便潜血1回目陽性2回目陰性の知恵袋でよくある疑問を解説

便潜血1回目陽性2回目陰性の検査結果の意味

この記事で分かること
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便潜血検査の仕組み

1回目陽性・2回目陰性の結果が示す意味と、検査精度の限界について理解できます

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精密検査の必要性

なぜ1回でも陽性なら大腸カメラ検査が推奨されるのか、その医学的根拠が分かります

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発見される病気

便潜血陽性で見つかる大腸がん、ポリープ、炎症性疾患などの具体的な情報を提供します

便潜血検査1回目陽性2回目陰性とはどういう状態か

便潜血検査は、便の中に目に見えない微量の血液が混じっていないかを調べる検査です。健康診断大腸がん検診では、通常2日間にわたって便を採取し、それぞれを検査します。

参考)【便潜血一回だけ陽性】の原因は?大腸がんの確率は?


1回目で陽性、2回目で陰性という結果が出る理由は、大腸からの出血が持続的ではなく断続的であることが主な原因です。大腸ポリープや大腸がんからの出血は、便の通過時の刺激によって起こるため、必ずしも毎回の排便で出血するわけではありません。また、便を採取する部位によって血液が混じったり混じらなかったりすることもあります。

参考)便潜血検査で1回だけ陽性になる場合、原因は何が考えられますか…


便潜血検査の精度には限界があり、偽陽性(異常がないのに陽性が出る)や偽陰性(異常があるのに陰性が出る)が発生することがあります。検査キットの取り扱い方法や保存状態によっても結果が影響を受けることがあるため、完全な精度を保証できる検査ではありません。

参考)便潜血検査陽性の際、再検査(便検査)はあまり意味がない理由と…

便潜血1回だけ陽性でも精密検査が必要な理由

医療機関では、2回の検査のうち1回でも陽性反応が出た場合、必ず大腸カメラ検査などの精密検査を受けることを強く推奨しています。この理由は、大腸がんの検出精度に関するデータから明らかになっています。

参考)便潜血陽性は1回だけでも精密検査を


研究によると、進行大腸がんがある場合、1回の便潜血検査で約73%が陽性となり、2回検査した場合は約85%が陽性となります。逆に言えば、進行がんでも15%程度は2回とも陰性になってしまう可能性があるということです。早期大腸がんの場合、1回の検査での検出率はさらに低く約50%程度とされています。

参考)便潜血検査でひっかかったら読むページ|住吉内科消化器内科(江…


大腸ポリープに関しては、検出率がさらに低くなります。便潜血検査では大腸ポリープの約20%未満しか検出されず、特に9mm以下の小さなポリープは出血を伴わないことが多いため発見が困難です。別の報告では、ポリープがあっても約70%の場合は便潜血反応が陰性になるとされています。

参考)便潜血検査は大腸がんや大腸ポリープをどのくらい検出するの? …


便潜血検査で一度でも陽性が出たということは、何らかの消化管出血の可能性を示すサインであり、「たまたま」として無視できるものではありません。国の指針でも、便潜血陽性の場合の精密検査として大腸内視鏡検査が推奨されており、再度の便潜血検査は推奨されていません。

参考)便潜血で1回目陽性で2回目陰性だった場合|札幌大通胃と大腸の…

便潜血陽性で発見される大腸の病気

便潜血検査で陽性となった場合、大腸カメラ検査によってさまざまな疾患が発見されます。以下、主な病気について説明します。

大腸がん・大腸ポリープ

大腸がんは便潜血陽性の最も重要な原因疾患です。進行大腸がんの検出率は60~75%程度で、2日法を用いることで85%以上に向上します。大腸ポリープは大腸がんの前がん病変として知られており、便の通過などの刺激により出血することがあります。ただし、早期がんや小さなポリープは出血していないことも多く、便潜血検査だけでは発見が困難な場合があります。

参考)大腸がん検査を便潜血検査だけで済ませていませんか?|内視鏡医…

炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎は、大腸粘膜に慢性的な炎症が起こる難病で、炎症部からの出血により便潜血陽性となることがあります。若年者に多い病気ですが、最近では高齢での発症も増えています。粘り気の強い便が出ることもあり、血便を伴うことが特徴です。便潜血陽性は大腸がんだけでなく、このような炎症性腸疾患の早期発見につながることもあり、若年者でも陽性反応が出た場合は精密検査が重要です。

