Ca・ビタミンD配合剤と低カルシウム血症の予防治療

Ca・ビタミンD配合剤と低カルシウム血症の予防治療

腎機能障害患者に天然型ビタミンD製剤を使うと効果が不十分になる

この記事の3つのポイント
💊

RANKL阻害剤投与時の必須併用

デノスマブなどのRANKL阻害剤投与時には、低カルシウム血症の発現率が0.8~7.3%と報告されており、Ca・ビタミンD配合剤による予防が不可欠です

⚠️

腎機能障害時は活性型への切り替えが必要

腎機能障害患者では天然型ビタミンDの活性化が障害されるため、腎機能の程度に応じて活性型ビタミンD製剤への変更が推奨されます

🔍

高カルシウム血症のモニタリング

活性型ビタミンD製剤との併用や大量の牛乳摂取により高カルシウム血症のリスクが上昇するため、定期的な血清カルシウム値の測定が重要です

Ca・ビタミンD配合剤の種類と特徴

 

Ca・ビタミンD配合剤には、医療用医薬品と一般用医薬品の両方が存在しています。医療用医薬品として代表的なのがデノタスチュアブル配合錠で、これはRANKL阻害剤投与に伴う低カルシウム血症の治療および予防という明確な効能・効果を持つ製品です。一方、一般用医薬品としてはカタセ錠D3やカルシチュウD3などがあり、これらは発育期や妊娠・授乳期、老年期のカルシウム補給を目的としています。

デノタスチュアブル配合錠の最大の特徴は、天然型ビタミンD3(コレカルシフェロール)を含有している点です。天然型ビタミンDは肝臓と腎臓で代謝されて活性型ビタミンDとなり、カルシウムの小腸での吸収と腎臓での再吸収を促進します。1錠には沈降炭酸カルシウム500mg(カルシウムとして200mg)、コレカルシフェロール200単位、炭酸マグネシウム30mgが配合されており、通常1日1回2錠の服用で必要量を補給できる設計になっています。

つまり天然型配合ということですね。

チュアブル錠という剤形も重要な特徴の一つです。かみ砕くか口中で溶かして服用するタイプで、水なしでも服用できるヨーグルト風味となっています。これは嚥下機能が低下した高齢者や、水分制限を受けている透析患者にとって有用な剤形です。ただし、十分な効果を得るためには10回程度錠剤をかみ砕く必要があり、そのまま飲み込んでしまうと効果が不十分になる可能性があります。

一般用医薬品のカタセ錠D3も同様にビタミンD3を配合したカルシウム剤ですが、効能・効果は「次の場合のカルシウムの補給:妊娠・授乳期、発育期、老年期」とされており、デノタスとは使用目的が異なります。12錠でカルシウム600mgを含有し、吸収を助けるアミノ酸(L-リジン塩酸塩、タウリン)も配合されているのが特徴です。医療現場では、これらの製品の違いを理解し、患者の状態に応じて適切に選択することが求められます。

Ca・ビタミンD配合剤の適応と使用方法

デノタスチュアブル配合錠の適応は、RANKL阻害剤(デノスマブなど)投与に伴う低カルシウム血症の治療および予防に限定されています。デノスマブは骨吸収を強力に抑制するため、骨から血液へのカルシウム供給が減少し、血清カルシウム値が低下するリスクがあります。この低カルシウム血症は投与開始後の早期、特に投与後1週間以内に発現しやすく、日本における調査では7.3%の患者に発症が確認されています。重篤な場合は痙攣、テタニー、意識障害などの症状を引き起こすため、予防的な投与が極めて重要です。

プラリア皮下注(デノスマブ60mg)による骨粗鬆症治療では、投与開始前から血清カルシウム値を測定し、低カルシウム血症がある場合は補正した上で投与を開始する必要があります。投与開始後も定期的に血清カルシウム値を測定し、低カルシウム血症が認められた場合は速やかに対処します。デノタスの通常用量は1日1回2錠ですが、患者の状態や臨床検査値に応じて適宜増減することが可能です。

これは有用ですね。

用法として重要なのは、本剤がチュアブル錠であるため、必ずかみ砕くか口中で溶かして服用する点です。錠剤のまま飲み込むと有効性・安全性が確認されていないため、患者への服薬指導時には必ずこの点を強調する必要があります。また、食事による影響はないため、食前・食後を問わず服用できますが、テトラサイクリン系抗生物質やニューキノロン系抗菌剤との併用時は、これらの薬剤の効果が減弱するおそれがあるため、服用間隔をできる限りあける必要があります。

レボチロキシンナトリウム(甲状腺ホルモン製剤)との併用時も注意が必要です。カルシウムによってレボチロキシンの吸収が遅延または減少する可能性があるため、併用する場合には投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与します。患者が複数の薬剤を服用している場合、薬剤師は相互作用の可能性を確認し、必要に応じて医師に疑義照会を行うことが求められます。服薬指導時には、これらの相互作用についても十分に説明し、適切な服用タイミングを患者に理解してもらうことが重要です。

