馬蹄腎 エコー 画像 腎盂 尿管 水腎症

馬蹄腎 エコー 画像

馬蹄腎 エコー 画像:押さえる全体像
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まず「低位」と「左右の連続」を疑う

腎の位置が低い/下極が内側へ寄る、さらに正中付近で実質がつながる所見を起点に考える。

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次に「腎盂・尿管の向き」と通過障害

腎盂の向き(回転異常)と、腎盂尿管移行部(UPJ)由来の水腎症や尿管走行の影響を確認する。

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合併症(結石・感染)を同時に拾う

水腎症、結石、感染の兆候をセットで評価し、追加検査(CT/MRI)につなぐ。

馬蹄腎 エコー 画像で見る腎臓の先天性異常

馬蹄腎(horseshoe kidney)は、腎臓の先天的な腎癒合異常の中で最もよくみられるタイプで、左右の腎が癒合して馬蹄状を呈します。発生頻度は人口の約0.25%(400人に1人)、男女比は概ね2:1で男性に多いと報告されています。

エコーの現場では「健診で偶然見つかる腎の形態異常」として遭遇しやすく、無症状でスクリーニング超音波やCTで指摘されるケースが半数程度とされます。したがって、腎機能異常や症状が目立たないからといって見落としやすい点が落とし穴です。

エコー画像の一歩は、腎の位置・形の“全体像”を丁寧に取ることです。馬蹄腎は上昇障害のため、正常より低位になりやすいことが知られています。左右腎が通常より低く、下極が内側へ寄る(正中寄り)雰囲気があれば、次に「峡部(isthmus)」の有無を探します。

ここで重要なのが、「峡部は結合織で細い索状のこともあるが、多くは腎実質である」という点です。画像診断研究では、CT/MRIで評価した症例の大半が“実質性峡部”であったとされ、超音波で診断された症例でも実質性が多いという報告があります。エコーでも「正中の実質連続」を狙って描出できれば、診断の確度が上がります。

  • 腎の低位(普段より下で腎が見える)を意識する
  • 下極が内側へ寄り、左右が“近い”印象を持つ
  • 正中付近で峡部(実質の橋)を探す

参考:馬蹄腎の発生頻度・発生機序・合併症(水腎症、結石、腫瘍リスクなど)の要点

馬蹄腎[私の治療] – 日本医事新報社
馬蹄腎(horseshoe kidney)は最もよくみられる腎臓の先天的な腎癒合異常のひとつである。腎臓の一端が癒合し,馬の蹄に似ていることから馬蹄腎と呼ばれる。人口の0.25%,400人に1人,男女比は2:1で男性のほうが多いと報告されて...

馬蹄腎 エコー 画像での峡部と腎実質の所見

峡部の描出は、馬蹄腎エコーで最も“画像らしさ”が出るポイントです。文献的には、峡部は腎実質であることが多いとされ、CT/MRIで検討したシリーズでは実質性峡部が約97%という報告もあります。つまり、超音波で「左右下極の間に実質がつながる像」を狙う価値は十分にあります。

ただし、臨床で難しいのは「峡部が必ずしも見やすいとは限らない」ことです。体型、腸管ガス、膀胱充満、呼吸性移動、プローブ角度で描出が変わります。正中を1カットで“橋”のように見せるのが理想ですが、うまくいかないときは発想を変え、左右腎の下極をそれぞれ追って“内側へ向かう実質の流れ”を連続的に確認します。

また、峡部の位置は解剖学的に腹部大動脈・下大静脈の前面に来やすいとされます。馬蹄腎では回転異常や血管走行の多彩さがあるため、峡部周囲に血管が目立つこともあり、カラードプラで「誤って血管影を峡部と見なす」「逆に峡部を血管と勘違いする」などの混乱が起きがちです。グレースケールで実質エコーに一致すること、腎実質に近い内部構造(皮髄の質感)を丁寧に見ることが重要です。

  • 峡部は“腎実質であることが多い”前提で探す
  • 正中で見えなくても、左右下極から内側へ追う
  • カラードプラは補助:まずグレースケールで実質らしさ

参考:峡部が腎実質か結合織か(CT/MRIでの検討、実質性が大多数)

http://www.jrsca.jp/contents/records/contents/PDF/13-PDF/p28.pdf

馬蹄腎 エコー 画像での腎盂と尿管の評価

馬蹄腎では腎の回転異常の影響で、腎盂が腹側を向きやすいことが指摘されています。さらに腎盂尿管移行部(UPJ)が通常より高位になりやすいこと、尿管が峡部の前面を走行することなどが、尿流の“通りにくさ”と関係します。エコーで馬蹄腎そのものを疑った時点で、「腎盂の向き」「腎盂拡張の有無」「尿管拡張の有無」をセットで確認すると、合併する通過障害を拾いやすくなります。

