半~50代で閉経を迎えると、ホルモンの分泌状態の変化によって自然と消失することも珍しくありません。多くは妊娠時に増大し、40代になると変化がみられなくなり縮小します。

参考)乳腺線維腺腫 – みんなの家庭の医学 WEB版


閉経後は乳腺線維腺腫が小さくなり、最終的には消失することが一般的です。10~20代にできた線維腺腫を放っておいても、40~50代になった頃には気にならなくなる傾向があります。

参考)乳腺繊維線種の症状・痛みや原因|ともブレストクリニック


ただし、閉経後でも完全に消失するとは限らないため、若い頃に線維腺腫があった場合は、閉経後も定期検診が推奨されます。線維腺腫は2~3cm以内のものが多いですが、なかには鶏卵大のものや急速に増大するものもあるため、注意が必要です。

参考)乳腺線維腺腫を京都で検査・治療するなら|ソウクリニック四条烏…

50代で初めて乳腺線維腺腫と診断された場合の注意点

定期的に検診を受けている40代以降の方で、これまで異常がなかったのに初めて「線維腺腫疑い」と指摘される場合には要注意です。50歳で初めて線維腺腫を指摘された場合、その診断が正しいのか慎重な判断が求められます。

参考)40歳、50歳で線維腺腫と言われた – 女性のための健やか便…


中年期以降で初めて線維腺腫と指摘された場合は、画像上線維腺腫が疑われても、葉状腫瘍や乳がんの可能性も考える必要があります。線維腺腫が新たにできることは、まず無いと考えられるためです。

参考)50才の線維腺腫


実際には、以前からあった病変が「小嚢胞と判断されていた」だけで、今回初めて線維腺腫として認識された可能性も十分にあります。超音波検査は術者によって精度が大きく異なり、見逃しが多いという特徴があります。​
40歳、50歳で線維腺腫と言われた – 女性のための健やか便り

このリンク先では、中年期以降の線維腺腫診断について詳しく解説されており、葉状腫瘍との鑑別の重要性が説明されています。

乳腺線維腺腫と葉状腫瘍の鑑別

小さい腫瘤の段階では、治療が必要な葉状腫瘍や乳がんとの見分けが困難な場合もあります。特に、葉状腫瘍は画像、さらには病理学的にも線維腺腫との鑑別が難しいことが多く、葉状腫瘍の40%程度が通常の針生検では線維腺腫などの良性病変として過小評価されるという報告もあります。​
葉状腫瘍は35~55歳、特に40歳代に多くみられ、線維腺腫とよく似たしこりが症状ですが、気づいた時には既に大きかったり、急に大きくなったりすることが異なります。画像検査で線維腺腫として経過観察していて急速増大のため組織検査で診断されることもあります。​
線維腺腫という良性腫瘍との鑑別が困難なことも多く、急に大きくなるしこりでは葉状腫瘍の可能性を考え、摘出手術後に診断が確定することもあります。葉状腫瘍との鑑別は組織検査でも困難なことがあり、経過観察が必要な場合もあります。

参考)乳腺悪性葉状腫瘍(にゅうせんあくせいようじょうしゅよう)


乳腺悪性葉状腫瘍 – 国立がん研究センター

国立がん研究センターの公式情報として、葉状腫瘍の診断と治療について権威ある情報が提供されています。

乳腺線維腺腫の診断と検査方法

線維腺腫は、問診と視触診、超音波、マンモグラフィ、針生検などを行い総合的に診断します。マンモグラフィでは境界明瞭な腫瘤、超音波検査では楕円形や類円形の腫瘤として描出されるのが典型的です。​
しかし、マンモグラフィでは特に30歳代では高濃度のため線維腺腫は(あっても)写らないことがあります。正常な乳腺細胞と差がほとんどないため、描出されない場合もあるのです。

参考)乳腺線維腺腫とは ~どう扱えばいいのか~


中年期以降で増大傾向のある「画像上、線維腺腫疑い」病変については、画像で確認するだけではなく、生検によって確定診断をつける必要があります。葉状腫瘍の可能性が否定できない場合は、通常の針生検ではなく、吸引式組織生検や摘出生検などより多くのボリュームを採取できる生検方法を選択する必要もあります。​

検査方法 特徴 50代での注意点
マンモグラフィ 境界明瞭な腫瘤として描出 高濃度乳腺では見逃しの可能性
超音波検査 楕円形・類円形の腫瘤 術者による精度の差が大きい
針生検 組織を採取して診断 葉状腫瘍の40%が過小評価される
吸引式組織生検 より多くの組織を採取 葉状腫瘍の可能性がある場合に推奨