Ca・ビタミンD配合剤における腎機能障害時の注意点

腎機能障害患者へのCa・ビタミンD配合剤の投与は、特に慎重な判断が必要です。天然型ビタミンD3は、肝臓で25-ヒドロキシビタミンD3に変換された後、腎臓で1,25-ジヒドロキシビタミンD3(活性型ビタミンD)に変換されて初めて生理活性を発揮します。しかし、腎機能障害患者ではこの活性化プロセスが障害されているため、デノタスチュアブル配合錠のような天然型ビタミンD製剤では十分な効果が得られない可能性があります。

添付文書では、腎機能障害患者に対して「ビタミンD3の活性化が障害されているため、本剤の必要性を慎重に判断すること」と記載されています。腎機能障害の程度に応じて、デノタスの投与を中止し、活性型ビタミンD3(アルファカルシドールカルシトリオールエルデカルシトールなど)およびカルシウム製剤への切り替えを検討する必要があります。この判断には、血清クレアチニン値やeGFR(推算糸球体濾過量)などの腎機能指標を参考にします。

活性型への切り替えが基本です。

重篤な腎不全患者では、カルシウムの排泄低下により高カルシウム血症が発現するおそれがあるため、デノタスは禁忌とされています。また、活性型ビタミンD製剤を使用している患者にデノタスを追加すると、相加作用により高カルシウム血症のリスクが上昇します。医療現場では、プラリア皮下注の処方時にデノタスが自動的に処方されるケースがありますが、既に活性型ビタミンD製剤を服用している患者や腎機能障害患者では、そのまま継続すべきか変更すべきかを慎重に判断する必要があります。

薬剤師の役割として重要なのは、処方内容の確認と医師への情報提供です。例えば、活性型ビタミンD製剤とデノタスが併用処方されている場合、腎機能障害の有無や血清カルシウム値の推移を確認し、必要に応じて疑義照会を行います。また、患者に対しては、血清カルシウム値の定期的な測定の重要性を説明し、口渇、多尿、便秘などの高カルシウム血症の症状が現れた場合は速やかに医師に連絡するよう指導します。腎機能が変動しやすい高齢者や透析患者では、特に慎重なモニタリングが必要です。

Ca・ビタミンD配合剤の副作用と高カルシウム血症のリスク

デノタスチュアブル配合錠の主な副作用として、発疹、紅斑、かゆみ、便秘、下痢などが報告されています。これらは比較的軽度な症状ですが、最も注意すべき副作用は高カルシウム血症です。高カルシウム血症は、血液中のカルシウム濃度が過剰になった状態で、初期症状として口渇、食欲不振、吐き気、嘔吐、便秘などが現れます。進行すると意識障害、不整脈、腎機能障害などの重篤な症状を引き起こす可能性があります。

高カルシウム血症が発現しやすい状況として、大量の牛乳を飲んだ場合が挙げられます。牛乳コップ1杯(200ml)には約200mgのカルシウムが含まれており、デノタス2錠(カルシウム400mg)と合わせると、適量とされる1日のカルシウム摂取量(成人で700~800mg)を容易に超えてしまいます。添付文書でも「本剤服用中に大量の牛乳を飲むと高カルシウム血症などがあらわれることがあるので注意すること」と明記されています。カルシウムを3,000mg/日以上摂取すると高カルシウム血症との関連があるとされていますが、個人差もあるため、デノタス服用中は牛乳の摂取量を1日200~400ml程度に抑えるよう指導することが望ましいです。

どういうことでしょうか?

活性型ビタミンD製剤との併用も高カルシウム血症のリスク因子です。活性型ビタミンDは腸管でのカルシウムの吸収を強力に促進するため、デノタスと併用すると血清カルシウム値が過度に上昇する可能性があります。骨粗鬆症治療で活性型ビタミンD製剤を既に服用している患者にプラリアが開始される際、薬剤師は活性型ビタミンD製剤の継続の可否を確認する必要があります。一部の症例では、デノタスに切り替えることなく、活性型ビタミンD製剤とカルシウム製剤の併用を継続する方が適切な場合もあります。

カルシウムを含むサプリメントの併用にも注意が必要です。患者の中には、骨の健康のためと考えて市販のカルシウムサプリメントを追加で服用している方がいます。服薬指導時には、デノタス以外にカルシウムやビタミンDを含む製品を使用していないか確認し、併用している場合は医師に報告するよう伝えます。また、血清カルシウム値の測定が予定されている場合は、必ず指定された日時に受診するよう強調します。高カルシウム血症は自覚症状が乏しい場合もあるため、定期的な血液検査によるモニタリングが不可欠です。

Ca・ビタミンD配合剤の保管と服薬指導のポイント

デノタスチュアブル配合錠は吸湿および光により品質低下が認められているため、保管方法に特別な注意が必要です。添付文書では「SP包装開封後又はプラスチックボトル開封後は、湿気を避けて遮光して保存すること」と明記されています。