参考)血便・便潜血陽性で陽性の原因|にしやま消化器内科

大腸憩室症・憩室出血

大腸憩室は加齢変化や食生活の欧米化により生じた大腸の穴ぼこのような構造です。憩室出血は、憩室内の動脈が破綻して出血が起こる病気で、時に貧血をきたすほどの大出血を起こすことがあります。突然の血便が特徴で、痛みをほとんど伴わないことが多いです。憩室炎は憩室に詰まった便などが原因で細菌が繁殖し、感染することにより生じます。

参考)大腸憩室出血とはなに?血便の鑑別診断!|横浜市横浜駅前の消化…

痔による出血

便潜血陽性の原因として痔からの出血も多く見られます。内痔核(いぼ痔)は排便時のいきみでうっ血して出血したり、硬い便でこすれて出血します。裂肛(切れ痔)は排便時に硬い便で切れることが原因です。ただし、「痔もあり腸の病気もある」というケースもあるため、痔があっても大腸内視鏡検査で腸の病気がないか調べる必要があります。

参考)便潜血陽性|草加西口大腸肛門クリニック

便潜血検査の再検査は意味がないのか

便潜血検査で陽性結果が出た後、「もう一度便潜血検査をして陰性なら大丈夫ではないか」と考える方も少なくありません。しかし、医学的には便潜血検査の再検査にはあまり意味がないとされています。​
その理由は、がんからの出血が持続的ではないためです。大腸がんやポリープがあっても、必ずしも毎回出血するわけではなく、再検査で陰性になる可能性は十分にあります。医師が重視するのは「潜血反応が1回でも陽性になったこと」であり、その後陰性になったとしても病変がないことの証明にはなりません。

参考)便潜血検査で陽性がでたら|横浜市神奈川区横浜駅から徒歩3分、…


国の指針でも、便潜血陽性の場合の精密検査として推奨されているのは大腸内視鏡検査であり、便潜血検査の再検査や注腸検査は推奨されていません。便潜血検査はあくまでもスクリーニング検査(ふるい分け検査)であり、確定診断のためには大腸カメラ検査が必要です。

参考)便潜血陽性の指摘を受けたら|八王子市のいちょうの森内科内視鏡…


再検査に時間を費やすことは、早期発見の機会を逃すリスクを高めます。便潜血陽性という結果が出たら、できるだけ早く大腸内視鏡検査を受けることが、自身の健康を守る最善の選択です。

参考)便潜血検査1回だけ陽性でも大腸内視鏡検査(大腸カメラ)をおす…

便潜血検査陰性でも大腸がんの可能性はあるのか

便潜血検査が陰性だったからといって、大腸がんがないと断定することはできません。便潜血検査では発見できない大腸がんがかなり多く存在することが知られています。

参考)便潜血検査陽性・陰性と大腸がん|大崎消化器内科クリニック|品…


前述の通り、進行大腸がんでも約15%は2回とも陰性になってしまう可能性があり、早期がんの場合は検出率が約50%程度にとどまります。特に出血を伴わない早期の段階や、小さなポリープは便潜血検査で検出されないことが多いのです。​
大腸がんは進行してしまうととても怖い病気であり、早期発見・早期治療が重要です。そのため、40歳を過ぎたら便潜血検査の結果に関わらず、定期的に大腸カメラ検査を受けることが推奨されています。特に家族に大腸がんや大腸ポリープを患った方がいる場合は、遺伝的リスクが高いため、40歳に満たないうちからでも定期的な検査が推奨されます。​
便潜血検査はあくまでも補助的なスクリーニングツールであり、大腸カメラ検査による直接観察が最も確実な診断方法です。健康診断で便潜血検査が陰性であっても、何らかの症状(血便、便通異常、腹痛など)がある場合は、早めに消化器内科を受診して大腸カメラ検査を相談することをおすすめします。​

参考情報として、以下のリンクでは便潜血検査と大腸がん検診について詳しい情報が得られます。

便潜血一回だけ陽性の原因と大腸がんの確率について(なかむらクリニック)
便潜血で1回目陽性で2回目陰性だった場合の対応(札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニック)