暗点発作と片頭痛前兆
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暗点発作の閃輝暗点:前兆と症状
暗点発作として患者が訴える「視野が欠ける」「見えにくい」の背景には、視覚性前兆(閃輝暗点)が含まれることが多く、前兆症状はキラキラした光・ギザギザが視界に現れて見えづらくなる、という形で説明されます。
臨床的な手がかりとして、視覚性前兆は5〜60分持続してから頭痛に移行することが典型で、同じ患者では“いつも似た経過”になりやすい点が問診上重要です。
視覚性前兆は片頭痛の前兆症状の中で最も多い(90%以上)とされ、暗点発作の主訴があっても頭痛が軽い・目立たないケースがあり得るため、「頭痛がない=片頭痛ではない」と短絡しないことが安全です。
暗点発作の片頭痛:予兆と光過敏
暗点発作(前兆)と混同されやすい概念として、片頭痛には「前兆」とは別に、頭痛の前に眠気・疲労感・集中力低下・頸部の凝りなどが出る「予兆」があり、これは前兆と区別して聴取します。
片頭痛発作中は感覚過敏(光・音・臭いが不快)や悪心・嘔吐が合併し得るため、暗点発作の直後〜同日の随伴症状としてセットで確認すると診断の一貫性が高まります。
また、片頭痛の診断は国際頭痛分類(ICHD-3)に基づく枠組みで行われることが明記されており、現場では症状のパターンを基準に照合できるよう記録の粒度をそろえることが有用です。
暗点発作の一過性黒内障:頸動脈狭窄
暗点発作が「片眼性」で、視野全体が暗くなる・幕が降りるといった訴えの場合、一過性黒内障(amaurosis fugax)を鑑別に挙げ、網膜虚血により短期間・可逆的に視力障害が出る病態として理解しておきます。
一過性黒内障の機序は頸動脈や心臓由来の微小塞栓が多い一方で、稀に血行力学性(低灌流)でも起こり得て、頸動脈高度狭窄と血圧変動が関与した症例報告では、治療(頸動脈ステント)後に眼動脈・網膜の描出が改善し発作が消失したと記載されています。
この症例では、片頭痛の閃輝暗点と紛れ得る視覚異常でも「頭痛を伴わず単眼性」である点を根拠に一過性黒内障と判断した経過が述べられており、暗点発作の初診で“片眼か両眼か”を最優先で切り分ける意義が示唆されます。
暗点発作の鑑別:TIAと脳梗塞
暗点発作の裏にTIA/脳梗塞が隠れる可能性を考える場合、突然の発症、急に完成する視野障害、片麻痺・構音障害などの神経症状の併発は危険サインとして扱い、頭痛の文脈だけで完結させない姿勢が必要です。
一過性黒内障は脳梗塞の危険因子の一つとされる旨が述べられており、眼症状だけで終わったように見える暗点発作でも、血管評価(頸動脈を含む)へつなぐ判断が重要になります。
また、頸動脈高度狭窄に伴う血行力学性の一過性黒内障では脳梗塞発症リスクが高い病態として対応が必要で、可及的速やかな頸動脈評価が必要と明記されています。
暗点発作の独自視点:記録テンプレと患者説明
暗点発作は“見え方の表現が曖昧”になりやすいため、医療者側で記録テンプレ(発症様式、進展の有無、持続時間、片眼/両眼、陽性症状、回復の完全性、随伴症状)を固定すると、片頭痛前兆(5〜60分、視覚性前兆が多い)という枠組みに照合しやすくなります。
特に患者が「暗くなる」と言ったとき、閃輝暗点の“キラキラ・ギザギザ(陽性症状)”が先行して広がったのか、それとも単眼性に視野全体が暗転したのかで、片頭痛前兆と一過性黒内障の緊急度が変わり得るため、言葉の定義合わせを診察内で完結させるのが実務上のコツです。
患者説明では、片頭痛には前兆とは別の「予兆」が存在すること、前兆は5〜60分で回復するのが典型であることをセットで伝えると、次回以降の受診時に情報の質が上がり、鑑別の安全域が広がります。
一過性黒内障(症状と検査の考え方の補足に有用)
https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/062090722.pdf
片頭痛の前兆(閃輝暗点)・予兆・持続時間(5〜60分)などの整理に有用