アンプレナビル販売中止
アンプレナビルを含む旧世代のHIVプロテアーゼ阻害薬は、代謝への負担リスクが高く、すでに現場では使用されていません。
アンプレナビル販売中止の時期と背景
アンプレナビルは、HIV-1感染症治療に使用されていたプロテアーゼ阻害薬です。国内では既に販売中止となっており、2015年頃から医薬品の添付文書における相互作用欄から記載が削除されています。takata-seiyaku+1
この措置は単独で行われたものではありません。同時期に、サキナビル(インビラーゼ)、インジナビル(クリキシバン)などの第一世代プロテアーゼ阻害薬も国内販売が終了しています。結論は、旧世代の薬剤が新しい治療選択肢に置き換わったということです。medical.nihon-generic+1
販売中止の主な理由は、より安全性が高く効果的な新世代の抗HIV薬が登場したためです。HIV治療は1996年以降、多剤併用療法(ART)により長期生存が可能となり、現在までに20種類以上の薬剤が国内で承認されています。
参考)https://www.acc.jihs.go.jp/general/note/drug/fpv.html
患者の長期的な健康維持のためには、代謝性合併症や副作用の少ない薬剤への移行が不可欠でした。
これは使えそうです。
アンプレナビルのプロテアーゼ阻害薬としての特性
アンプレナビルは、HIVの複製に必要なプロテアーゼという酵素を阻害することで作用する薬剤でした。プロテアーゼ阻害薬は、ウイルスの成熟過程を妨げ、感染性ウイルス粒子の産生を抑制します。
ホスアンプレナビル(FPV)として、商品名レクシヴァ錠700mgで販売されていました。1回1錠とリトナビル100mgを1日2回併用する形式が一般的でした。薬価は700mg錠が549.80円で、1日1400mg処方の場合、30日で32,988円でした。
主な副作用として、下痢が8%、吐き気が5%、嘔吐が4%の頻度で報告されていました。肝代謝酵素に対する競合的阻害作用により、他の薬剤の代謝に影響を与えるため、併用禁忌薬が多数存在していました。
これは必須です。
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患者の肝機能状態によって処方量の減量が必要となる場合もありました。
アンプレナビル販売中止後の代替治療選択肢
現在のHIV治療では、より副作用が少なく服薬負担の軽い薬剤が主流となっています。プロテアーゼ阻害薬では、ダルナビル(DRV)を含む合剤プレズコビックス(DRV/c)や、シムツーザ(DRV + COBI + TAF + FTC)が使用されています。hrd+1
インテグラーゼ阻害薬への切り替えも広く行われています。ドルテグラビル(DTG)、エルビテグラビル/コビシスタット(EVG/c)、ビクテグラビル(BIC)などが選択肢として挙げられます。
つまり、治療の中心が移行しているということです。
切り替え時の条件として重要なのは、ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制(HIV-1 RNA量が50copies/mL未満)が得られていることです。耐性関連変異を持たないことも確認が必要です。
ウイルス学的抑制が得られている患者に対しては、以下のような切り替えパターンが推奨されています:
- DTG、EVG/cまたはRALからBICへ
- エファビレンツ(EFV)からリルピビリン(RPV)へ、またはドラビリン(DOR)へ
- リトナビル(rtv)またはコビシスタットを併用するアタザナビル(ATV/cまたはATV/r)からブースターを併用しないATVへ
代替薬を選択する際は、患者の服薬アドヒアランス、既存の副作用、併用薬との相互作用を総合的に評価する必要があります。
アンプレナビル中止に伴う医薬品情報管理の注意点
アンプレナビルの販売中止に伴い、医療従事者が注意すべき点は添付文書の相互作用欄の更新です。多くの医薬品の添付文書において、「禁忌」および「併用禁忌」の項からアンプレナビル関連の記載が削除されています。takata-seiyaku+2
具体的には、以下のような医薬品カテゴリーで改訂が行われました:alfresa-pharma+1
これらの改訂は、相互作用相手薬との記載の整合性を図るために実施されました。販売が中止されている薬剤を削除することで、現場の混乱を防ぐ狙いがあります。
参考)https://med.sawai.co.jp/file/pr7_4828_2.pdf
医療機関の薬剤情報管理システムにおいても、販売中止薬剤のデータベース更新が重要です。2023年11月時点で、レクシヴァ錠700(ホスアンプレナビル)は病院の削除薬品一覧に掲載されています。
これが原則です。
参考)http://pharm-showahp.jp/sakujyo202311.pdf
患者への説明時には、販売中止は安全性の問題ではなく、より優れた治療選択肢への移行であることを明確に伝える必要があります。
アンプレナビル関連のHIV治療体制の変化
HIV治療における抗ウイルス薬の進化は目覚しく、患者のQOLは大幅に改善されています。1987年に最初の抗HIV薬AZTが誕生して以来、治療を受けながら仕事や学業などの生活を送る人が世界中で増えています。
現在承認されている抗HIV薬は20種類以上に及び、以下のようなカテゴリーに分類されます:hiv-resistance+1
| 薬剤分類 | 代表的な薬剤 | 特徴 |
|---|---|---|
| 核酸系逆転写酵素阻害剤 | TDF、TAF、3TC | ウイルスの遺伝子複製を阻害 |
| 非核酸系逆転写酵素阻害剤 | EFV、RPV | 逆転写酵素に直接結合 |
| プロテアーゼ阻害剤 | DRV/c | ウイルスの成熟を阻害 |
| インテグラーゼ阻害剤 | DTG、BIC | ウイルスDNAの宿主細胞への組み込みを阻害 |
| CCR5阻害剤 | – | ウイルスの細胞侵入を阻害 |
新世代の薬剤であるテノフォビルアラフェナミド(TAF)は、TDFのプロドラッグとして開発され、投与量を減らすことができ、腎臓や骨に対する影響が少ないという利点があります。
これは無料ではありません。
合剤の開発も進んでおり、シムツーザのように4剤を1つの錠剤に配合した製品も登場しています。服薬回数の減少は、患者のアドヒアランス向上に直結します。
HIV感染者は生涯にわたり抗HIV薬を服用する可能性があるため、代謝性合併症、アドヒアランスの低下、副作用と毒性に対処する必要があります。医療従事者は最新の治療ガイドラインに基づき、個々の患者に最適な治療法を選択することが求められます。
HIVプロテアーゼ阻害剤の詳細な耐性プロファイルと最新の治療選択肢については、HIV薬剤耐性データベースが参考になります