ベルソムラの効果とメカニズム

ベルソムラの効果

ベルソムラの主な効果
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入眠困難の改善

自然な眠気を促進し、寝つきまでの時間を短縮します

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中途覚醒の改善

夜中に目覚める回数を減らし、継続的な睡眠をサポートします

効果の持続時間

個人差はありますが、6~8時間程度の睡眠をサポートします

ベルソムラのオレキシン受容体拮抗作用

ベルソムラ(一般名:スボレキサント)は、オレキシン受容体拮抗薬と呼ばれる新しいタイプの睡眠薬です 。脳内には覚醒状態を維持するオレキシンという神経伝達物質があり、このオレキシンが活発に働くことで日中の覚醒状態が保たれています 。不眠症の患者では、夜になってもオレキシンの働きが過剰になっているため脳が覚醒したままになり、眠れない状態が続きます 。
参考)ベルソムラはやばい薬?効果・副作用、依存性リスクを徹底解説
ベルソムラはオレキシン受容体をブロックすることで、オレキシンの働きを抑制し、覚醒を促すアクセルにブレーキをかけるような作用をもたらします 。これにより自然な眠気を誘い、眠りに入りやすく、また眠りを維持しやすくする効果があります 。従来の睡眠薬のように脳の活動を全般的に抑制するのではなく、覚醒に関わる特定のメカニズムに作用するため、より生理的な眠りに近い状態をもたらすと考えられています 。

ベルソムラの効果持続時間と作用発現

ベルソムラの効果持続時間は個人差がありますが、一般的に6~8時間程度の睡眠をサポートします 。薬の半減期は12~13時間と比較的短く、中途覚醒(夜間や早朝に目が覚めてしまって寝付けない症状)に有用とされています 。服用後、比較的すみやかに効果が現れ始め、寝つきを良くする入眠改善効果と、夜中に目が覚める回数を減らす中途覚醒改善効果の両方が期待できます 。
参考)ベルソムラの効果・副作用は?注意すべきポイントと対策|オンラ…
効果の発現は生理的なオレキシンとベルソムラの奪い合いによって変化するため、個人差があることが特徴です 。明け方になると生理的なオレキシンが上昇し、オレキシン受容体からベルソムラが外れることで自然な覚醒が促されます 。このような自然な睡眠・覚醒リズムに近い作用により、翌日の眠気やふらつきといった持ち越し効果が比較的少ないことが利点として挙げられています 。
参考)ベルソムラ(スボレキサント)の効果と副作用 – 田町三田ここ…

ベルソムラと他の睡眠薬との効果比較

ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(マイスリー、アモバン、ルネスタハルシオン、デパス、レンドルミンなど)は脳の活動を抑える働きによって眠気を生じさせますが、ベルソムラは覚醒状態を維持するオレキシンの働きをブロックすることで睡眠をもたらします 。このより自然な睡眠をもたらす作用により、従来の睡眠薬と比較して依存性のリスクが低いとされています 。
参考)新しい睡眠薬(デエビゴ・ベルソムラ)と他の睡眠薬との違いは?…
同じオレキシン受容体拮抗薬であるデエビゴ(レンボレキサント)と比較すると、デエビゴはオレキシン2受容体阻害が強く効果発現が早いため入眠困難により効果的とされる一方、ベルソムラはオレキシン1受容体と2受容体の両方を同程度に阻害します 。ベルソムラの半減期は約10時間でデエビゴ(約50時間)より短く、持ち越し効果のリスクが低い特徴があります 。
参考)https://higashinagoya.hosp.go.jp/files/000228085.pdf

ベルソムラの副作用と安全性プロファイル

ベルソムラで比較的多く報告される主な副作用には、傾眠(翌朝の眠気)、頭痛、疲労、浮動性めまい、悪夢や異常な夢などがあります 。これらの副作用は服用開始初期に起こりやすく、体が慣れてくると軽減することが多いです 。日本での市販後調査では、3248名の患者での平均投与期間113日において、副作用発現率は9.7%と比較的低い値が報告されています 。
参考)睡眠薬「ベルソムラ」の副作用で睡眠時無呼吸症候群が悪化する?…
まれではありますが、入眠時麻痺(金縛り)やカタプレキシー様症状(感情の強い動きをきっかけに突然体の力が抜ける状態)などの重篤な副作用の報告もあります 。ただし、これらの重篤な副作用は非常に稀であり、臨床試験では副作用による中止率も5%未満と低いことが示されています 。副作用を避けるためには、遅い時間での服用を避け、医師の指示に従って適切な用量で使用することが重要です 。

ベルソムラの依存性リスクと離脱症状

ベルソムラは本来の眠気を強める形で作用するため、従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬と比較して依存性が極めて少ないことが特徴です 。オレキシン受容体拮抗薬としての作用機序により、強引さがなく効果が人によっても異なるという特徴があります 。ベンゾジアゼピン系睡眠薬が4週間以上の使用で依存症になりやすいとされているのに対し、ベルソムラは依存性のない睡眠薬として分類されています 。
参考)自然な眠気を強める睡眠薬:ベルソムラ(不眠症:その11)
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の急な中断で起こる離脱症状(不眠の悪化、不安、震え、吐き気など)についても、ベルソムラでは依存性が少ないため離脱症状のリスクも低いとされています 。ただし、連用による依存や離脱症状のリスクが完全にゼロではないため、医師の指導のもとで適切に使用することが重要です 。長期使用時においても耐性の形成が少なく、効果の減弱が起こりにくいことも利点として挙げられています 。
参考)依存性のない睡眠薬とは?