ブルーレターとイエローレターの違い

ブルーレターとイエローレターの違い

ブルーレターとイエローレターの違い:最短理解
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イエローレター=緊急に安全対策が必要

「緊急に安全対策上の措置をとる必要がある」と判断された場合に、厚労省の配布指示にもとづき製造販売業者が作成します(患者向け資材は原則作成)。

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ブルーレター=イエローに準じて迅速な注意喚起

一般的な「使用上の注意」改訂よりも迅速な安全対策が必要な場合に発出されます(患者向け資材は必要に応じて)。

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入手経路はPMDAで一覧化

PMDAは医療機器・医薬品それぞれで、緊急安全性情報(黄)と安全性速報(青)を一覧掲載し、メール配信(PMDAメディナビ)でも届けます。

ブルーレターの違い:安全性速報の位置づけと作成基準

 

ブルーレターは正式には「安全性速報」で、緊急安全性情報(イエローレター)に準じつつ、一般的な「使用上の注意」改訂情報よりも迅速な注意喚起や安全対策措置が必要な場合に発出されます。

重要なのは「緊急性は高いが、イエローレターほど“直ちに使用制限・中止級”とは限らない」領域をカバーする点で、現場に“早めの手当て”を促す役割を持ちます。

医療機関側は、ブルーレターを「念のため共有」ではなく、「通常の注意改訂より短いリードタイムで運用変更が必要になる合図」と捉えると、対応の遅れを減らせます。

ブルーレターで現場が特に確認したいポイントは次の通りです。

参考)緊急安全性情報(イエローレター)・安全性速報(ブルーレター)…


・対象製品(薬剤名/一般名、医療機器の販売名、ロット・シリアル範囲の有無)

参考)緊急安全性情報(イエローレター)とは?ブルーレターとの違いや…


・求められる対応(検査追加、モニタリング強化、設定変更、禁忌相当の回避など)​
・院内で影響を受ける部署(薬剤部・ME・看護部・当該診療科・SPD)​

ブルーレターの違い:イエローレター(緊急安全性情報)の発出条件

イエローレターは「緊急に安全対策上の措置をとる必要がある」と判断された場合に、厚生労働省からの配布指示にもとづいて製造販売業者が作成する情報です。

さらに指針では、医療関係者向けの情報提供に加え、該当製品を使用している患者を含む国民向けの情報提供も併せて行うことが基本(原則)と整理されています。

つまりイエローレターは「院内で気をつける」だけで終わらず、「患者の行動(受診・自己中止回避・相談先)」まで設計しないと安全対策が完結しない性格があります。

イエローレターが想定する“重さ”は、指針が例示する措置から読み取れます。


・警告欄の新設または追加​
・禁忌事項(禁忌・禁止事項)の新設または追加​
・回収を伴う行政措置(販売中止、販売停止、承認取消し等)​

このレベルの変更は、現場運用で言えば「処方・使用の可否判断のルールが変わる」「代替策の確保が必要」「説明文書の更新が必要」になりやすい点が重要です。

ブルーレターの違い:配布・周知(PMDA掲載、メディナビ、1か月以内の情報提供)

イエローレター/ブルーレターは、製造販売業者が自社サイトへの掲載とともにPMDAの情報提供ページにも掲載し、同時にPMDAメディナビで登録者へ直ちに配信される運用が示されています。

また、医療機関・薬局などへの直接の情報提供は、医薬情報担当者による配布、DM、FAX、電子メール等を活用して「1か月以内に実施」することが示されています。

この「メールで即時に届く(メディナビ)→その後、直接提供が追いつく」という二段構えを前提に、院内では“メール受信時点で初動が回る設計”が望ましいです。

現場で実装しやすい初動テンプレ(例)です。

✅ 受信直後(当日〜24時間)

・薬剤部/MEが本文の要求対応を要約し、該当部署へ速報共有​
・院内在庫・採用品目・使用患者の有無を一次確認(電子カルテ検索、SPD、機器台帳)​

✅ 48時間以内

・暫定運用(処方制限、機器の使用停止/点検、検査追加)を合意し、周知​

✅ 1週間以内

・恒久対応(手順書改訂、オーダーセット変更、教育資料更新、患者説明文書整備)​

ここで見落としやすい“意外な落とし穴”は、PMDA掲載ページの注意書きにある通り「掲載されている製造販売業者名や問い合わせ先等は発出当時のもの」という点です。

院内で照会が必要になった場合、旧社名・旧窓口に連絡して時間を失うことがあるため、最新の添付文書や最新の連絡先に到達する導線を同時に確保しておくと実務上の事故が減ります。

ブルーレターの違い:回収情報(クラス分類)との混同を防ぐ

ブルーレター/イエローレターは「注意喚起・安全対策の情報伝達」であり、回収情報(リコール)とは別の枠組みです。

一方で指針上は、緊急安全性情報の措置の一つとして「回収を伴った行政措置」も例示されており、現場では同時に走ることがあります。

そのため、受信時は「これは注意喚起だけか/回収が絡むか」をまず切り分けるのが実務の最短ルートです。

回収が絡む場合、PMDAの回収情報では健康危険度に応じてクラスI・II・IIIが付与され、クラスIは「重篤な健康被害または死亡の原因となり得る状況」と説明されています。

参考)回収情報(医薬品)

ここが“混同ポイント”で、院内では「イエローレター=クラスI回収」と短絡しがちですが、イエローレターは回収の有無に関係なく「緊急な安全対策」が必要な状態を扱います。

逆に、回収情報だけが先行し、ブルーレター等の注意喚起に気づかないケースもあるため、「注意喚起(黄/青)」「回収(クラス)」を別チャンネルで監視する設計が安全です。

参考)回収情報(医療機器)

ブルーレターの違い:院内オペレーション(独自視点:情報を“誰のタスク”にするか)

検索上位の解説は「定義の違い」で止まりやすい一方、医療安全で差が出るのは“責任と分担の置き方”です。

指針は、医療機関・薬局に対して「内容を速やかに把握し、施設内の医薬関係者の間で迅速な情報共有」を求め、最も早い手段としてPMDAメディナビを挙げています。

つまり「誰かが読めばよい」ではなく、「最速で届くチャンネルを誰が監視し、誰が院内配布に変換するか」を決めていない施設ほど、初動が属人化します。

独自視点として、医療機関の規模を問わず効きやすい“タスク化”の例を示します(入れ子にしない運用を想定)。

・PMDAメディナビ監視担当:薬剤部DI(医薬品)、ME/臨床工学(医療機器)で一次受信を責任化する。

・当日中の評価担当:医療安全管理部門が「院内影響の有無(患者・機器・手順)」を3点チェックする。

・院内周知担当:看護部は“現場の手順に落とす一文”を作り、朝礼・掲示・eラーニングに変換する。

・エビデンス紐づけ:添付文書の最新版確認を必須化し、PMDAページの「発出当時情報」に引きずられない。

“意外に効く小技”として、ブルーレター/イエローレターを「受信箱」ではなく「院内チケット(期限付き)」に変換すると、1か月以内の直接提供という設計とも整合し、対応漏れが減ります。

参考:医療機器のイエローレター/ブルーレター一覧(色分け、定義、注意事項が確認できる)

緊急安全性情報(イエローレター)・安全性速報(ブルーレター)…

参考:緊急安全性情報・安全性速報の作成基準と提供方法(1か月以内の直接提供、メディナビ即時配信等の運用が確認できる)

https://www.mhlw.go.jp/www1/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/284-2.pdf

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