水腎症は馬蹄腎の重要な合併症で、約30%で認めるという記載があります。つまり、馬蹄腎を見つけた時点で“次に起こりやすい問題”として水腎症を必ず見にいくべきです。水腎症がある場合、程度(軽度~高度)を示しつつ、原因がUPJなのか、結石なのか、炎症や腫瘍性病変の可能性なのか、臨床情報(疼痛、発熱、血尿、既往)と合わせて追加検査を提案します。

ここで実務的なコツは、「腎盂が腹側=いつも見慣れた断面で腎盂を評価できないことがある」点です。腎盂の拡張が軽度だと、断面の取り方で“あるように見える/ないように見える”が揺れます。プローブを少し回旋し、腎門部の構造が最も自然に見える角度を探し、左右差も合わせて判断するとミスが減ります。

  • 腎盂(腹側)・UPJ(高位)を意識して断面を作る
  • 水腎症は合併しやすい前提で必ず評価する
  • 軽度拡張は断面依存:回旋して“腎門が自然な角度”へ

馬蹄腎 エコー 画像と水腎症・結石・感染の合併症

馬蹄腎で臨床問題になりやすいのは、形の珍しさよりも「合併症が起きやすいこと」です。水腎症が約30%にみられることに加え、二次的に尿路結石も発生しやすく、尿路結石は20~80%に認めるという幅のある記載もあります。現場感としても、腹痛・腰痛・血尿・発熱などの主訴でエコーをすると、結果的に“馬蹄腎+水腎症”や“馬蹄腎+結石疑い”に出会う流れは十分あり得ます。

エコーで結石を疑うときは、強エコー+音響陰影(posterior shadow)を基本に、腎杯内か腎盂内か、尿管起始部付近かを推定します。馬蹄腎では腎盂の向きや尿管走行が通常と違うため、結石の位置同定が難しくなり、CTでの確認が有用になりやすい点も意識します。感染(腎盂腎炎など)を疑う臨床状況では、腎腫大・腎実質エコー変化・周囲脂肪織の変化はエコー単独では限界がある一方、水腎症や膿腎症の有無を見て緊急度を判断する役割があります。

意外に見落とされがちなのは、「峡部が神経叢を圧迫して腹痛につながる可能性がある」という記載です。水腎症や結石が明確でないのに症状が強い場合、形態異常そのものが症状に関与している可能性も頭の片隅に置くと、説明や次の検査提案が組み立てやすくなります。

  • 合併症は水腎症・結石・感染を同時に拾う
  • 結石は強エコー+陰影、位置推定は“解剖のズレ”を前提に
  • 原因が一つに見えない腹痛では、峡部の影響も考える

馬蹄腎 エコー 画像の独自視点:健診と術前の落とし穴

検索上位では「馬蹄腎とは」「合併症」「画像所見」が中心になりがちですが、実務で効く独自視点として“健診の伝え方”と“術前情報としての価値”を強調します。馬蹄腎は無症状で偶発的に見つかることが多いので、健診やスクリーニングで指摘したときに「現時点で緊急性が高い所見か」「フォローで見るべき合併症は何か」を短い言葉で伝える必要があります。単に「先天異常です」で終えると、後から結石や感染を起こした際に情報が活かされません。

具体的には、所見欄に“馬蹄腎疑い”だけでなく、少なくとも「水腎症の有無」「結石疑いの有無」「腎機能(腎萎縮や皮質菲薄化の所見の有無)」を一緒に残します。加えて、馬蹄腎は血管走行のバリエーションが多彩で、腎動脈が左右1本ずつの典型は30%程度という記載もあります。これは腹部手術や血管手術、泌尿器科的介入で重要になり得る情報なので、エコーだけで血管解剖を断定せずとも「形態異常あり→造影CT等で血管評価が有用になり得る」ことを示唆できると親切です。

さらに、泌尿器外傷などの文脈では「馬蹄腎のような先天性奇形は損傷しやすく手術法に影響するため留意」といった注意喚起がガイドラインにも見られます。救急で腹部外傷の患者をエコーする場面では、FASTの枠を超えて腎周囲の異常を拾う必要が出ることがあり、“元から変わった腎がある”というだけで画像の読みが難しくなるため、既知情報としての価値が上がります。

  • 健診では「馬蹄腎+合併症チェック結果」をセットで残す
  • 術前・介入前は血管走行の多彩さを意識し、追加画像を提案
  • 救急では“元々の形態異常”が読影の難易度を上げる

参考:馬蹄腎など先天性奇形は外傷診療で留意(手術法に影響し得る)

https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/43_wound_guideline.pdf