アラニンの効果と健康効果
アラニンの筋肉保護効果
アラニンは、長時間の運動や絶食状態において重要な役割を果たします 。マラソンやロードバイクなど持久力を必要とするスポーツでは、体外からのエネルギー補給ができず、血中の糖濃度が一定以下になると、脳が飢餓状態と認識します 。この状況下で、脳は生命活動を維持するために骨格筋を分解してアミノ酸を作り出し、エネルギー生成の材料とします 。
参考)アラニンで持久力をサポート!効果や効果的な摂取方法とは
アラニンが体内で必要量足りていれば、長時間の運動等でエネルギーが不足した時でも、筋肉を分解してアラニンを作り出す必要性が低下します 。結果的に筋肉の疲労を軽減し、筋肉量や骨量の減少リスクを抑え、長時間エネルギーを供給することが可能になります 。
グルコース・アラニン回路では、運動により体たんぱく質が分解されるとアラニンが生成され、これが肝臓に送られてグルコースに変換されます 。このシステムにより、体は運動時に必要な糖を持続的に供給することができます 。
参考)【基礎】コリ回路/グルコース・アラニン回路 href=”https://sgs.liranet.jp/sgs-blog/5827″ target=”_blank” rel=”noopener”>https://sgs.liranet.jp/sgs-blog/5827amp;#8211; …
アラニンの肝機能改善と代謝促進
アラニンは肝臓において重要な機能を担っています 。アミノ酸のアラニンには、アルコールやアセトアルデヒドの代謝を促進する効果があり、飲みすぎ二日酔いの回復に役立ちます 。肝臓でのアラニンは、糖が不足した場合に糖分に変換される糖新生に関与しており、TCA回路の流れを強め、脂肪を燃焼させる効果もあります 。
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ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は、アミノ酸の合成に必要な逸脱酵素で、肝臓の細胞が壊れて血液中に出てくるため、肝機能のチェック指標として用いられます 。アラニンは肝臓タンパク質合成の制御においても重要な役割を果たしており、飢餓状態から摂食状態への転換時に肝臓でのタンパク質合成を促進します 。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1147587/
さらに、アラニンにはグルカゴン分泌作用があり、低血糖を防ぐ効果も知られています 。これにより血糖値の維持に重要な役割を果たしています。
アラニンの肌への美容効果
アラニンは肌の健康維持においても重要な役割を果たします 。主な理由として、アラニンは元々肌の角質層に存在する天然保湿因子(NMF)の主要成分であることが挙げられます 。天然保湿因子とは肌の潤いを保つ成分で、その量が十分であると肌はみずみずしく保たれ、肌表面のバリア機能も強化されるため肌荒れが起こりにくくなります 。
参考)アラニンにはどんな効果がある?|多く含まれる食品と摂取方法も…
さらに、アラニンはコラーゲンの原料にもなります 。コラーゲンは肌に潤いと弾力を与える成分で、コラーゲンが多いほど肌は美しく若々しい印象になります 。このため、アラニンの適切な摂取は肌をきれいに保つ作用があると考えられています 。
アラニンには甘みを持つ特徴があり、天然の食品添加物としても使用されています 。これは食品中で旨味と甘味を呈する機能も持っているためです 。
参考)アラニン
D-アラニンによる体内時計調整の新発見
最近の研究で、D-アラニンという D-アミノ酸の一種が概日リズムを調整することが発見されました 。大阪大学の研究により、D-アラニンが体内の恒常性維持の一端を担っていることが明らかになりました 。マウスにD-アラニンを投与したところ、糖尿病などの糖質代謝、感染症などの免疫、長寿など、概日リズムとの関連が示唆される生理現象のシグナルが誘導されました 。
参考)https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2402/19/news010.html
特に糖質代謝において、D-アラニンは腎臓で糖質以外から糖を作り出す糖新生を誘導することが分かりました 。腎臓のD-アラニンへの感受性は日内変動があり、生体内の血糖濃度はD-アラニンと概日リズムにより調整されていることが明らかとなりました 。
暗室状態でマウスの行動変化を解析した結果、D-アラニンの補充により、光が完全にない環境でもマウスの1日のリズムが改善しました 。このことから、D-アラニンを適切に使用することで、概日リズムが関連する生活習慣病や睡眠障害、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザウイルス感染症などにおいて治療効果を発揮することが期待されます 。
アラニン摂取における注意点と副作用
β-アラニンの摂取においては、「ベータアラニンフラッシュ」と呼ばれる特徴的な症状に注意が必要です 。この症状は、βアラニンを摂取後5〜10分ほどで、眉毛・耳周り・手のひら・指先・ひざ下などに肌がピリピリする感覚が起こる現象です 。ベータアラニンを1度に800mg以上摂取すると、この症状が起こりやすいといわれています 。
参考)ベータアラニンフラッシュは身体へ悪影響がある? – VALX…
しかし、アラニンフラッシュについては健康への悪影響はないと報告されており、症状は一時的なもので時間の経過とともに消失します 。βアラニンは2019年に厚生労働省で認可され、海外では以前から使用されており安全性が確認されています 。
参考)アラニンフラッシュとは?症状や危険性、予防策を徹底解説!│健…
症状が気になる場合は、複数回に分けて摂取する、摂取量を減らすなどの対策を取ることが推奨されます 。GPS/JIPS安全性要約書でも、βアラニンの有害影響は認められていません 。
アラニンが豊富な食品には、かつお(削り節)で132mg(3gあたり)、しろさけ(すじこ)で2160mg、まだこ(生)で5032mg、ずわいがに(生)で1140mg(500gあたり)などの魚介類があります 。適切な食事から自然にアラニンを摂取することも重要です。