ビスマス製剤 商品名と用法用量と副作用

ビスマス製剤 商品名

ビスマス製剤 商品名:臨床で迷わない要点
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まず押さえる商品名と一般名

日本で医療用として扱う中心は「次硝酸ビスマス」「次没食子酸ビスマス」。成分名と製品名のズレを先に整理すると説明が速い。

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用法用量と“長期回避”の意味

止瀉目的でも、添付文書上は長期連続投与を避ける注意が明確。外来の処方期間設計に直結する。

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副作用:黒色便だけで終わらせない

黒色便はよくあるが、神経症状・亜硝酸中毒など「頻度不明だが重い」リスクの説明と観察点が重要。

ビスマス製剤 商品名:次硝酸ビスマスの位置づけ

 

日本の医療用で「ビスマス製剤」として遭遇しやすい代表が、日本薬局方の次硝酸ビスマス(bismuth subnitrate)です。

効能又は効果は「下痢症」とされ、抗菌薬のように原因菌を直接“治す”より、腸管内での収れん・保護、硫化水素との結合などにより症状を抑える薬効として理解すると実務に沿います。

製剤の性状が「白色の粉末」とされる点は、散剤・粉末製剤としての取り扱い(秤量、分包、配合)を意識する場面で地味に効きます。

また、臨床で混乱が起きやすいのは「ビスマス=ピロリ除菌の四剤療法」という連想ですが、日本の添付文書上の次硝酸ビスマス自体は“下痢症”の止瀉剤として記載されており、役割の文脈が異なります。

参考)ピロリ菌除菌効果、ビスマス製剤を含む4剤併用が標準治療を凌駕…

一方で、海外や研究文脈では、ビスマス化合物を含むレジメン(例:ビスマス+抗菌薬+PPIの併用)がピロリ菌治療で検討され、除菌率の優位性が議論されてきた経緯があります。

この“文脈のズレ”をそのままにすると、患者説明や他職種連携(薬剤部・病棟)で誤解が残りやすいため、「日本の次硝酸ビスマスは基本的に止瀉の適応」という軸を最初に共有すると事故が減ります。

ビスマス製剤 商品名:次没食子酸ビスマスの特徴

次没食子酸ビスマス(bismuth subgallate)も日本薬局方で、止しゃ剤・収斂剤として整理され、経口では「下痢症」、外用では「きわめて小範囲の皮膚のびらん及び潰瘍、痔疾」などの乾燥・収れん・保護に用いる、と明記されています。

同じ“ビスマス製剤”でも、次没食子酸ビスマスは外用の用法が添付文書に含まれる点が、次硝酸ビスマスとの大きな差です。

外用では「広範囲の病変部には使用しないこと」「散布剤として使用する場合、誤って吸入しないよう注意」など、運用上の注意が実務的です。

作用機序は、組織タンパク質と結合して消化管粘膜に被膜を形成し、二次的に蠕動を抑制すること、さらに腸内硫化水素と結合してガス刺激を緩和することが示されています。

この“硫化水素と結合”という記載は、単なる「止瀉剤」よりも、腸内環境・ガス刺激という説明ルートを提供しやすく、患者指導の言語化に役立ちます。

また理化学的知見として「光によって変化する」と明記されているため、保管・分包後の管理(遮光の要否の検討、患者の保管指導)に気を配る意義があります。

ビスマス製剤 商品名:用法用量と長期連続投与の注意

次硝酸ビスマスの用法用量は「通常成人1日2gを2~3回に分割経口投与」とされ、年齢・症状で適宜増減と記載されています。

次没食子酸ビスマスは「通常成人1日1.5~4gを3~4回に分割経口投与」とされ、こちらも年齢・症状で調整します。

ここで重要なのは、両剤とも「精神神経系障害があらわれるおそれがあるので長期連続投与を避ける」という“かなり強い”注意が添付文書にある点です。

次硝酸ビスマスでは、やむを得ない場合でも「原則として1ヵ月に20日程度(1週間に5日以内)の投与にとどめる」と具体的に線引きが書かれています。

次没食子酸ビスマスでも同様に「原則として1ヵ月に20日程度(1週間に5日以内)」という具体的な上限の考え方が示されています。

止瀉薬は“漫然と継続”が起こりやすい領域なので、処方日数のデフォルトを短めにし、症状日誌や便性状の再評価で延長判断をする運用に落とすと、添付文書の意図に沿いやすくなります。

