バイタルサイン報告の例文と効果的な記録方法
バイタルサイン報告の基本的な例文テンプレート
バイタルサイン報告の標準的な例文は、情報を体系的に伝える構造を持つことが重要です 。基本的な報告テンプレートは以下のような形式で構成されます:
参考)https://kangokatei.com/baitaru_houkoku/
「○号室○○さんの午前10時のバイタルサインについて報告いたします。体温36.8℃、血圧128/82mmHg、脈拍76回/分、呼吸数18回/分、SpO2 98%でした。前回測定と比較して血圧がやや上昇していますが、患者様に自覚症状はありません」
参考)https://kango.medicmedia.com/2025/06/38470/
この基本テンプレートには必須要素として、患者の識別情報(部屋番号・氏名)、測定時刻、各バイタルサインの数値、前回値との比較、患者の主観的症状が含まれています 。
効果的な報告では、単純に数値を読み上げるだけでなく、臨床的な意味を付加することが求められます。例えば「血圧120/80mmHgでした」だけでは不十分で、「普段の値と比較してどうなのか」「基準値からの逸脱はあるか」といった評価を含める必要があります 。
バイタルサイン報告におけるSOAP記録の活用法
SOAP形式によるバイタルサイン記録は、医療現場で標準的に使用される体系的な記録方法です 。この形式は主観的情報(S)、客観的情報(O)、評価(A)、計画(P)の4項目で構成されます 。
参考)https://www.kan-naro.jp/topics/nursing-training/000057
S(主観的情報)の記録例:
「右胸が痛い」「息苦しい」「めまいがする」など、患者自身の訴えをそのまま記載します 。この際、患者の言葉を「」内に記録することで、主観的情報であることを明確にします 。
参考)https://nurses.works/column/article/nursing-student-report-guide-2025/
O(客観的情報)の記録例:
「BP 132/85mmHg、HR 76/分、BT 36.8℃、SpO2 98%、測定時刻14:00」のように、具体的な数値データを標準的な略語と単位を用いて記載します 。
A(評価)とP(計画)の統合的な記録:
「痰の貯留によってSpO2低下し、息苦しさを生じているが、痰の粘度が高く自己排痰は困難。スムーズな排痰を促す必要あり」という評価に基づいて、「去痰薬の吸入、呼吸リハビリテーションの実施、体位ドレナージ」という具体的な計画を記載します 。
参考)https://job-medley.com/tips/detail/853/
バイタルサイン測定の目的と看護現場での意義
バイタルサイン測定は、患者の生命維持機能を客観的に評価し、治療効果の判定や病状変化の早期発見を目的として行われます 。看護師は治療の効果や経過を知る指標にする、病気の危険度を察知する、新たな異常を知る手段にするといった多面的な意義を理解して測定に臨む必要があります 。
参考)https://www.kango-roo.com/learning/3971/
測定の主要な目的として、患者の状態が「正常値・基準値から逸脱していないか」「前回の測定値と比べてどの程度変化したか」を確認することが挙げられます 。これにより、即座の処置が必要な状況や治療方針の見直しが必要な状況を判断できます 。
参考)https://kango.mynavi.jp/contents/nurseplus/workstyle/20211008-2138650/
バイタルサイン測定は、個々の患者に合った看護計画を立てるための参考情報としても重要です 。入浴や排泄などの日常生活行動が患者の体調にどの程度の影響を及ぼすのか、患者の予備力がどの程度あるのかを知ることができ、行った看護ケアの評価にも活用されます 。
バイタルサイン異常値の判断基準と緊急時対応
バイタルサインの正常値(基準値)は、成人の場合、体温36~37℃、脈拍65~85回/分、呼吸回数12~18回/分、血圧130mmHg未満/85mmHg未満とされていますが、個人差があるため日頃からの平常値把握が重要です 。
参考)https://job-medley.com/tips/detail/1117/
緊急性の高い異常値として、以下の状況では即座の報告が必要です。
- 体温37.8℃以上かつ寒気や倦怠感がある場合 – 高齢者では感染症の症状が出にくいため、微熱でも要注意です
- 脈拍110回/分以上または50回/分以下+動悸や倦怠感がある場合 – 脱水、心疾患、発熱、貧血などが背景にある可能性があります
- 血圧が急に20mmHg以上上下した場合 – 出血・脱水・不整脈・薬剤の影響などを疑います
SpO₂が90%以下の場合は酸素投与が必要な可能性があり、至急報告が必要です 。また、数値的な異常だけでなく、顔色が青白い、唇が紫色(チアノーゼ)、冷汗をかいている、意識がぼんやりしているといった見た目の変化も重要な危険サインです 。
バイタルサイン報告における感染症対策と重篤患者モニタリング
感染症患者のバイタルサイン評価では、発熱パターンの特徴的な変化に注目する必要があります。極めて重症の感染症では、体温はむしろ低下し(だいたい36.0℃以下)、発熱の有無だけで判断すると、低体温で死に瀕している患者を見逃すリスクがあります 。
参考)https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2019/PA03331_07
発熱患者に対しては、血圧や呼吸回数、脈拍などのバイタルサインをチェックし、危険性や緊急性の高さを確認することが重要です 。血圧の急激な上昇や低下を伴う発熱は、大動脈解離や敗血症など危険性の高い状態の可能性があります 。
参考)https://credentials.jp/2019-11/special-201911/
重篤患者のモニタリングでは、バイタルサイン(体温、血圧、脈拍数、および呼吸数)の測定に加えて、水分の総摂取量および総排泄量の定量、しばしば頭蓋内圧測定と経日的な体重測定も行われます 。継続的なモニタリングにより、異常や状態悪化を早期に検知し、心臓の問題や呼吸困難などの緊急事態に迅速な介入を支援することが可能になります 。
参考)https://www.biocare.com.tw/ja/press/the-strengths-of-vital-sign-monitors/
厚生労働省の「介護現場における感染対策の手引き」によると、発熱などのバイタル異常は感染症の初期症状である可能性が高く、早期発見・早期対応が重要とされています 。異常値を発見した際は、まず焦らずに再測定を行い、測定条件や機器の不具合による誤差の可能性も考慮しながら冷静に対応することが求められます 。