アスパラギン酸の効果と疲労回復

アスパラギン酸の効果

アスパラギン酸がもたらす主な健康効果

疲労回復とエネルギー代謝

クエン酸回路を活性化し、乳酸をエネルギーに変換することで疲労を軽減します

💪

体調を整える作用

ミネラルの吸収を促進し、体液バランスを正常に保ちます

🔄

アンモニアの解毒

有害なアンモニアを尿素に変換して体外へ排出する働きをサポートします

アスパラギン酸による疲労回復のメカニズム

アスパラギン酸は体内でエネルギーを産生する重要な経路である「クエン酸回路」において中心的な役割を担っています。クエン酸回路がうまく機能しなくなると、乳酸が蓄積して疲労が溜まりやすくなったり、体が冷えやすくなったり、頭痛などの症状を引き起こしやすくなります。アスパラギン酸はカリウムやマグネシウムなどのミネラルを細胞内に取り込みやすくし、クエン酸回路を円滑に回すことで、乳酸をエネルギーに変換し、疲労を回復させる効果を持ちます。​
さらに、アスパラギン酸はグリコーゲンの生成を促進する働きもあります。グリコーゲンは筋肉や肝臓に蓄積し、必要な時にエネルギーに変換されるため、グリコーゲンの不足はスタミナの低下を招きます。1960年代に行われた複数の研究では、アスパラギン酸塩の投与が夏季の野球合宿練習やサッカー合宿練習、ボクシング合宿練習において疲労抑制効果を示すことが報告されています。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/1dbd5ad2c4bb78028a1b88752d62ad301cfe2cad


アスパラギン酸は体内の新陳代謝に重要な役割を果たし、糖質や脂質をエネルギーに変換します。そのため、疲労回復やスタミナ増強などに効果が期待されています。疲労物質である乳酸の分解促進や体内を巡る毒素であるアンモニアを尿に合成することにかかわっているため、疲労の蓄積や組織の老化、免疫力の低下を防ぎます。

参考)疲労回復効果を持つうま味成分アスパラギン酸の働きとお勧め食材

アスパラギン酸がクエン酸回路に与える影響

アスパラギン酸はクエン酸回路(TCA回路)に直接関与し、エネルギーを効率よく生産する役割を持っています。クエン酸回路は炭水化物を代謝し、エネルギーを作り出す重要な機能を担っており、この回路を効率的に機能させるためには、カリウムやマグネシウムなどのミネラルが必要です。

参考)アスパラギン酸の4つの効果|含まれる食品と摂取量・副作用を説…


アスパラギン酸はアミノ酸を代謝してエネルギーを産生するTCA回路を助け、疲労回復を早めるといわれています。グルタミン酸と同じくうまみ成分である非必須アミノ酸の一つで、エネルギー源として使われやすいアミノ酸です。体内のエネルギー製造場であるTCA回路を活性化し、新しいエネルギーの産出につながります。

参考)アスパラギン酸は疲労回復を助けるうまみ成分!|コラム まめば…


クエン酸回路における中間体であるα-ケトグルタル酸への変換においても、アスパラギン酸はアスパラギン酸アミノ基転移酵素を通じて重要な役割を果たします。これによりATP産生および、TCA回路の中間体の補充の両方で機能する重要な代謝産物が生成されます。

参考)https://www.cellsignal.jp/pathways/glutamine-metabolism

アスパラギン酸を多く含む食品と摂取量

アスパラギン酸を多く含む食品としては、大豆製品が特に優れた供給源です。可食部100gあたりで見ると、大豆たんぱく(分離大豆たんぱく)が10000mg、かつお節が7200~7300mg、湯葉(干し)が6800mg、高野豆腐が6300mgと高い含有量を示しています。その他にも、きな粉が4400~4600mg、大豆(乾燥)が4100~4400mg含まれており、大豆製品は非常に効率的なアスパラギン酸の摂取源となります。

参考)アスパラギン酸を多く含む食品


魚介類では、しらす干し(半乾燥品)が3900mg、すじこが2800mgと比較的多く含まれています。また、19世紀にアスパラガスから最初のアミノ酸が発見され、アスパラギンと名付けられたことに由来して、アスパラギン酸という名前が付けられました。アスパラガスの穂先には特にこの成分が多く含まれるといわれています。

参考)アスパラガス


L-アスパラギン酸については、上限摂取量や必要量は明確に定められていません。アスパラギン酸は必須アミノ酸ではないため、食事から全てを摂取する必要はないと考えられています。一方で、D-アスパラギン酸の摂取に関する研究では、1日2.6gを90日間続けた結果、黄体形成ホルモンとテストステロンの値が上昇した以外は、副作用がないことが分かっています。

参考)アスパラギン酸とは?5つの効果と適切な摂取方法

アスパラギン酸によるアンモニア排出と解毒作用

アスパラギン酸は体内で発生する有害なアンモニアを尿素に変換して排出する働きを持っています。このプロセスは「オルニチン回路(尿素サイクル)」と呼ばれ、解毒作用を有する重要な経路です。神経伝達物質でもあるアスパラギン酸は、神経伝達物質の働きを阻害するアンモニアを尿として排出する働きがあるとされています。​
タンパク質の分解で発生するアンモニアを排出しやすくすることで、肝臓の負担を減らすサポートが期待されています。アミノ酸を分解するときに発生するアンモニアが問題になりますが、アンモニアを無害な尿素に変えて排出する過程でアスパラギン酸が重要な役割を果たします。アスパラギン酸が肝機能を支えることで、アルコール摂取時の回復を助けると考える方も増えています。

参考)楽天市場

​youtube​
体内で生じたアンモニアは疲労の原因となりますが、アスパラギン酸はこれを尿素へ変換し、スムーズに排出する働きを持っています。持久力の向上やアンモニアの排出する効果があると言われており、運動後や長時間の活動によって蓄積されるアンモニアの代謝を助けるため、疲労回復が早まるとされています。

参考)【アスパラギン酸について】/鎌倉のパーソナルジムが解説いたし…

アスパラギン酸がミネラル吸収に及ぼす独自の作用

アスパラギン酸は人間の体液のバランスを整える独特の機能を持っています。人間の体は約50~70%が水分でできており、水分の内、約3分の2が細胞内液、約3分の1が細胞外液として存在し、両者のバランスによって体調が変化します。ストレスが溜まったり、病気にかかると細胞内のビタミンやミネラルを消費し、その結果、体液のバランスが乱れてしまい、体調不良を起こします。​
アスパラギン酸は不足しているカリウム、マグネシウムを細胞の中に運び、体液のバランスを整える効果があります。疲労がたまると、元気を維持するための大切な栄養素であるカリウムとマグネシウムを補給しなければなりませんが、生体内の代謝時にアスパラギン酸はカリウム・マグネシウムと結びついて細胞内へ取り込まれます。この働きによってそれらの吸収をよくし、細胞内でのバランスを正常に戻し、素早い疲労回復へと繋がり、体調を整えることができます。​
アスパラギン酸は、カルシウム・マグネシウム・カリウム・亜鉛などのミネラルと結合し、吸収率を高める作用があります。特に、運動後のミネラル補給にも役立つことが知られています。アスパラギン酸の働きにより代謝が活発になり、エネルギーを効率良く産生をすることができるため、タンパク質の合成や体の新陳代謝を促す働きから、肌がうるおって美肌効果への期待も高まっています。利尿作用もあるといわれており、むくみの解消も期待できます。

参考)アスパラガスに含まれる主な栄養素とは?種類や選ぶ方法も確認