また禁忌として、慢性消化管通過障害または重篤な消化管潰瘍、出血性大腸炎の患者が挙げられ、特に出血性大腸炎では症状悪化・治療期間延長の懸念が明示されています。

「細菌性下痢」についても、出血性大腸炎を除く場合であっても“治療上やむを得ないと判断される場合を除き投与しない”と、かなり踏み込んだ注意があるため、感染性腸炎が疑わしい場面では安易に処方を開始しない設計が安全です。

この注意は、抗菌薬の適正使用だけでなく、止瀉で症状を覆い隠すことによる受診遅れ・重症化の回避という観点でも説明しやすいポイントです。

ビスマス製剤 商品名:副作用(黒色便・神経症状・亜硝酸中毒)

臨床で最も説明頻度が高いのは「便が黒くなる」事象で、添付文書には“ビスマスが黒色の硫化ビスマスになるため”と機序まで明記されています。

この説明は、消化管出血(メレナ)との鑑別で患者が不安になりやすい点を先回りしてケアできる一方、「黒色便=必ず薬のせい」と短絡しないよう、腹痛・ふらつき・冷汗・吐血などの随伴症状を確認する運用が必要です。

加えて、口腔内の青色または青黒色の着色(歯齦縁、舌、口腔内など)も頻度不明の副作用として記載があり、口腔内所見で“別の疾患”と誤認されないよう共有が有用です。

見落としやすいが重要なのが、ビスマス塩類の連続大量投与(1日3~20gを1ヵ月~数年間)で、間代性けいれん、昏迷、錯乱、運動障害などの精神神経系障害が報告され、投与中止後に回復したとされる点です。

この記載は“頻度不明”でも、長期処方を避ける注意の根拠になっているため、処方設計の段階でリスクを潰す発想が重要です。

さらに次硝酸ビスマスでは重大な副作用として「血液障害:亜硝酸中毒(メトヘモグロビン血症、血圧降下、皮膚の紅潮)」が挙げられ、便秘が出た場合に亜硝酸中毒を起こすおそれがある、という一文が臨床的に重い示唆になります。

過量投与の項目には、腎障害(近位尿細管障害、腎不全)、肝障害、血圧低下など多彩な症状が列挙され、重症時の処置としてキレート剤(ジメルカプロール)や血液透析などにも言及があります。

通常用量でそこまで至ることは多くない前提でも、「粉末で手元に量がある」「自己判断で増量しやすい」といった場面では、過量投与情報が患者安全の最後の砦になり得ます。

医療従事者向け記事としては、黒色便の説明に加え、“長期回避”“便秘を放置しない”“神経症状の初期サイン(不安、不快感、記憶力減退、頭痛、無力感、注意力低下、振戦など)”を指導テンプレに組み込むのが実装的です。

ビスマス製剤 商品名:独自視点(検査・診断の見落とし)

「便が黒くなる」という既知の現象は、患者側では“下血”と同義に捉えられやすく、逆に医療者側では“薬剤性でしょ”と流してしまう危険もあります。

この両極端を避ける実務的な工夫として、処方時に「黒色便は起こり得るが、ふらつき・動悸・冷汗・強い腹痛などがあれば別ルートで受診」と一文で安全弁を設けると、薬剤性黒色便と消化管出血の鑑別導線を同時に確保できます。

また、添付文書上は浣腸に使用しない注意が明記されており、自己判断での適用外使用(“下痢に効くなら直腸投与でも”のような誤用)を防ぐ観点で、薬剤指導に入れておく価値があります。

“意外に知られていない”寄りのポイントとして、次硝酸ビスマスの薬物動態の項で、次サリチル酸ビスマスの場合の吸収が約1%、吸収されたビスマスの血漿中半減期が約5日で、唾液・尿・胆汁中に排泄される、という記載があり、微量でも体内滞留の時間軸を示唆します。

この時間軸は、長期連続投与回避の考え方(蓄積リスクの時間依存性)を説明する際の補助線になり、短期で区切る処方設計の説得力を上げられます。

さらに次没食子酸ビスマスでは「光によって変化する」と記載があるため、院内での分包・患者宅での保管(窓際・高温多湿)まで含めて品質管理に触れると、単なる“商品名まとめ”記事から一段深い内容になります。

添付文書(日本語・公的情報、禁忌や副作用の根拠部分の確認に有用)。

次硝酸ビスマス「ニッコー」添付文書(PMDA)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/14987291830819
次没食子酸ビスマス「ニッコー」添付文書(JAPIC/PINS)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00048234.pdf

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