ビーマス配合錠の効果と副作用、製造終了情報

ビーマス配合錠の基本情報と製造終了について

ビーマス配合錠の重要ポイント
💊

主な効能

便秘症の治療、手術前後・検査時の腸管内容物排除

⚠️

製造終了

2025年3月末で製造販売終了、在庫消尽まで

🔬

配合成分

カサンスラノールとジオクチルソジウムスルホサクシネート

ビーマス配合錠の成分と効能効果

ビーマス配合錠は、日本臓器製薬株式会社が製造販売する便軟化・腸運動促進緩下剤です。1錠中にカサンスラノール15.0mgとジオクチルソジウムスルホサクシネート30.0mgの2つの有効成分を配合しており、異なるメカニズムで便秘に対してアプローチする複合製剤となっています。

主な効能・効果は以下の通りです。

  • 便秘症の治療慢性的な便秘症状の改善
  • 腹部臓器検査時の腸管内容物排除内視鏡検査やCT検査前の前処置
  • 手術前後の腸管内容物排除:腹部手術における術前・術後管理

淡紅色の糖衣錠で、重量400mg、識別コードZ151が刻印されています。1982年12月から販売開始され、長年にわたり便秘治療に使用されてきました。

カサンスラノールは、カスカラサグラダ皮から抽出された有効配糖体で、腸の蠕動運動を直接促進する作用があります。この作用は自律神経遮断剤や抗コリン剤による影響を受けないため、確実な効果が期待できます。

一方、ジオクチルソジウムスルホサクシネートは界面活性剤として働き、硬くなった便に水分を浸透させて柔らかくし、排便を容易にする効果があります。

ビーマス配合錠の用法用量と服用方法

ビーマス配合錠の標準的な用法・用量は、通常成人1回5~6錠を就寝前に服用、または1日6錠を2~3回に分割して服用します。必ず多量の水とともに経口投与することが重要です。

服用タイミングの詳細。

  • 就寝前服用:翌朝の自然な排便リズムに合わせて効果を発揮
  • 分割服用:1日6錠を朝・昼・夕に2錠ずつ、または朝・夕に3錠ずつ
  • 水分摂取:十分な水分と一緒に服用し、薬効を最大化

年齢や症状により適宜増減が可能ですが、必ず医師の指示に従って調整してください。効果が現れるまでの時間は個人差がありますが、通常6~12時間程度で効果が期待できます。

服用時の注意点:

  • 空腹時よりも食後の服用が胃腸への負担を軽減
  • アルコールとの同時摂取は避ける
  • 他の下剤との併用は医師に相談
  • 水分不足は効果を減弱させるため十分な水分摂取が必要

長期連用により耐性が上昇するため、継続使用は避け、根本的な便秘の原因改善に取り組むことが重要です。

ビーマス配合錠の副作用と注意事項

ビーマス配合錠の服用に際して報告されている主な副作用は以下の通りです。

消化器系副作用:

  • 腹痛、腹鳴
  • 腹部膨満感、腹部不快感
  • 悪心(吐き気)
  • 口渇
  • 下痢(過量服用時)

その他の副作用:

  • 発疹などのアレルギー症状
  • 一過性結腸粘膜色素沈着
  • 尿の黄褐色・赤色への変色

禁忌事項(服用してはいけない場合):

  • 急性腹症またはその疑いがある患者
  • 重症硬結便のある患者
  • 痙攣性便秘の患者

これらの症状がある場合、薬剤により症状が悪化する可能性があるため使用は禁止されています。

特別な注意が必要な患者群:

妊婦・授乳婦

  • 妊婦への投与は治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ
  • 大量投与は子宮収縮を誘発し、流早産の危険性がある
  • 授乳中は母乳中に移行し、乳児の下痢を起こす可能性があるため授乳を避ける

高齢者

  • 脱水症状を起こしやすいため水分摂取に注意
  • 薬物代謝能力の低下により作用が強く現れる可能性

副作用が現れた場合は速やかに服用を中止し、医師または薬剤師に相談することが重要です。

ビーマス配合錠の製造販売終了と代替薬

2025年3月末をもって、ビーマス配合錠の製造販売が終了することが日本臓器製薬株式会社から正式に発表されました。これは「諸般の事情により」とされており、在庫消尽をもって完全に供給が停止されます。

製造販売終了の詳細:

  • 最終供給時期:2025年3月末
  • 対象製品:ビーマス配合錠(100錠包装・1,000錠包装)
  • 理由:諸般の事情(具体的な理由は公表されていません)

代替薬の選択肢:

ビーマス配合錠と同様の効果を持つ代替薬として、以下のような選択肢があります。

  • 単独成分製剤:カサンスラノール単独、またはジオクチルソジウムスルホサクシネート単独の製剤
  • 他の緩下剤:センノサイド、ピコスルファートナトリウム等
  • 浸透圧性下剤酸化マグネシウムラクツロース
  • 新規薬剤:ルビプロストン、リナクロチド等

既にビーマス配合錠を服用中の患者は、医師と相談の上で適切な代替薬への切り替えを検討する必要があります。自己判断での薬剤変更は避け、必ず医療機関での相談を受けることが重要です。

切り替え時の注意点:

  • 効果の発現時間や強さが異なる可能性
  • 副作用プロファイルの違い
  • 用法・用量の調整が必要な場合がある

ビーマス配合錠の薬効薬理メカニズム

ビーマス配合錠の薬効は、2つの異なるメカニズムを持つ有効成分の相乗効果によって発揮されます。

カサンスラノールの作用メカニズム:

カサンスラノールは、腸管内で腸内細菌により代謝されてエモジンなどのアントラキノン誘導体に変換されます。これらの代謝物質が以下の作用を示します。

  • 腸管蠕動運動の促進:腸壁の筋層に直接作用し、推進性収縮を増強
  • 水分・電解質分泌の促進:腸管粘膜からの水分分泌を増加
  • プロスタグランジン合成促進:腸管運動を活性化する生理活性物質の産生

この作用は自律神経系の影響を受けにくく、抗コリン剤や自律神経遮断剤存在下でも効果を発揮します。

ジオクチルソジウムスルホサクシネートの作用メカニズム:

界面活性剤としての物理化学的性質により、以下の効果を発揮します。

  • 便軟化作用:便塊の表面張力を低下させ、水分浸透を促進
  • 潤滑作用:腸管内での便の移動を滑らかにする
  • 膨潤作用:便容積を増加させ、機械的刺激による排便反射を誘発

相乗効果の理論:

2つの成分の組み合わせにより、以下の相乗効果が期待されます。

  • カサンスラノールによる腸管運動促進と、ジオクチルソジウムスルホサクシネートによる便軟化の同時作用
  • 異なる作用点への働きかけにより、より確実で自然な排便の実現
  • 単独成分使用時よりも低用量での効果発現が可能

この複合的なアプローチにより、ビーマス配合錠は長年にわたり便秘治療の標準的な選択肢として使用されてきました。

薬物動態学的には、両成分とも経口投与後に腸管で局所的に作用し、全身への吸収は限定的です。これにより、全身性の副作用リスクを最小限に抑えながら、腸管での効果を最大化できる設計となっています。

製造販売終了後も、これらの薬理学的知見は他の緩下剤の選択や使用において重要な参考情報となるでしょう。

KEGG医薬品データベース – ビーマス配合錠の詳細情報