このため、一包化調剤は推奨されていません。

一包化すると湿気や光にさらされる機会が増え、薬剤の安定性が保たれない可能性があるためです。患者からシート包装のままでは管理しにくいという訴えがあった場合でも、原則として元の包装形態のまま保管するよう指導します。

プラスチックボトル製剤の場合、開封後は蓋をしっかりと閉め、直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管する必要があります。患者の中には、ボトルから取り出して小分けの容器に移し替える方もいますが、これは品質低下のリスクがあるため避けるべきです。服薬指導時には、「他の容器に入れ替えないでください」と明確に伝え、元のボトルでの保管を徹底してもらいます。また、乾燥剤入りのボトルの場合、乾燥剤を誤って服用しないよう注意喚起も必要です。

厳しいところですね。

チュアブル錠としての服用方法の指導も重要なポイントです。前述の通り、本剤は必ずかみ砕くか口中で溶かして服用する必要がありますが、患者の中には通常の錠剤と同じように水で飲み込んでしまう方がいます。特に初回の服薬指導時には、実際にどのように服用するのかを実演しながら説明すると効果的です。「水なしでそのままかみ砕いて服用できます」「ヨーグルト風味なので飲みやすいです」といった具体的な説明により、患者の理解が深まります。

服用のタイミングについても説明が必要です。食事による影響はないため食前・食後を問いませんが、他の薬剤との相互作用を避けるため、テトラサイクリン系抗生物質ニューキノロン系抗菌剤、レボチロキシンなどを服用している場合は、服用間隔をあけるよう指導します。具体的には、これらの薬剤を服用してから2時間以上あけてデノタスを服用する、またはデノタスを服用してから2時間以上あけて他の薬剤を服用するといった方法を提案します。患者が複数の医療機関を受診している場合、お薬手帳を活用して全ての服用薬を把握し、相互作用のリスクを評価することが重要です。

Ca・ビタミンD配合剤の独自視点での活用と今後の展望

Ca・ビタミンD配合剤の活用において、医療従事者が見落としがちなのが、患者の食生活全体とのバランスです。デノタスは1日2錠でカルシウム400mgを供給しますが、これは日本人の食事摂取基準における推奨量(成人男性で800mg、成人女性で650mg)の約半分に相当します。残りのカルシウムは食事から摂取する必要があるため、服薬指導時には単に薬の飲み方を説明するだけでなく、食事でのカルシウム摂取についてもアドバイスすることが有用です。

カルシウムを豊富に含む食品として、乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜などがあります。ただし、前述の通り牛乳の過剰摂取は高カルシウム血症のリスクとなるため、1日200~400ml程度を目安とし、その他の食品からもバランスよく摂取するよう促します。また、カルシウムの吸収を妨げる成分として、インスタント食品に多く含まれるリン、コーヒーやお茶に含まれるカフェイン、食塩、アルコールなどがあります。これらの過剰摂取を避けるよう助言することで、薬剤の効果を最大限に引き出すことができます。

意外ですね。

透析患者におけるCa・ビタミンD配合剤の使用も興味深い視点です。透析患者は水分制限を受けていることが多く、水なしで服用できるチュアブル錠は有用な剤形です。しかし、透析患者では腎臓でのビタミンDの活性化が著しく障害されているため、天然型ビタミンD製剤であるデノタスの効果は限定的です。このため、透析患者にプラリアを投与する際は、デノタスではなく活性型ビタミンD製剤とカルシウム製剤の併用を選択することが一般的です。ただし、透析患者は高カルシウム血症や血管石灰化のリスクが高いため、血清カルシウム値、リン値、副甲状腺ホルモン(PTH)値などを総合的にモニタリングしながら投与量を調整する必要があります。

薬局薬剤師の役割として、残薬管理も重要なポイントです。デノタスは毎日継続して服用する必要がありますが、患者の中には症状がないために服用を怠る方や、飲み忘れが多い方がいます。プラリアの効果を最大限に発揮し、低カルシウム血症を確実に予防するためには、デノタスのアドヒアランスが極めて重要です。服薬指導時には、なぜこの薬が必要なのかを丁寧に説明し、患者の理解と納得を得ることが大切です。また、飲み忘れを防ぐための工夫として、服薬カレンダーの活用や、スマートフォンのリマインダー機能の利用などを提案すると効果的です。

今後の展望として、個別化医療の観点からCa・ビタミンD配合剤の投与量を最適化することが期待されます。現在の標準用量は1日2錠ですが、患者の食事からのカルシウム摂取量、血清カルシウム値の推移、腎機能、骨代謝マーカーなどを総合的に評価し、個々の患者に最適な投与量を設定することで、低カルシウム血症と高カルシウム血症の両方を効果的に予防できる可能性があります。医療従事者は、画一的な投与ではなく、患者一人ひとりの状態に応じた柔軟な対応を心がけることが求められます。


ファンケル (FANCL) 親子 de カルシウム (30~90日分) 栄養 子供 (カルシウム/ビタミンD/乳酸菌) 水なしで噛んで食べられる ココア風味