乳腺線維腺腫の治療と経過観察

線維腺腫は良性腫瘍のため、治療を行わない場合が多いです。これらの検査で乳がんでないと確かめられた場合、その後は半年~1年に一度、定期的に受診していただき、腫瘍の様子をチェックします。

参考)乳腺線維腺腫の詳細解説と治療法


線維腺腫は3cm以上にまで大きくなることはまれで、閉経に向かうにつれて自然消失する場合もあります。多くの線維腺腫は時間とともに変化がなく、特に症状がない場合や腫瘍が小さい場合は、定期的な検診による経過観察が推奨されます。

参考)乳房線維腺腫 – 乳がんについて


ただし、腫瘍が3cm以上となる場合には、葉状腫瘍と呼ばれる悪性疾患である可能性もあるため、手術による切除が選択されることもあります。また、腫瘍が小さい場合でも、患者の年齢が40歳以上であると葉状腫瘍や乳がんを線維腺腫と誤診している可能性も出てくるため、手術を検討されます。​

治療方法 適応 詳細
経過観察 小さい腫瘍(3cm未満) 6ヵ月~1年に1回の定期検診
外科的切除 3cm以上の腫瘍 葉状腫瘍や乳がんの可能性を考慮
低侵襲治療 患者の希望に応じて 冷凍凝固療法など

50代の乳腺線維腺腫に関するよくある質問

Q: 50歳で初めて線維腺腫と診断されましたが、大丈夫でしょうか?

A: 50歳で初めて線維腺腫と指摘された場合、本当に新しくできた線維腺腫なのか、それとも以前からあったものが初めて指摘されたのかを見極めることが重要です。閉経していない場合や、閉経していても1~2年以内であれば、ホルモンの影響で線維腺腫が存在する可能性はあります。​
ただし、過去の検診で異常がなかったのに突然指摘された場合は、葉状腫瘍や乳がんとの鑑別のために、乳腺外科での詳しい検査を受けることをお勧めします。特に、しこりが大きくなっている場合や、B判定ではなく要精査となった場合は、必ず専門医の診察を受けてください。

参考)線維腺腫が大きくなってきた!? – 女性のための健やか便り-…

Q: 閉経後に線維腺腫は消えますか?

A: はい、多くの場合、閉経後は線維腺腫が縮小し、自然に消失することがあります。線維腺腫は女性ホルモンの影響を受けるため、閉経によってホルモンの分泌が低下すると、線維腺腫も退縮していきます。

参考)乳がんの代表的な関連疾患「乳腺症」「線維腺腫」「葉状腫瘍」は…


ただし、完全に消失するとは限らず、一部は残存することもあります。閉経後に線維腺腫が残っている場合でも、画像検査で確認して良性であることが確認されていれば、基本的には経過観察で問題ありません。​

Q: 線維腺腫が大きくなってきた場合はどうすればいいですか?

A: 線維腺腫が大きくなってきた場合、まず乳腺外科を受診して詳しい検査を受けることが重要です。特に40代以降で大きくなる場合は、葉状腫瘍の可能性も考えられます。​
葉状腫瘍は急速に増大することが特徴で、十分なマージンをつけた切除が必要です。「良性のしこり」と言われていても大きくなるようなら、早めに乳腺外科を受診して確認してもらうことをお勧めします。​
50才の線維腺腫 – 江戸川病院

江戸川病院の田澤先生による詳しい解説で、50代の線維腺腫診断について実際の症例を交えた説明が読めます。

医療従事者として知っておくべき患者対応のポイント

医療従事者として、50代で線維腺腫と診断された患者に接する際には、いくつかの重要なポイントがあります。まず、患者が「50歳で線維腺腫はおかしい」という感覚を持つことは正しい反応だと理解することです。​
患者の不安を受け止めた上で、過去の検診結果を丁寧に確認し、本当に新規の病変なのか、それとも以前から存在していた可能性があるのかを検討します。また、閉経の有無や閉経時期を確認することも重要で、閉経前であれば線維腺腫が存在する可能性は十分にあると説明できます。​
判定がB(1年後再検査)であれば、「本当はAをつけたいところだけど、規則で何か所見があるからにはBにしただけ」という可能性が高いと考えられます。一方、要精査や要経過観察の判定であれば、より慎重な対応が必要です。​
患者に対しては、線維腺腫が乳がんに変化する可能性は極めて低い(0.02%程度)ことを伝え、過度な心配をしないよう説明することも大切です。ただし、定期的な検診の重要性は強調し、変化があれば早めに受診するよう指導します。​